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2010/04/20

タイムスクープハンター “算額”頭脳バトル

和算が熱い。和算の前では誰もが平等。

時は1832年(天保3年)2月11日、奥州のとある農村。雪がないぞ。

今回の取材対象は、旅をしながら各地で数学を教える遊歴算家、橋爪万作。今風に言えばフリーの数学者である。当時、庶民の間では趣味としての和算が広がり、身分や性別を問わずに日本各地で親しまれるようになっていた。

万作の塾で農民の1人が読んでるのは「算法闕疑抄」。

この問題、さっぱりわかりません(笑)(公式サイトのブログに問題と解法がありました)。万作が幾何の問題を解く手ほどきしているとき、鉤股弦の一辺を使えと言ってますが、鉤股弦とは三平方の定理だそうです。算木と算盤も使ってます。

そこに「算額」を両手に持った名主の田子兵衛がやってくる。この村を取りしきる男だ。算学とは数学の問題や解法が書かれた絵馬で、これを神社に奉納する。万作が作った問題や解法を奉納しようというのだ。答えが書かれていない算学は遺題という。こうした算額の奉納は、当時日本各地で行われていた。

万作の塾の玄関先で中を遠慮がちにのぞき込む見窄らしい格好の長身の農民が立っていた。万作が話しかけると、それは貧しい小作人の三男坊、与平であった。算術に興味があるなら塾で一緒にやろうと万作は誘うが、与平は銭がないと断る。金のことは自分が田子兵衛にかけあって免除してもらうと言った。

翌日、遠慮して塾の板の間で算術を学ぶ与平の姿があった。

貧しくとも学びたい。好きだから学びたい。そういう気持ちを万作は一番大切にしていた。

そんな万作の塾に義介が飛び込んできた。神社の算額の前に怪しい侍がいると言うのだ。

万作が神社に行ってみると、その侍は万作の問題を解いていたのだ。答えは七十六歩。明察である。その侍は、江戸の三山流の門下、嘉納源三郎と名乗った。万作と同じ遊歴算家である。立ち去ろうとする源三郎に田子兵衛ができるだけ長くここにいてくれと頼む。田子兵衛は源三郎の実力と江戸の流派というブランドにすっかり心を奪われてしまった。

その晩、遺題をやすやすと解かれた万作はひとり机に向かい、算術の書をめくりながらながら悔しさを噛み締めた。そして翌日、塾に出ると昨日まで来ていた農民たちが与平ともう一人を抜かしていなくなっていた。名門流派の源三郎が新しく開いた塾に農民が流れたのだ。それでも万作は残った二人に算術を指導した。そして指導が終わった頃を見計らって田子兵衛がやってきて、万作に塾を源三郎の指導のために開けてくれと切り出した。源三郎と一緒に教えてくれと頼むが、万作は村を出て行くことにした。

師匠のいない万作にとって、源三郎の門下にはいることは悪くない申し出だった。だが、一人でやってきた万作には、どうしても譲れないプライドがあった。

その夜更け、荷物をまとめる万作のところに与平がやってくる。おっかあが持ってけって、与平は小さな包みを差し出した。芋がらだった。貧しい小作人のせめてもの礼であった。(ここのBGMがバンド・オブ・ブラザースぽくていい)

翌朝、村を去ろうとする万作が、昔は自分の塾だったが今は源三郎の塾となった家の横を名残惜しそうに歩いているとき、源三郎の怒声が聞こえてきた。

なんだと!わしの言うことが聞けんのか!

気になって万作が覗き込むと、源三郎が農民たちに声を荒らげて諭していた。

拙者はそなたらのためを思って、申しておるのだ。いいか、そなたらにはそなたらのための算用があるのだ。

農民たちはもっと難しい算術を学びたがっていたのだが、源三郎はその場に居合わせた田子兵衛に何を指南するかは自分に一任されていると約束したはずだと言って、農民たちの話に聞く耳を持たなかった。

三山流の免除を授かった拙者が、この者たちに合った算術を教えておるのに、何を心得違いをしておるのだ。

農民たちはうなだれ、田子兵衛は申し訳ないと頭を下げた。さらに源三郎の怒りの矛先は与平に向けられた。

あそこにおるものは小作人だというではないか。なぜ小作人に算術を指南しなければならん。

与平は田子兵衛に二度と塾に来るなと追い出されそうになる。

万作は居ても立ってもいられず、源三郎の前に進み出て土下座する。

この者たちの好きな算術をやらせていただくのは、いけないことでしょうか。先生が思っている以上に、この者たちは算術を好いております。まずは好きな算術をやらせてみてはいかがですか。

源三郎は納得がいかない。

この者たちに秘伝の算術を教えて、理解できるとおもっているのか!

