爆笑問題のニッポンの教養:子安宣邦
子安宣邦という人は、極論すれば、日本の思想的左翼の真髄という印象を受けました(リンク)。精神的構造を垣間見た気がします。
戦前日本を全否定するために、戦前日本の「日本」は架空のものとしたいようです。一種の懺悔ですかね。
太田が言ってることが的を射ていたと思います。
日本という概念は一言で説明できるものじゃないと思います。これは神は何だって議論に近いです。
中心となるべきものがあって日本という概念が形成されているのではなく、状況に置かれて初めて形成されると思います。時間を知覚するというのに似てると思います。状況認識の道具が転じて、絶対的存在となったみたいな。
普段は時間は気にしませんが、電車に乗るとか、野球を見るとかそういう時には時間を気にする必要があります。気がつくと時間の奴隷になってるみたいな。
大戦期の日本が国粋化したのも、状況なんだと思いますよ。現代のイスラム原理主義もそうでしょう。
結局、個々の日本人が自分の置かれた国際+社会的状況を過去と照らし合わせてみた結果の総意なんじゃないかと思います(強要される面があるとすれば、それはインプットの部分、子安宣邦が言うように歴史教育)。江戸時代には一般庶民が日本を認識する必要がなかった。それだけのことです。
第9条を守ろうって人たちはあれが日本のアイデンティティーだと断言してます。戦時中の国体護持みたいに、実は極めて民族主義的な側面があるんじゃないですかね。
本当に世界市民を目指すなら、オリンピックなんて開催しなきゃ良いんです。
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>>本当に世界市民を目指すなら、オリンピックなんて開催しなきゃ良いんです
子安さんのウェブサイトに行くと、「オリンピックというナショナリズム昂揚番組によってナショナリズムを疑う番組が再々延期されるのは、まことに遺憾。」と書いてありました。
http://homepage1.nifty.com/koyasu/remark.html
投稿: がんちゃん | 2008/09/10 22:08
>>第9条を守ろうって人たちはあれが日本のアイデンティティーだと断言してます。戦時中の国体護持みたいに、実は極めて民族主義的な側面があるんじゃないですかね。
爆笑問題太田は「憲法9条=日本のアイデンティティー」派なんですが、ご存知でしたか?
投稿: がんちゃん | 2008/09/10 22:12
がんちゃんさん、どうも
>子安さんのウェブサイトに行くと、「オリンピックというナショナリズム昂揚番組によってナショナリズムを疑う番組が再々延期されるのは、まことに遺憾。」と書いてありました。
あの人ならそう言うと思います。学者なら遺憾と言うだけでなく、「なぜ放送されるのか?」を問うべきです。支持する社会があるということを忘れてます。
>爆笑問題太田は「憲法9条=日本のアイデンティティー」派なんですが、ご存知でしたか?
「太田総理」でそれに近いことを言ってますね。左翼がコスモポリタンってのは虚像です。かなり民族主義的だと思います。
ただ太田はこの番組では逆のスタンスを取ってました。あえて違う立場から問う、禅問答みたいなことができる芸人です。「太田総理」を見ててもそう思います。
投稿: 竹花 | 2008/09/10 23:08
追記:社会学にありきたりなモラルを持ち込んじゃ、先に進まないと思います。まずそういう既成概念を取っ払わないといけないんです。
投稿: 竹花 | 2008/09/10 23:11
一年以上前の記事へのコメントでご免なさい。
文章を拝読し管理人さんのお考えを是非とも知りたいなと思いました。
子安氏は公演や自身の著書において、頻繁に、靖国神社の存在こそ国家による戦争の正当化と説いています。
国家自ら戦没者を祀る事で、戦没者を殉教者として扱い、国家による戦争肯定の意図を宗教の神域の中に隠してしまいたい意図がある…と言う話なのですが、どうなのでしょう。
同意や反論以前に、私はそもそも戦争行為の肯定や否定という意味がよく解りません。
