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2008/08/19

押井守:「凡人として生きるということ」

これは押井守版「バカの壁」なのです(たぶん)。

対象はオタクな若者。北島康介とかではないです。

「若さに価値などない」と言い放ち、「車が趣味です」という親父は所詮ローンを払ってるだけで、妻に隠れてプラモ作ってる親父の方が趣味として充実していると喝破しています。映画監督なのに映画より面白いんですよ(ストレートだからかも)。

若者よ結婚しなさい論:

確かに、子犬を連れて帰らなかったことで、あなたの暮らしは昨日までの暮らしと何ら変わらない、穏やかなものになったかもしれない。だが、子犬を連れて帰っていれば、もっと楽しい、豊かな生活があったかもしれない。それこそ、旅行なんか行きたくもなくなるような、毎日の散歩が苦行ではなくて、楽しくて仕方ないような、そんな暮らしがそこにあったかもしれないのだ。
あなたは何も捨てていないようで、実は大きなものを捨てている。少なくとも、何も選択しないうちは、何も始まらない。何も始めないうちは、何も始まらないのだ。
   子犬は単なるたとえ話であって、これは人生のあらゆる局面に言える真実だ。もっといい女の子が現われるかもしれないと、いつまでも彼女を作らないようでは、いつまでも彼女は作れないし、いつまでも結婚できない。いつまでも結婚しなければ、いつまでも子供が生まれない。
  もっといい家が見つかるかもしれないと、いつまでも家を買わなければ、いつまでも家を買えない。

なかなか面白いです。この後、さらに子犬の話が続きます。押井守は多感だなと思いました。

さらに面白いのは:文明がロリコンを生んだという話から

「文明化は親を虐待へ誘惑する」という展開に:

・・・このように、文明化はすべてにおいてすぼらしいことばかりではない。文明化は、生物としての退化を人類に強いることになる。ロリコン男が幼い子を手にかけるのは、そうした文明化の表れとも言える。自分の遺伝子を搭載している子を守ろうとするはずの親が、我が子を殺してしまうなどという悲劇は、本来は起こりえないことであり、それはもはや親としての本能がまともに機能していないということを意味している。
   これまで検証してきたように、文明化という働きは、性欲という最も根源的な本能さえ無力化してしまう。性が商品化されたことで性欲が文明化された。ひょっとしたら育児マニュアルのような子育ての文明化が、母親たちの本能を狂わせているのかもしれない。子供の成長が思わしくないからと言って、子供を殺してしまうという矛盾した事件も起きているが、それも、子育ての文明化という文脈で読み解くと、意外に当然の帰結のような気もする。
  とにかく、本来ならぼ本能に任せておくべき分野にまで文明化の波は及んでいる。高度に文明化した現代社会では、あらゆることが商品化され、消費されている。郊外のパチンコ店には広大な駐車場が完備され、道路が整備されてアクセスが便利になり、小さな子供を育てる母親でも簡単に行くことができるようになった。
   そこまで便利になれば、当然のように欲望にかられて子供連れでパチンコに行く母親が出現する。そして、車で寝ている子供を置き去りにして、パチンコに興じることになる。そうやって、熱射病で何人の子供が命を落としたことだろうか。
   そんな罪を犯した母親に「それが母親のすることが」といくら糾弾したところで、意味のないことだ。かつて、身近にパチンコ店などない時代は、赤ん坊をかかえて、汽車に乗って、パチンコ店のある都会まで出かけて遊ぽうという母親などいなかったはずだ。どんどん社会を便利にして、母親たちを誘惑しておいて、「子供を置いてパチンコするとはけしからん」と糾弾するのはご都合主義に過ぎる。(98-99)

かなり極論ですが、そういう側面もなくはないと思います。読書感想文には使えなそうです。

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コメント

> 読書感想文には使えなそうです。

ああ、そーいう季節ですよ。読書感想文なんて(少なくとも小中学生くらいでは)百害あって一利なしなのに、未だに夏休みには出されています。

最近、新書は中身が薄くてつまんないのばかりですが、これは読んでみます。

baldhatterさん、どうも

>読書感想文なんて(少なくとも小中学生くらいでは)百害あって一利なしなのに、未だに夏休みには出されています。

前にもどこかで書いたと思うのですが、この本は面白くなかったと発表して教室の爆笑をさらいました。つまらないと書いてもだめというのは如何なものかと思います。

>新書は中身が薄くてつまんないのばかり

最近の新書が結構売れているみたいですが、内容的に危険な傾向だと思います。映画とかドラマもそうですが、王道は数多の邪道の中から出てくるわけで、このままではまずいことになりそうです。

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