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2006/02/16

映画「ミュンヘン」の感想

★で感想を言うなら★★★です。ちなみにシンドラーのリストは★★★★★です。あれを期待して見たのでその落胆が★ひとつ減らしてます。

面白くないかと言えばそうではありません。極めて面白いです。3時間ですが、キングコングの4時間よりもかなり短く感じました。ヒューマンドラマとしてはちょっと見劣りしますが、サスペンスとしては良い出来です(だからヒューマンドラマが霞んでいると思うのです)。話の展開は良いし、見ていて疲れません。盛り上がるところと盛り下がるところのタイミングとバランスが良いと思います。

場面によって画質が違うのも「トラフィック」のパクリですがさりげなくて良かったです。

VENGENCE(復讐)という本がベースになってるそうですが、まったくその通りの映画です。

スピルバーグは売れ出した俳優を使うのが好きですが、今回はドイツ映画の「エス」の主人公の人がちょっと出てましたね。

少し状況説明を。なぜにパレスチナの人々が住む土地を追われた(国を失った)かと言えばそれは1967年の第三次中東戦争のせいで、イスラエルが中東諸国に先制攻撃を仕掛けてヨルダン川西岸を占領したからです。

ちなみにミュンヘン事件の1年後には第四次中東戦争が起こっています。

エリック・バナは最高。次の007役に決まっている人も演技が良かったですよ。映画「ロード・トゥ・パーディション」に出てる人が2人もメインで出てるのはなんでかと思ったのですが、いい感じでした。

以下ネタばれの感想(反転させて読んでください)
ケースオフィサー(作戦統括官)役のジェフリー・ラッシュはイスラエル政府(+大衆の意思)ですね。映画の最後にブルックリンで主人公のエリック・バナが平和のための夕食に誘うのですが、ラッシュは断わります。そしてその背景には911事件で破壊された世界貿易センターが映っているという。ここがちょっと気に入りません。問題は提示したけど解決方法は提示していないわけで。ここは嘘でもいいから希望を見たい気がします。

宇宙戦争もそうですが、今回も子供がカギを握っています。暗殺作戦で精神的に追い詰められているエリック・バナがブルックリンに隠れ住んでいる奥さんと赤ん坊のところに電話をかけるシーンはこの映画の最高にいいところだと思います。

4人の暗殺チームの動きが微妙に悪いのが良いです。リアルになるし、スリリングになります。レバノンでイスラエル軍の特殊部隊と共同でターゲットを急襲したときの動きとえらい違います。

好きな話の流れは、PLOと主人公たちのイスラエルの暗殺チームがギリシャ(だったような)が同じ隠れ家に寝ることになったときにラジオのチャンネルの奪い合いがあって最後にお互いにとって聞ける曲が流れるチャンネルに落ち着く、という良い話を持ってきておいて、ターゲットを守っていたのが一緒に寝ていたPLOの人たちで、結局彼らを殺すことになるというのがね。

悪役がいない感じにしているのも話がフラットになっている原因だと思います(ミュンヘン事件の挿入の仕方に問題があると思います)。あれならもっとブラック・セプテンバーのメンバーを掘り下げて描くべきだと思います。人間味を出そうと描いているのは良いのですが、もうちょっと欲しいというところです。最初はブラック・セプテンバーをかなり悪く描いておいて、後半良く描くのが良いんじゃないかと。(ある種不可抗力によってイスラエル人の人質が殺害されたというのを全面に押し出した方が良かったような。最初に殺害するシーンを入れておいて、もう一度理由をつけて同じシーンを入れるとか。そうすると長くなるかな。)

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» ミュンヘン [中野系]
ミュンヘンオリンピックでイスラエル選手11名が暗殺された事件を元に、そこに関わった「人間」を描いた映画。 銃を持ちうなだれる男のポスターを見て「殺した側」が凶行に至るまでを描く人間ドラマ、と勘違いしていたのだけれどまったくの逆。「殺された側」イスラエルの情報機関員が事件の報復として、犯行関係者を次々と暗殺した史実に関する映画。「ミュンヘン」での事件そのものでなく、その事件が引き起こした別の事件が映画の中心。 題材が題材な�... [続きを読む]

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