龍馬伝 第17話 怪物、容堂
最後の5分までは「怪物、容堂」というより「菩薩の微笑のお佐那様」でした。でもこの最後の5分が強烈。
咸臨丸のシーン、ちゃんと海で撮ってますね。
勝麟太郎がジョン万次郎に龍馬を海軍操練所の頭にしようと話しますが、これは容堂に勝と龍馬が謁見して、龍馬の脱藩の咎を解いてもらおうとしたら、武市半平太もここまでよ!という展開につながるわけです。
勝麟太郎と龍馬が各藩邸を回って藩士を海軍操練所に出してもらうように説得する話しぶりが武田鉄矢で良かったですよ。
千葉道場に戻って佐那と重太郎に、3日後に大阪に発つと告げます(海軍操練所が神戸村なので)。しかも江戸には戻ってこられんと。なんですとぉ!という顔の佐那。
わたくし…夕餉の支度を…と龍馬に目を合わせず、佐那は稽古場を去っていく。
龍馬が佐那を呼び止める。
あと3日しか、いらっしゃならないのでしょう? それまでにたくさん精をつけてもらわなきゃ。
佐那さん涙目ですよ!
龍馬コノヤロー!
人斬り以蔵の斬り方がやけにカッコよくなりました。とはいえ以蔵は純朴なので、人を殺める苦悩もあります。以蔵はいいキャラになってきました。以蔵に仕事料を渡すとき、武市半平太が優雅に華を描いてるギャップもなかなかいいです。しかも手渡しじゃなくて、紙に包んで置いてあるっていうのも、俺は汚れ仕事はしていない的な格差を感じます。
富が半平太からの手紙を持って乙女のところにやってきて不安を漏らします。
半平太が偉くなったら、その分大変なことに巻き込まれるんじゃないかと。
すると乙女は、武市さんほどの人がしくじるはずがないぜよ。
鳩山さんも、まさかこんなにしくじるとは誰も思ってなかったかもねえ……
ここで弥太郎ショータイム。地震のあとの家屋の再建に材木が必要だと100本ほど買ったものの、まったく売れず。家を建て替えられない農民にはそもそもそんな材木を買うだけの余裕もないと、わかったときには後の祭り。買った材木の代金を払えず、龍馬の話をネタに坂本家にカネを貸してくれと頼みます。ダメダメエピソードですが、人のフンドシで商売するのは、ファンド連中と同じ思考です。素晴らしい。
龍馬が大阪へ出立する前に、佐那と剣道で勝負するシーンが凄くいい。これもひとつの愛情表現ですか。
お佐那様に教わった剣はわしの宝ですき!
最後に佐那は龍馬に一本取られます。まあ心も取られてしまってるわけですが。
佐那さん9年間も龍馬を待ってたんですか。熱いっす。龍馬が去っても私は幸せだと、坂本龍馬はここにいると、道場に掛けられた師範代の列の「坂本龍馬」の札を見上げる。
お佐那様~!!
加尾とは違う、ある意味あっぱれな龍馬との別れ方です。
咸臨丸の舳先に立ち、海を見ながら半平太の行く末を案ずる龍馬。
容堂はまさに権力の怪物。
勝に語りかけながら、その後ろに控える龍馬を見据えて語りだします。
けんど時勢に乗じて調子に乗りすぎる輩もおる。その男はこう言いゆうそうじゃ。「わしは日本のため、帝のため、大殿様 山内容堂公のために働きゆう」と。
それは武市半平太ではと答える勝。
さすが勝殿、ようご存知じゃ!
勝は容堂に、半平太は(調子に乗ってるというより)忠義一途の家来だからこそ、そう見えることもあるかと意見を挟みます。
すると容堂の問題発言炸裂。
土佐ではのぉ、下士は犬猫同然ながじゃ。
下士の分際で藩を動かそうなど、虫酸が走る!口ではわしのためと言いながら、武市はわしの支えじゃった吉田東洋を闇討ちにしたがじゃ。そんな輩を許してもえい思うか、おんし!
と容堂は龍馬を見据えます。
龍馬は容堂に答えます。
おそれながら、武市半平太殿が作られた土佐勤王党は、ご公儀の命によりご謹慎となられた大殿様をお救い申し上げることを、大義の一つに掲げておったと聞いたがです。武智殿は、一切の私心なく、ただただ大殿様に忠義を尽くされているのではないでしょうか。
容堂から奥底に怒りを湛えた笑がこぼれます。
よう知っちゅうのう。まるで土佐人のようじゃ!
