2022年4月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

記事検索できます

最近のトラックバック

« 帰ってきた時効警察、第2話:納豆足はナターシャといっても過言ではないのだ! | トップページ | 北海道サミット、お土産は「わかさいも」だらう! »

2007/04/24

大地の咆哮:元上海総領事が見た中国

適材適所という言葉がありますが、これは「適材適書」です。著者である杉本信行という外交官が中国に赴任し、ODAを中国側の優先順位でなく、日本の優先順位で行わなかったら、この本にあるように中国の内情が見えなかったことでしょう。

序盤は著者が初めて中国に行ったときの話しから始まります。

特に興味深かったところを書いていきます。

第十章「搾取される農民」というタイトルはある意味生易しい。中国の農民は奴隷以下です。共産中国において農民は「身分」なのです。ある農家の年収は日本円で2000円程度の極貧にあえぎ、食べるのにも困っています。そして都市住民が受けられる行政サービス(年金、医療保険、失業保険)を農民は一切受けられません(理由は農民は生産手段である土地を保有しているから)。

しかも地方の役人が困窮する農民から勝手に税を取り立てるという、これは共産主義ではなく封建社会ですよ。農民が都市で働きたくても、「農村戸口」と呼ばれる戸籍のために都市に移動できません。これは歴史で言えば「農奴」です。

しかも中国政府は共産党との二重構造になっているので、役人の数も二倍。しかも農民を助けず、搾取している。災害が起こったときに日本から送られた衣類の良いものは、役人が持っていったとか。

喰うに困った農民は都会に出てくるわけですが、違法なために子供は公的な教育を受けられないし、差別も受ける。貧しいから馬鹿にもされる。これが社会的問題にならないはずがありません。

中国には九億人ほどの農民がいるそうです。

中国の歴史においていくつの王朝が農民の反乱によって倒れてきたことか。

第九章に中国の水不足の問題が書かれていましたが、これは極めてまずいです。
水がなくなれば「文明崩壊」します。


この2冊もお勧めです。これまでに自然を利用して繁栄し、自然を壊したために滅亡した文明について書かれています。日本は自然を保全したから文明を保てたとも書いています。

中国が世界経済に与えている影響について:

中国のGDPは世界の総GDPの4%しかないものの

鋼材消費は世界の27%、石炭31%、セメント40%、アルミ25%、石油7.4%だそうです(p271)。

そしてGDP1万元を生み出すために必要なエネルギーは日本の9.7倍、世界平均の3.4倍だそうです。無駄が極めて多いということです。為替が変われば、競争力がなくなると言えます。

社会格差の拡大によって生まれた経済的弱者の不満が高まるなか、共産党は独裁の正当性を確保するため(反政府運動が起こらないように)、反日政策を掲げるだけでなく(共産党の御旗のもとにナショナリズムを煽るということでしょう)、経済発展も追及しなければなりません。

そのため「経済成長率を高めることが、国家レベルでも地方レベルでも至上命題となり、消費が伸びなくても、(工場や住宅などの)固定資産投資を伸ばせば一定の成績(経済成長率)を上げられることから、彼らはそうした政策(固定資産への重点投資)に走らざるを得なかった」(p274)。これが中国の建設ラッシュです。

普通建設は経済のバロメーターになるのですが、中国は真逆だということです。

さらに不良債権処理についても、貸出総額の中の不良債権を減らすのではなく、貸出を多くすることで不良債権の割合を減らすという暴挙に出ています。これを著者は「底なしの不良債権問題」と呼んでいます。

増やした借金はいつか返さなければなりません。日本のバブルがはじけた後どうなったのか考えれば、中国のバブルがはじけたときにはどうなるか想像に難くありません。

中国に期待する方も、中国を脅威と感じる方も是非ご一読を。
日本のODAが「日本の協力」でできたという風に看板を掲げるのに苦労したという話も載っています。中国に先進国のルールは通用しないことがよくわかります。

明治維新から太平洋戦争へと至る日本が再現されているのかも。

« 帰ってきた時効警察、第2話:納豆足はナターシャといっても過言ではないのだ! | トップページ | 北海道サミット、お土産は「わかさいも」だらう! »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

先日NHKでも、中国の貧富の差を特集した番組を放送していましたね。よく「当局」が貧困層の撮影を許可したものだと思いましたが、よく考えたら、あれは内モンゴルの人たちだから? それにしても「農奴」とは……。教育を受ければよい生活が送れる、とかそんなレベルではないですね。おそろしや。

Lallaさん、どうも♪

その貧富の格差の問題に焦点を当てたNHKの特集を見たような気がします。確か村を挙げて1人の娘を大学に送るとかそういう話でしたね。

義務教育すらままならないのが現実のようです。

資本主義社会は最終的に少数の人間が富を独占し、大多数の人々がプロレタリアートになるというマルクスの予測が共産中国で的中しました。

一切規制を設けず、自由経済を本当に自由にするとこうなるのかと思いました。

ではでは~

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大地の咆哮:元上海総領事が見た中国:

« 帰ってきた時効警察、第2話:納豆足はナターシャといっても過言ではないのだ! | トップページ | 北海道サミット、お土産は「わかさいも」だらう! »