ヨーロッパ ユニバーサリス2 国王の失策:過度な領土拡張
先日、プレイを始めたのですが、こいつは難しい。
めっちゃコアですよ。
ハーツオブアイアンとは似て非なるゲームです。似ていますがシステムが違います。
前回(リンク)は触りだけしたが、今回は「いかに我は敗北したか」ということで説明します。
普通、領土が広い方が優位に立てるので良いと考えがちですが、このゲームではそうとは限りません。一番長いシナリオでは国家が大きすぎると発展が遅くなって技術的に取り残される可能性があります。国土が広くなるほど「安定度」が上がりにくくなります。安定度が極端に下がると(-3になると)宣戦布告はできませんし、収入は上がりませんし、反乱も起こりやすくなります。広がった領土を守るために軍備を増やすと、その維持費のために国内のインフラ整備や陸海軍事技術の投資へ予算を割きにくくなり、軍事力の技術的優位性を維持できなくなります。
技術発展したいならあまり領土を拡大しない方が有利なのです。
これはイングランド(※イギリスとほぼ意味は同じですが、イギリスはスコットランドと北アイルランドを含めた「連合王国」を意味する場合が多いのでイングランドとします)で実際にプレイした時の話です。
グランドキャンペーン(400年の興亡)をイングランドでプレイすると最初からとんでもない状況に直面します。スコットランドとフランスとのニ正面戦争です。悪夢です。挟み撃ちにされています。そこでスコットランドとはアイルランドの領地を割譲して早期講和し、できる限りローンを借りて兵を増やしてフランスに攻めかかります。フランスもまた一種の内戦状態でブルターニュやブルゴーニュと戦っています。勝機は我にあり。
西暦1419年の状況
(クリックで拡大します)
アイルランドの領地(白丸)をスコットランドに割譲します。大陸の白丸はイングランドが大陸に持っている領土です。
このゲームでは、プロヴィンスを占領すればそのまま領土に組み込めるわけではありません。あくまで相手国との交渉によってすべて決まります。交渉を有利に進める材料として敵軍に勝利を重ね、敵国のプロヴィンスを占領することが求められます。特に首都を攻めるのが効果的です。イングランド軍はフランス王国の首都が置かれるイル・ド・フランスを占領し、他のプロヴィンスの城も攻め落としました。
戦後の状況(西暦1421年)
ピンク色の枠がフランスとの和平交渉で新たに獲得した領土です。
イングランドはその後もフランス占領を目標に戦いを進めます。西暦1462年の状況
フランス国王領はわずかに3つ。灰色はフランス国王領ではありません(ブルボン領かな)。みどり色はサヴォイ伯領だったはず。フランスは完全に分裂状態です。
西暦1502年の状況
イングランドがフランスの半分以上を占領しました。あと旧アラゴン領も占領。フランスの西側の広い白い国はオーストリアです。フランス全土占領までもう少し!
1535年の状況
着々とフランス占領を進めるイングランド。フランスの首都がイル・ド・フランスから移りました。イル・ド・フランスは膨大な人口を擁するプロヴィンスです。アフリカにも進出しようかと思います。
西暦1585年の状況
アルジェリアをほぼ占領。当たり前ですが首都は貰えず。併合すれば首都も手に入ります。
領土拡張は勝利ポイントが増えるので良いことですが、収入(上段のIncome Calculation のTotal)があまり上がっていません。1535年に68.4だったものが1585年に78.5となって10上昇していますが(ただし月ごとのばらつきもあります)。同時に軍事費(中段のMilitary Maintenance)も28.8から44.8に20上昇しています。財政的には10マイナスになりました。これでは売れば売るほど赤字になるPS3と同じです。PS3の場合はソフトのライセンス料で儲けるそうですが。
西暦1622年の状況
北アフリカ東部をほぼ手中に収めても収入は74.6。少し下がっているくらいです。軍事費が20ほど下がっていますが、これは戦争によって消耗した分を補充していないからです。補充すると収支状況がさらに悪化します(すでに月間ベースは赤字続きで毎年1月1日に入ってくる年間収入だけが頼りです。一度に借金をできるのは200ダカットで5本までです。返済は5年間ですが借り入れ期間を延長すると利子が増えます)。そのため技術への投資より、軍備を削減してみました。
広大な国土を守るには軍事力が必要なのは重々承知しています。しかし質も落とすわけにはいきません。他国より軍事テクノロジーが遅れていると数を揃えても負けてしまいます。軍事技術や他の技術にも最低限の投資が必要です。
先ほど説明したように技術発展の面では小国が有利です。その好例がオランダです。オーストリア統治から独立直後のオランダは、オーストリアの技術を継承しているので陸軍技術は高いのですが、海軍技術では劣っていました。しかし状況はすぐに変化します。
1605年のイギリスの陸海軍技術
陸軍技術はルネッサンス(12)。海軍技術は中世後期(9)
それから17年後…
陸軍技術はまだルネッサンス(12)で、海軍技術が中世後期(10)に上がりました。
一方1605年のオランダはというと
陸軍技術はまだルネッサンス(14)で、海軍技術が中世後期(6)です。オーストリアが陸軍技術に重点的に投資していたからでしょう。
これが17年後には
陸軍技術がルネッサンス(16)に、海軍技術が中世後期(10)に上昇です。陸軍技術でイギリスはさらに差をつけられ、海軍技術でも追いつかれました。
この私にどうしろと?そんな時にオーストリアがイングランドに宣戦布告
そしてスペインも宣戦布告してきました。
イングランドの終わりです。
今回の教訓、
過激な領土拡張は豊作貧乏と同じ。
簡単には勝たせくれぬゲームでござるよ… 北アフリカがいけなかったか…
次こそ勝ってやる!折角買ったんだし!
