年金問題の正しい考え方
このままでは年金は確実に破綻します。でも制度を変えれば持続可能になりますという趣旨の本です。
そんな制度でも未納者が多ければ多いほど年金制度は崩れません。実は年金は入っていない人が馬鹿を見る制度なんです。そういうショッキングなことも書いてあります。
社会保険庁の記録がめちゃくちゃなのは問題ですが、それは制度とはまったく別問題です。鉄道会社の点検がずさんだから事故が起こったとしても、だからといって鉄道網が悪いわけではないのと同じです。電車がなければ困ります。
安倍内閣が悪いから年金制度がおかしいのではなく、1973年に制度ができた時点から予測が甘すぎたのです。
元々人口の増減や経済の変動に対して年金の支給水準を変更させる調整機構が制度に組み込まれていなかったそうです。そこで2004年にマクロスライドを導入しました。これは持続可能な年金制度へ一歩近づいたと言えるようです。しかしまだまだです。
基礎年金分を税で賄うのは自分も良いと思っていたのですが、筆者は反論しています。
248ページにこんな試算が出ています。
高齢者に一律基礎年金を満額支給すると2005年段階でも総支給額が20,1兆円に増えます。これから高齢者人口が増えていきます。すると2025年には27.5兆円、2045年には28.2兆円が必要になります。
民主党がマニフェストで謳っている、『基礎(最低保障)部分の財源はすべて税とし、高額所得者に対する給付の一部ないし全部を制限します。』は長期的に見ると無理があるということになります。
民主党案では高齢者に一律に払うわけではありませんから、上の試算より減額されるでしょうが、果たして何割の人が除外されるんでしょうか?あまりにも対象者が多ければ、安心できる年金制度とは言えません。
しかも2025年には7兆円負担が増えます。今自分は35歳ですから53歳になります。まだ働いている側です。以後10年以上は働かねばなりません。そういう時期に7兆円(ちなみに19年度の防衛予算は4.8兆円、公共事業関係費が6.9兆円)税負担が増えます。
これを増税せずに歳出削減で賄えるんですか?
しかも制度改革に手をつけずに?
それは安倍さんだってムキになって小沢さん否定するはずです。
確かに民主党案のように政府の歳出を削減できれば、増税せずに年金を支給できます。では歳出を削減できなかったら?15兆円削減って凄いですよ。夕張みたいにしないとダメなのでは?所得税の見直しで2.7兆円浮くってどういうことですか?
それでも勝つかも民主党。年金を全面に出してますが、これって真珠湾攻撃をした日本軍に似ているような。緒戦で勝っても、次の戦略が見えません。
今日珍しく、サンデープロジェクトを見てたら、新聞社の解説員の人が、「年金記録紛失」の情報が出てきたのは社会保険庁が自民党が強行採決した民営化案に対する反乱(自爆テロ)なのではないかと言ってました。確かに民主党案は社会保険庁は政府機関として残るんですよね。
自分は間違いなく自民党よりですが、郵政民営化の時の選挙といい、民主党は抵抗勢力の強い味方なのかもと思えてしまう。
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