反転 闇社会の守護神と呼ばれて
この本、売れてるみたいです。たしかにそこら辺の小説より面白いです。金と利権がらみの犯罪の仕組みがよくわかります。
田中森一(たなか・もりかず)は長崎の極貧の漁民から、検事となり 高い実力を買われて東京地検特捜部の検事になりますが、検事を辞めて闇社会の弁護士として名を轟かせ、最終的に石橋産業事件において詐欺で実刑判決を受けて上告中という、松本清張でも書きそうな話です。
実話ですから、話がリアルです。検事がどうやって容疑者に自白させるのか、その強引な手法というか心理戦が書かれています(ちょっと自慢入ってるかも。でも面白いです)。
阪大汚職事件では、阪大の経理部長にワープロ会社から賄賂がわたっていることを確かめるためにこの経理部長の愛人を呼んで、「あんた、やつの女はあんただけやないんやで」、その金は東京の女から来ているだと教えて、経理部長との関係を認めさせてます。
きっと守屋元防衛庁の奥さんとかもこういう攻め方されたのではないでしょうか。恫喝して精神的に追い詰める方法もあります。絶対に掴まりたくありません。
ニュースの「特捜地検の取調べ」の行間が埋まるような話しが満載です。
防衛省は今は商社との癒着が取り沙汰されていますが、三菱重工CB(転換社債)事件では、この転換社債を使って三菱重工から防衛族議員に利益供与されたようですよ。だけれどもさまざまな圧力によって立件されなかったそうです。
前半は検事時代、後半はヤメ検弁護士という構成になっています。
この弁護士時代の方が途轍もない。
書き方なのかもしれませんが、貧乏人から這いあがってバブル時代に強引に巨万の富を手中に収めて自滅した人たちの話は、なにか悲哀に満ちています。
仕手筋の株の儲け方とかも書いてましたが、金融工学では太刀打ちできない世界です。
これが一番参考になったかも。
ニュースの行間がわかる本です。
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