次回に続きます(リンク)。
アマゾンだと時間がかかるみたいです。

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おひさしゅう御座います。「似て非なるもの」ですか!
竹花さんのプレイ記なのに何故か?購入意欲が今回は沸きません やはり アイランズⅡと外観が似てるからでしょうか
ヨーロッパの歴史って?狭い土地の中に他民族 多種多様の言語 宗教との絡み 時代時代で変わりすぎる国家間の領地と国境線 国名も変わりすぎと~
日本 朝鮮 中国 等の東アジアの歴史と比べると実に複雑w
このゲームって? アイランズ+シュライゼーションを割ったような感じなのですか?
投稿: とまと | 2006/11/26 15:32
とまとさん、ご無沙汰です。
購買意欲がわかない!むむむ残念です。
アイランズというのは知りません。すいません。
これは秀逸なゲームなのですが、普通のやり方をすると負けちゃうのですというメッセージをこめたつもりですが、最初に負け試合を持ってきたのが良くなかったかもしれません。
勝つ方法を見つけました(というか昨日勝ちました)、それは属国化です。これが稀に見る優れたシステムです。プレイヤーを混沌に叩き込むシステムです。
それはまたのちほど…
投稿: 竹花です | 2006/11/26 16:00
すいません! 英語苦手でスペルが解らなかったもので~~
ハーツオブアイランズⅡのつもりでした
やっぱ!帝国海軍の軍艦マニアな私にとっては日本海軍が登場しないのは悲しいかもです(笑
また!いつもの無駄話ですけど、ハーツオブアイランズⅡと以前ここに貼り付けさせて貰った私が発見した太平洋戦争時の状況をQ&A方式で説明してあるサイトとで 間違った歴史認識を改められたので、あのゲームには感謝しております。
戦艦を造船するのって?高水準の工業力と技術力がいるので 戦艦を作れる能力がある国は当時で 米 英 独 露 日 伊 普 だけだったそうなので 大和型戦艦を作りあげた日本は科学技術力も凄いのだと思ってたんですが 科学技術では実にお粗末な物だったとわ......
どうりでwハーツオブアイランズでの日本の企業の数値低いはずなんだなーと(笑
ドイツ アメリカは ゲーム内では凄まじい能力ですが あのサイトで納得したものです。
調べれば調べる程 当時のアメリカとドイツの科学水準って凄いんですね!ジェットエンジンでも ドイツは1939年に既に初飛行も成功させてるですね!どうりで電撃作戦でヨーロッパを席巻できた訳なんだと.....
改めてマッタク勝ち目の無い戦争をしかける当時の首脳には感心するばかりです(笑
投稿: とまと | 2006/11/27 00:55
とまとさん、どうも。
確かにハーツオブアイアンⅡで日本の科学技術は史実どおりお粗末でしたね。
あの戦争は結局、日本もドイツもアメリカとソ連のために世界に権力空白地域を作っただけだったとも言えます。なにやってんだか。
近衛文麿がシナ事変で蒋介石と適当なところで講和していたらと悔やまれます。
中華民国への侵攻作戦が三ヶ月で終わると言ったのは東条英機だったはずです。
重光葵いわく「彼には広量と世界知識とが欠如していた。もし彼に十分な時があり、これらの要素を修養によって具備していたならば、今日のような日本の破局は招来しなかったであろう」
投稿: 竹花です。 | 2006/11/27 04:29
補足です:
ハーツオブアイアンとシヴィライゼーションを足して割ったような感じです。内政投資によって国力が増加したり、安定度(国民の満足度)によって収入などが上下したり、外交が重要だったり、新世界や旧世界を「発見」できる点がシヴィライゼーションに似ています。
それが面白いのですよ。シヴィライゼーションのようなターン制ではないのがやはりハーツオブアイアンを作ったパラドクス社ですな。
投稿: 竹花です。 | 2006/11/27 04:34
近衛文麿さんは いいですねぇ~
公家さんなのにバランス感覚に優れて
当時の軍部の暴走した国粋主義思想でない時代なら
中華民国3ヶ月で征服って甘い見通しも笑っちゃいますが、仮に?そうなったとしても?アメリカと戦う限りは戦局になんら影響無いような....当時は地下資源も発見されて無かったし、油田等を発見したとしても当時の技術力で油井や精製出来る施設を作れたのか、まず、無理だったんじゃないでしょうかねw
ぶっちゃけ?中国征服のメリットって?当時では人的資源が殆どって事ですかね?
なら?戦略的には防衛範囲が増えるだけでメリット無いですよね
そうそう シュライゼーションの日本語版の拡張パックが12月に出るそうですね 悩みどころです。
投稿: とまと | 2006/11/29 06:19
とまとさん、どうも♪
日米開戦の原因は諸説あり、アメリカが満州の利益を狙っていたからという話もありますが、拙者は日中戦争の拡大によって日本が南進して、大英帝国領を脅かす危険が出てきたからアメリカは対日経済封鎖を行い、真珠湾攻撃に至ったという立場です。
ドイツとの開戦したいアメリカが日本に攻撃を仕掛けさせたというのも最後の最後ではありますが、最初からの意図ではないでしょう。
シナ事変なんか起こさなければ太平洋戦争は起こらなかった公算が強いです。
シナ事変は満州で破壊活動を行う国民党(中華民国)を懲らしめるために行った軍事作戦なので資源とは直接的に関係ありません。
おっしゃるとおり、中国の征服のメリットはなかったでしょう!ゲームとしては面白いですが、実際にはほんと無駄です。
シヴィライゼーションの拡張パックも出るんですね!これは究極の選択です…
投稿: 竹花です | 2006/11/29 09:35