万作も引き下がらない。

先生は何もわかっちゃいない。百姓たちにだって円理之術、極数術、それぐらいのことは理解できるんですよ。

源三郎が笑う。

たわけたことを言うな。理解できるわけがないだろう。

万作は反駁する。

理解できます。なぜならば、私も百姓の出だからです。それも小作人でした。算術は身分や家柄でするものではねえと心得ております。

万作は農民たちに明日からまた引き続き算術を教えると言い、源三郎にはお引き取りを願うように田子兵衛に頼んだ。

それはできんと源三郎。田子兵衛との約定を盾にこの村から出てていく気はないと拒絶した。

万作が源三郎に諭す

先生にはできないと思います。百姓たちのことをなにもわかってらっしゃらないからです。おもしろいからやってるんです。楽しいからやってるんです。

すると最後に源三郎は算術で成敗をつけようと言いだした。前回は源三郎が万作の算額遺題を解いたのだから、今回は万作が源三郎の算題を解く番だと。解けたら源三郎が村を去り、解けなかったら万作が去る。そう決められた。

その夜、算題の真剣勝負が始まった。制限時間はろうそく一本分(約三十五分)。

当然ながら源三郎が出す問題はそうやすやすと解けるものではなかった。

解き方の糸口を探ろうと万作は筆を走らせるが、すぐに行き詰まる。制限時間が万作を焦らせ、追い詰めて行く。腕を組み考え、筆を走らせるが、イラつくようにすぐにそれを破り捨てる。迷路に迷い込んだように出口が見つからないまま時が過ぎて行く。

ろうそくが燃え尽きようとしたとき、腕を組みだまって目を瞑っていた万作がはっと目を見開いた。開始から32分、万作は再び筆を取って紙に向かい、一気に筆を走らせた。が、勢い余って傍らにあった湯呑みを倒してしまい、畳に置いてあった紙を濡らしてしてしまった。濡れた紙では解答を書けない。書くものを探しまわる、農民たち。もう時間がない。

その時、小作人の与平が突然外に飛び出した。壁の木の板のはがして、万作のところに持ってきた。

先生、これに書いてくだせえ。

万作は与平から木の板を受け取ると、解答を書いて源三郎に突きつけた。

解答を受け取らない源三郎に、農民たちが詰め寄る。

紙でないといけないなんて、オラ聞いてないぞ。

万作の答えは8寸。

源三郎は立ち上がり、これまでの礼金はもらっていくぞと言って部屋を去っていった。

万作が勝ったのだ。

万作が壁の板に書いた解答はそのまま神社に奉納された。

今回もキレイなオチでした。

来週はまたも お氷様

これも和算の話。タイムスクープハンターと同じ感動が待ってます。

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コメント

おもしろかったです。時代やジャンル関係なく、何かが好きで一生懸命やる人はかっこいい。美味しんぼ的な展開もよかった
源三郎も決して悪い人間ではなかったんですよね。最後は素直に負けを認めてましたし。(数学の前では誰もが平等なんだから、お互い実力を認め合って仲良くできんもんかなとも思いますが…)
それにしてもなんという力のこもった長文エントリ(労作)。きっと全国のタイムスクープハンターファンがこのブログにアクセスすることでしょう!

おじゃま丸さん、どうも
美味しんぼ!なにかのオマージュになってるエピソードが多いと思ってたのですが、なるほど。源三郎も悪いヤツじゃないですね。ただ出身が武家というのが問題なんでしょうね。

>それにしてもなんという力のこもった長文エントリ
字幕で見てるんでほとんど書き写しです(笑)。っていうかだったら仕事ちゃんとしろって話ですね(´Д`;≡;´Д`)アワアワ。

すいません (ρ_;)

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