戦争は何も過剰な侵略戦争ばかりでなく、情勢により必然性をもって勃発する場合もあり、"国は国益を守るもの"という立場を否定するか、全ての国家や民族を統一しない限りは常に開戦の可能性を孕み、それは概念的に至極当然で肯定も否定も無いと考えます。
子安氏の、靖国を巡る主張に対して、私は「その様な意図と推測する事も出来る」と言う意味で否定しません。
ですが、実際は断定的なので疑問を感じるのです。
国家である以上、戦争は概念的に有り得る物で、それを「肯定・否定」だのと扱う事にズレを感じます。
日本は積極的な戦争を肯定したがっている、という考えを氏はお持ちなのかも知れませんが、力強く論理的に見え断定的な反面、論拠自体が意思的な推論に立脚している様に思います。
靖国の存在は、国家による、戦争の積極的肯定の証と断定出来るのでしょうか。
本当に難しくて煮詰まっているので、聡明な管理人さんのお考えを、是非ともお訊きしたいです。
何だか子安氏に対しては根っから盲目的な左翼の賛同か根っから盲目的な右翼の感情的な反論が多くて、真っ当な方の感想を知りたいです。
すみません、長文な上に何だか支離滅裂で。
投稿: 通りすがり | 2009/11/24 11:58
通りすがりさん、どうも
>何だか子安氏に対しては根っから盲目的な左翼の賛同か根っから盲目的な右翼の感情的な反論が多くて、真っ当な方の感想を知りたいです。
少し話はそれますが、ムッソリーニはもともと社会主義者でその後ファシストに転向しました。盲目的な左翼も盲目的な右翼も、根は同じだと思います。
内在的にはともに国粋的であり、違いは理想の後ろ盾が違うだけだと思います。
左翼は反戦=日本というアイデンティティに固執し、右翼はそれ以前の日本の価値観(といっても明治以降の価値観)を拠り所としているのではないでしょうか。
どっちも理想主義的すぎて、あまり現在の世界状況に合ってないのが問題かと思います。
>そもそも戦争行為の肯定や否定という意味がよく解りません。
戦争はしないに越したことはないと思いますが、やむをえない状況もあると思います。サウジアラビ軍がイエメンのゲリラと戦ったり、ISAFがタリバンと戦うのを否定できないと思います。
20世紀初頭、中立主義を標榜したベルギーが2度にわたってドイツに侵略されています。悲しいことですが、理想だけでは地政学的現実を覆せません。
靖国神社が戦争の肯定っていうのは、理論の飛躍ではないでしょうか。確かに戦争を美化するような博物館はありますが、それは戦没者の功績を称えるのは心情として普通であって、戦争の肯定というのには疑問があります。
だったら原爆記念館は「反米主義の肯定」という理論も成立することになります。
投稿: 竹花 | 2009/11/24 19:40
ご返答頂きまして本当に有難う御座います。
盲目的な右翼と左翼はどちらも国粋的、本当にそうですね。
あまりに理想主義が過ぎて、その事実を無意識に見て見ぬふりをしていたかも知れません。
やはり証拠も無く、現時点においては極論と言う事でしょうか。
何だか少し"つかえ"が取れた様な思いです。
追悼施設などは心情的な理由から作られたのだと認識していた事もあり、何だかやたら断定的な子安氏の主張に面食らってしまいました。
実になるお話を本当に有難う御座いました。
まるで楽しい講義を受けた様でした。
色々と、勉強します。
投稿: 通りすがり | 2009/11/24 21:51
通りすがりさん、どうも
>やはり証拠も無く、現時点においては極論と言う事でしょうか。
極論だとおもいます。
感情的な衝動を正当化するために理論武装した主張は極論になりやすいと思います。科学理論も原動力は感情的なものでしょうが、科学理論との違いは、しっかりとした検証をしなくても、なんとなく正しいと思えることで、そこが問題だと思います。
今の「仕分け作業」なども感情的な気がします。だからスパコン開発とかGXロケット開発は無駄だとかそういう極論が出てくるんだと思います。GXロケットに使われるLNG燃料エンジンはいいものなんですけどね。
ある宗教に入るために過去を無条件に「今までの私は間違ってました!」と全否定するのと同じでしょう。
…と書きましたが、来年にはまた違うことを言ってるかもしれません。
投稿: 竹花です。 | 2009/11/25 08:56