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2005/09/22

ES(エス)、それは残虐の正当化

エス(原題はDas Experiment「その実験」という意味)は、ヒットラー最後の12日間http://www.hitler-movie.jp/index2.html)のOliver Hirschbiegel (オリヴァー・ヒルシュビーゲル)がその前に監督した作品。

「ヒットラー最後の12日間」が独裁政権の末路を書いているとすれば、このエスは人が独裁の狂気へと至る道を描いています。エンターテイメントですが、娯楽ではありません。眠いときに見たら目が覚めます。それぐらいショッキングです。

1971年にスタンフォード大学で行われた実験をベースにした架空の話ですが、これを見て架空とは思えませんよ。それぐらい人物の書き方にリアリティーと重みがあります。

実験は一般市民である被験者が看守と囚人に別れてロールプレイングを12日間にわたって行うというもの。看守側には「秩序」の維持と言う任務が与えられていた。秩序とは囚人にルールを守らせること。そのルールは全部で6つ。

ルール1:囚人はお互いに番号で呼び合わなくてはならない。
ルール2:囚人は看守に対して敬語を使わなくてはならない。
ルール3:囚人は消灯後、会話を一切交わしてはならない。
ルール4:囚人は食事を残してはならない。
ルール5:囚人は看守の全ての指示に従わなくてはならない。
ルール6:ルール違反を犯した場合、囚人には罰が与えられる。

問題(ある意味実験に求められていた要素)は囚人側にタレク(77号)がいて看守側にベルスが居たこと。

タレクは反権力的な性格であり、ベルスは秩序の維持と言う名目で囚人を辱め、虐げることに優越感という快感を知り、それにのめりこんでいきます。つまり水と油が密室に閉じ込められたということです。

そのため最初、タレクとベルスの間で一種の主導権争いが起こります。タレクは看守を馬鹿にした態度を取ります(これが精神的な権力闘争)。しかし最終的にはベルス側が勝ちます(力によって)。馬鹿にされた看守側の復讐が「秩序の維持」という名目で実行されていきます。相手をいのままに従わせ、辱めることができることに看守側が喜びを覚えていきます。そして実験は暴走を始めます。善良な一般市民であるはずの看守役の人間たちが、ただ囚人を演じるだけの罪なき人々の虐待を始めるのです。

その凄惨な映像を見て思い出すのが、イラクのアルグレイブ収容所でのアメリカ兵による虐待行為です。

ナチズムでも、共産主義でも、自由主義世界でも、体制を守るために反体制派に対する弾圧が行われました。虐殺は非人道的と誰もがいいますが、それがサラエボ、コソボ、ダルフールと続いています。そうした惨劇が繰り返される理由、人が相手(敵)を絶対的に支配できるようになったとき、「正義」の名の下に暴力を行使し、精神を冒されていくプロセスを見たような気がします。

日本で言えば、「いじめ」が段々とエスカレートする過程に似ています。それがリアルに感じる根源かもしれません。

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