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2007/06/30

毛沢東は盗賊だったのか!:中国の大盗賊・完全版

「中国の大盗賊・完全版」は毒舌です。人間味溢れる中国史解説です。

毒舌の一端を…

儒家は冠婚葬祭、儀式業者である。

こういうストレートな言い方、惚れてしまいます。

高校の世界で中国史をやりましたが、これを読むと、そういう裏があったのかと思います。中国と日本は、社会システムやメンタリティーが根本的に違うんです。日本の常識で、中国は語れないとわかりました。

中国で身代金目的の誘拐犯が人質をとるときは、子供でなく爺さんを取るそうです。その方が家族から金が集まるからだとか。

先日、項羽と劉邦を読んで、劉邦がチンピラみたいなのからのしあがったというのはわかったですが、明の王朝の太祖、朱元璋も盗賊一味だったとか。

盗賊とは、土地を持たないあぶれた農民がなるもので、これは官軍と持ちつ持たれつの関係を築いてたりします。官軍のほうも、元々あぶれた農民なので、どっちもどっちなんだそうです。

明王朝末期、いろんな盗賊が中国で暴れるのですが、首領クラスが官軍に窮地に追い込まれても、降伏すると官軍の大将にしてもらえるという話も載っています。

明を滅亡させた李自成は中国では人気がある人物だそうです。そして中国の歴史史観(共産党史観)ではいろいろご都合的に弄繰り回されているようです。李自成は地主階級を敵に回して、農民政権を樹立したとか、これでは歴史ではなく、共産党を正当化するプロパガンダです。

満州族は満洲族が正しいそうです。それは文殊のことで、女真族が文殊菩薩を信仰していたからそう自称するようになったと。ためになります。

びっくりしたのが太平天国の乱の洪秀全。これは結構笑えます。洪秀全の部下に楊秀清というのがいて、この男にはエホヴァの神が降臨して(演技ですが)、リーダーの洪秀全をひっぱたいたり、洪秀全と同じ「万歳」という位にしろと言ったりして、堪忍袋の緒が切れた洪秀全に殺されます。それに怒った楊秀清の部隊と洪秀全との間で衝突が起こり、首都が戦闘状態なったとか。どんな太平天国なんだか。

この洪秀全も、毛沢東時代の歴史史観(共産党史観)には偉い人だったのですが、それ以降は反動的のレッテルを貼られています。しかも、この正反対の論文を同じ歴史家が書いているあたり、我々とは何かが違います。

毛沢東のスローガンは「造反有理」(=お上をやっつけるのは良いことだ)。この人に正義という文字はない。スターリンに「マーガリン・マルクス主義」と揶揄されたとか。バターの振りをしているが、実はバターじゃない。そりゃ中ソ紛争だって起こります。

毛沢東はトウガラシが大好きだそうで、血の気が多いんですね。「政権は鉄砲から取り出す」と豪語します。

中国共産党は1927年に秋収暴動を起こしますが、これは農民一揆のようなものではなく、中国工農革命軍が起こしたものであり、しかしその大半は「ゴロツキ」の集まりだったそうです。

文化大革命では、他の王朝で儒家を殺したようにインテリ狩りが行われます。

最後の感想として、歴史が国体維持のためのプロパガンダになっています。これを勉強させられた中国国民に歴史認識の是正を訴えても埒があきません。無理です。

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