ディア・ドクターを見ました ★★★★☆
この映画は最後のワンシーンのためにあるのかもしれません。
ちょっとネタバレありです。
松嶋尚美だったと思うのですが、前半は笑福亭鶴瓶なんだけど、後半は伊野治だったと言ってました。
言いえて妙です。
おそらくこういうことではないかと。
前半の雰囲気は事件性を織り交ぜて描いてますが、主人公・伊野治(鶴瓶)は田舎の医者で、「鶴瓶に乾杯」的な雰囲気です。でもこの伊野治は偽医者(だけど義理堅い)なので住民に祭り上げられ、瀕死の怪我人が運ばれてきたものの、どうすることもできなくてうろたえちゃうあたりから、伊野治が全然笑わなくなります。
笑わない伊野治。笑わない鶴瓶が凄く自然です。
(人として)良い医者なんだけど偽物っていう、偽物だけど必死にあがく苦しみを野球のバッターに喩えてました。このあたりが面白いなあと。
そして偽医者が鳥飼かづ子(八千草薫)が癌なのに娘達に心配をさせたくないという願いを酌んで、母親が胃潰瘍だというのを疑うホンモノの医者の鳥飼りつ子(井川遥)を安心させるために、胃潰瘍の斎門正芳(香川照之)に胃カメラを飲ませて撮影し、その写真を見せて納得させます。偽物が本当の病状を知っていて、逆に誤診に見せかけるというのが、なかなかやるなあと。
だけど悪いことはできないもので、あと1年後しないと娘は帰ってこれないとりつ子に聞かされた伊野は、とつぜん立ち上がりカブに乗って逃走します。
ここで思い出したのが、イカロスが蝋で作った偽の翼をつけて天に舞い上がったけれども、太陽の熱で翼か溶けて落下して死んでしまったっていう神話。
そして最後、病院に入ったかづ子が配膳係(?)からお湯のカップを受け取ると、それが伊野治というオチ。
良いオチだと思いますよ。
波多野(松重豊)は本当に嫌味な刑事なんですか、これがまた話のカウンターウェイトになってて良い感じでした。
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