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« ジョシデカ 第6話 | トップページ | ボーン・アイデンティティを見ました★★★★ »

2007/11/23

トゥモローワールド ★★★★★

ブレードランナーによく似た映画です。肝が入ったイカの塩辛のような苦さがありクセになります。

主人公はデッカードよりも数倍ヘタレです。ブレードランナーと同じで興行的には失敗。でも間違いなく傑作です。映像だけでも十分凄い。驚異的長回しのシーンは無駄に長いのではなく、臨場感を出すためにそうしたらしいですが、ばっちり成功しています。最後の戦闘シーンはフルメタルジャケットかプライベートライアンかというくらい緊迫感があります(主人公は一切銃を撃たないという、これで戦闘シーンが成立しているのも凄い)。コアなファンは多いようです。ウェキペディアによれば次長課長の井上聡だそうです。

テーマというか世界観は、暗い現実とその中での人間の振る舞いのナンセンスさとやりきれない重さ。重く感じるのは、現代の延長線上にあるからかもしれません。

序盤、18歳の人類最後の子供が刺殺されたことをイギリス国民は嘆いていますが、テロや暴力で崩壊した世界から安全を求めてイギリスにやってきた不法移民(fugee:フージー[refugeeのこと。ブレードランナーにて、レプリカントをレプリ(skin job)というのと同じ])を国外に追い出そうとしています。

最後の子供が殺された原因は、この子がサインを求めてきた男につばを吐きかけたからです。そして逆上した男に刺されました。しかし話はここでは終わりません、男性もまた怒った群集に撲殺されました。まったく救いようがありません。そして爆弾テロ。この始まり方、尋常ではありません。

その後、主人公のファロンがジャスパーの家を訪れてテーブルに足を乗せているシーンに、Quietusという薬が出てきます(字幕表示なし。あとから出てきます)これは政府が国民に無償で与える安楽死剤です(でもマリファナは違法だとジャスパーが皮肉ってます)。その後、ファロンが自分のアパートに戻っているシーン。テレビが7時のアラームを鳴らすと、そこにQuietusの宣伝が映っています。中年男性がコップの水を飲んで太陽に向かって歩いていくのがそれです。チャッチコピーはYou dedice when. 「いつにするかを決めるのはあなたです。」

こういう世界観が好きなら観て損はありません。

なぜ人類に子供が生まれなくなったのか一切説明がありません。これが良いんです。秘すれば花です。

ファロンたちが乗る車とき、ラジオのDJが2003年の曲をかけます。その曲紹介でDJが2003年をこう評します: 

beutiful time when people refused to accept the future was just around the corner.

すぐそこまで迫っていた未来から人々が目を背けていた美しい時代。

まったくもって肝が入ったイカの塩辛のようなSF映画です。

この映画、細部までよくできてます。字幕ではフォローできてない面白いポイントを挙げておきます(1回見たあとで見ると良いとおもいます)。

1:序盤、ファロンがセキュリティーゲートを通過するときに見えるポスター。

Job for Brits

仕事はイギリス人に

Save water to save life

水を節約して我々の命を守りましょう

2:ファロンがフィッシュの車から出されたあと、陸橋の下に出てくる宣伝のメッセージ

Avoiding fertility test is crime

生殖能力テストを受けないのは犯罪です。

3:ファロンがジュリアンの依頼を受けて通行許可書を貰いに行く車に光景の中で、広場に群衆の前で男が演説していて、そこに像があり、その台座に書かれていることば:

Infertility is GOD punishument

不妊は神が与えたもうた罰である。

プラカードにはRepent(懺悔せよ)と書かれています。

ジャスパーにファロンがローレンと一緒にランチを食べた女はどうしたと聞き、ファロンは彼女はRenounceすることにしたと答えます。するとジャスパーはRenouncerってのは何ヶ月もひざまずいて救済を求めて祈る奴らか?と聞きます。それはRepenter(Repentする人)だとファロンは訂正します。ファロンはRenouncerとは人類の罪を購うために自らの体に鞭打つ連中だと答えます。

一種の現実逃避です。ムチで体を打つのは中世ヨーロッパで実際にそういう人たちがいました。あの時代も世界の終わりを感じた人が多かったようです。

4:文化大臣のダビデ像(片足が折れて骨折した人みたいに金属の棒が骨の代わりに入っている)。これなんだか象徴的です。ダビデは巨人ゴリアテを石を投げて殺すわけですが、そのダビデの足が金属で支えられている。しかし同じ部屋のピカソのゲルニカは無傷。ゲルニカが最後の戦闘シーンを思わせます。

5 :ベクスヒルで蜂起した不法移民たちが通りで叫んでいるのは「アラー・アクバル(アッラーは偉大なり)」

この映画を観て思うこと:

ジョークにも出てくる世界観

この世界において人類が完全不妊に陥ったこと映画的に説明する過程で出てくるジャスパー(マイケル・ケイン)のコウノトリのジョークが好きです。これ単なるジョークじゃないと思います。人間がコウノトリを食べたから、子供が生まれなくなったという落ちですが、あの社会環境を見れば、確かに人間は知らぬ間にコウノトリ(生殖能力)を食べてしまったのかもしれないのです。

キーが妊娠していて、ジャスパーの隠れ家にファロンとキーが行ったとき、ファロンがキーに誰が父親かと尋ねます。するとキーは「私は処女だと」言い、ファロンがなんだって?と聞き返すところ。キーは冗談だと笑い出します。(商売女だから)誰かはわからないと言います。実際聖母マリアなんじゃないのでしょうか。聖母マリアにしてマグダラのマリア。

すべての子供が生まれなくなって18年後に再び生まれてくる子供は不法移民のキーの子供だった。不法移民を助けるはずのフィッシュなのに、その指導者のルークはキーから生まれてくる子供を武装蜂起の旗印にしようとします。イギリス政府も反政府勢力も権力(集団主義)を志向すれば同じなのかと。

最後の戦闘シーンの終わりの方で、ルークに、ファロンが赤ちゃんは男じゃない、女の子だと言った後、ルークの感情がどっと出てくるところが、ルークが冷酷な指導者から人間に戻った瞬間でした。「目をそむけ」ていたのは政府だけじゃなかったと。

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コメント

僕もこの映画おもしろいと思います。タイトルが出るまでの数分で「おおっ」と引き込まれますね。次長課長の井上がファンだなんて、いかにもウィキペディアらしいどうでもいい情報ですね(笑)。(次長課長は好きですが)

おじゃま丸さん、どうも

>タイトルが出るまでの数分で「おおっ」と引き込まれますね。

あれはビックリしました。

>次長課長の井上がファンだなんて、いかにもウィキペディアらしいどうでもいい情報ですね(笑)。

まったくどうでも良い情報ですが(笑)、ものの解るオタクだと判明しました。

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