同じ頃、容堂により武市半平太は京都留守居加役として上士に取り立てられます。
盃をあおり、また一献飲み干す容堂。
登り坂もここまでじゃ、武市……
何も知らず上士に取り立てられたことに感激する半平太。
すべてを飲み干す怪物、容堂。
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» 龍馬伝17話(怪物 容堂)の感想 [テレビとDVDと本が大好き日記]
龍馬伝17話(怪物容堂)を見ました。龍馬は勝麟太郎の弟子になり、日本の海軍を作ることに動き出しますね。
そんな時、龍馬は勝とともに各藩に周り、人材を出してくれるように頼みに回ります。
そして、とうとう、土佐藩の容堂に面会することになりますが、容堂は人材を出すことには快く快諾してくれますけれど、脱藩の罪は許そうとはしませんでした。
それどころか、いよいよ、武市を追い落とす算段をし始めたようですね。なんか、不気味ですね。
龍馬は、佐那と別れを告げ、大阪に向かいますが、佐... [続きを読む]
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いいですねえ、重く揺るぎ無い悪辣さ。力を持つ怪物はやはりこうで無ければ。
思想の善し悪しとは別に、我が身とその自我に疑問を持たない・自我の体現そのものである存在こそ最強だと思います。
俺はただ俺である、と言う強大な認識がある上で、勝や龍馬の様な歴史的傑物となるか、はたまた権力を支配し巨大な俗物や恐るべき暗君となるか。
(小沢氏なんかは正に後者ですね。)
現実には悪辣な王様なんぞ冗談ではありませんが、歴史と言う無限の物語を俯瞰する時には(不謹慎かもですが)胸踊ります。
しかし一国の殿様を前にして、むしろますます底知れない器を感じさせる勝。
武田鉄矢は最高に上手く演じてますよね。
剛胆、したたか、計算高く合理的で、駆引きに秀で、しかし志熱く。
鳩山さんはどっちの化物にも当てはまらないのにトップになっちゃって…本質がただのバカモノですから権力を振るえもしないし、外圧に弱く、強国には相手にされず、いつも夢ばかり見てる。
スガシカオに『真夏の夜のユメ』と言う良曲がありますが、歌詞を鳩山さんに見立てても聴けるかも。
http://m.youtube.com/watch?gl=JP&warned=True&guid=ON&client=mv-google&hl=ja&v=enLBQdgnxlk
僕は孤独で嘘つき
いつも夢(リベラル幻想)ばかり見てる
君(有権者)は気付いて無い振り
だけどそれでも抱き締めるんだ
まるで吸血鬼みたいに
君の優しさを吸い付くしてしまう気がするんだ
一つ終わらない悲しみが
僕ら(内閣)を包み込んだら
抱き合って朝(唐突に万事が解決する瞬間)を待とう
いつか約束のあの場所(党是)に
辿り着けないとしても
君の手を
僕は離さないから(みんな道連れ)
いや怖すぎる。
一番怖い。鳩山さんの友愛が国民全てを抱き締めたまま日本と言う船は暗い海底に沈んで行くって
投稿: 藤咲 | 2010/04/27 15:56
藤咲さん、どうも
悪辣万歳です。イギリスの失地王ジョンは敬虔なクリスチャンだったそうです。
ナポレオン戦争でぼろ負けしたフランスが二等国にずり落ちなかったのはタレーランの卓越した政治能力があると思うのですが、この人も絶対に良いように言われません。あとキッシンジャーとか。
こういう難局はあんまり賢くない人がいいんです(鳩山さんは東大出身だとか)。
鳩山さんは理念しかないっていうのは怖いですね。国体護持のために原爆投下された大本営のようです。退却計画を考えずに勝てると信じれば勝てるという精神論が危ないです。おかげで沖縄も徳之島も燃え上がってます。反米が反民主党に変わるのがわからないんでしょうかね。
小沢さんの俗物なわりに責任取るだけの図太さがないから、逃げまくるのではないかと思います。
投稿: 竹花です。 | 2010/04/27 18:23