タイムスクープハンター かぶき者たちの夜
江戸時代のヤンキー伝説かと思いきや、彼らは遅れてきた武士っていう、またも泣かせる良い話。
最後の殴り込みのノーカットの長回しにやられました!
時は1656年3月24日、大阪冬の陣が終わってから40年ほど過ぎた江戸時代始め、京都や江戸にはルールを逸脱した派手な身なりで、喧嘩に明け暮れる町の無法者、かぶき者の話。大太刀をさして鷹とかカラスの羽つけたりして、ネイティブ・アメリカンの儀式の服装みたいですよ。醜名(しこな)も鷹とかカラスとか。そういうのと同じ流れかもしれません。
スカジャンに虎とか龍とか入れるのもその流れなんでしょうか。
町人や牢人出身の町人奴(ちょうにんやっこ)「赤鷹組」のリーダー赤羽鷹太郎(23)、風間雉之介、黒目烏吉の三人は、いつものように日が暮れて馴染みの茶屋に入って腹ごしらえして、夜の町に繰り出そうとしたら、烏吉が赤鷹組を抜けたい、仕事を見つけて茶屋の娘と世帯を持ちたいと打ち明ける。
戦国時代、荒々しい気風は重宝され、かぶく事は一つの美徳とされていた。だが戦乱の世が終わり、平穏な時代が訪れると、かぶき者の気風は存在価値を失ってしまう。
結局、烏吉を残して鷹太郎と雉之介の二人で江戸の町を歩いていたら、旗本の次男三男のかぶき者である旗本奴(蛇三郎の一派)と出くわし、肩がぶつかったとかどうとかで喧嘩沙汰。ヤンのかオラ~、ヤルかコラ~、(刀を)抜けよオラ~って互いに威圧していたら、幕府の取締がやってくる。
ヤンキー映画ですよ。
旗本奴の中の一人に鬼の面をつけてる輩がカッコいいです。
鷹太郎はうまく逃げおうせたものの、雉之介は捕縛され、雉之介と落ち合う場所だった湯女風呂から逃げろと言われる。
俺が何やったんだよと、鷹太郎が女郎に詰め寄る。すると女郎も、
知らないよそんなこと。今のご時世、こんな目の付くことしちゃいけないんだ。
湯女風呂の客衆に見つかった鷹太郎は、風呂屋から追い立てられてる。
幕府の取締が始まると、見て見ぬふりをしていた庶民が一斉に体制側に寝返った。
暗闇に包まれた江戸の市中を一人歩く鷹太郎が怒りを露にする。
あいつら自分じゃ何も決められないくせによぉ、自分じゃ何も考えられないから、世の中が一つの方向に行くと、簡単に流されちまうんだよぉ。クソみてぇな連中だ!
所詮、俺たちは遅れてきた者たちだ。昔はよぉ、身分が低くても戦で手柄立てりゃよ、名を残すくらいのことはできたんだ。
生まれてこの方、二十と三年、長く生きすぎちまったのよ。
「いきすぎたりや廿三」:平和な時代で長生きしてしまったことを恥じる言葉が残ってるそうです。彼らには平和な時代にどこに生きる価値を見出していいのかわからなかった。
さらに烏吉がいる茶屋に蛇三郎が襲われたと、茶屋の娘が知らせに来る。茶屋の中はめちゃめちゃに。茶屋の旦那にもいつまでも粋がってちゃだめなんだよと怒鳴られる。どこに蛇三郎がいるかと聞く、鷹太郎。茶屋の旦那が声を荒らげる。今の世の中なりの生き方ってのがあるんじゃねえかよ!
御託は要らねえ。
罠かもしれねえよ。
俺にはな、俺の生き方しか出来ねえんだよ!
茶屋を出る鷹三郎。殴り込みだ。
行くな、バカヤロウ!と叫ぶ旦那の声を振りきって闇へと駆けて行く鷹太郎。
超カッコいいぜ鷹太郎!
幕府の役人に追われながらも、蛇三郎のアジトへと長い棒を持って殴り込み。
ノーカットですよ!なんだこの臨場感!
NHKさんありがとう!
バッタバッタと旗本奴をなぎ倒し、最後にラスボス蛇三郎の元へ!
挨拶に来たぜ!
蛇三郎は太刀を抜き、鷹太郎と一騎打ち!
こんな息遣いのリアルな面白いチャンバラ初めてです。
鷹太郎は蛇三郎を倒して、烏吉の仇を取るも、役人に捕まってしまいます。
鷹太郎は島流しになって過酷な自然の中でたくましく生きていたが、38歳で破傷風に罹り、独り死んでいった。
これぞ滅びの美学。
泣けます!
次週は明治時代の米の値段を早く知らせる旗振りだそうです。
時代劇が変わりますなあ。
余談:長回しといえば、「ワールド・トゥモロー」の終盤の難民蜂起のシーン。この臨場感もハンパないです(実際は階段で一度切れてるそうです)。撮影準備に14日かかったとか。長回しは大変のようです。
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いつもながら見てないのに見たような気にさせてくれるナイスなレポートありがとうございます。生まれる時代を間違えてしまった者の悲しみってありますよね。僕は間違っても戦国時代に生まれたいとは思いませんが
トゥモローワールドの主役の俳優さん(クライヴ・オーウェン)のくたびれきった感じが好きです。若いころのドナルド・サザーランドにイメージが似てるような。
投稿: おじゃま丸 | 2010/04/06 19:52
おじゃま丸さん、どうも

いやいや見てください
最後の大立ち回りは筆舌に尽くし難いです。
戦国時代の侍は冗談じゃないですが、商人なら儲けられそうです。
トゥモロー・ワールドのクライヴ・オーウェンは白髪混じりでくたびれてて最高のダメダメ感です。タイトルと真逆の渋いテーマの、埋れた名作だと思います。
投稿: 竹花です。 | 2010/04/06 23:11
いやー
自分も昨晩見てました、
この記事を拝読し、数々のシーンが
また甦ってきました。
ホントおもしろかったです!!!
まさに滅びの美学!
主演の俳優さん(鷹太郎役)、いい味出してましたね!(ダレなんだろ?)
投稿: Homeless-T | 2010/04/10 09:49
はじめまして。タイムスクープハンターについての記事を書くにあたって、こちらの記事へリンクを張らせてもらいました。
あまりにも丸投げで申し訳ない感じになってしまったので、ごあいさつにまいりました。よろしくお願いします。
投稿: urasimaru | 2010/04/10 12:55
Homeless-Tさん、どうも
深夜にアクセス数が多かったのは再放送してたからなんですね。
ほんとに面白いですよね~。
鷹太郎は誰なんでしょうね?
urasimaruさん、どうも
読ませてもらいました。なるほど歌舞伎に町奴と旗本奴の対立の話があるんですね。知りませんでした。
投稿: 竹花 | 2010/04/10 14:46