タイムスクープハンター 金山衆 闇からの脱出
みんな命を張っていきてます。
時は戦国時代の西暦1565年4月5日、甲斐国。今回の取材対象は金山衆。山から金を掘り起こす採掘プロフェッショナルである。
戦国時代、戦闘能力の高さで全国に名を馳せた武田軍団。それを支えていたのは豊富な軍資金であり、その源は甲斐国を囲む山々から金山衆が掘り出した金であった。
金山衆は山を所有する親方衆と、現場で実際に金を掘る金掘(きんほり)で構成されていた。権三郎は現場を仕切る組頭(金堀のリーダー)で、八郎は権三郎の右腕だ。
金山衆の凄さは金の鉱脈を探し出し、的確に掘り出す能力にあった。それは長年培った経験と豊富な知識の賜であった。オニシダは金山草ともいい、金を含んだ土に自生するとされる。そうした金を掘る上での知識が受け継がれていた。
戦国時代の金採掘は、近く深く掘らずに地表を掘っていく露天掘りが中心であった。参加した地表付近の鉱石は金の純度が高いとされていたのだ。採掘した鉱石を集落で精製し(いわゆる甲州金)、その一部を武田家に上納することになっていた。今回の上納期限は厳しかった。大きな戦に備えて、武田家から緊急の達しがきたのだ。金五千粒を上納することになった。
上納は若い金掘りの孫蔵と清助に任された。2人は野武士に襲われないよう表道を避けて、山道へと向かった。
そして三日後、事件が起こる。
武田家家臣、徳左衛門が集落にやってきて、まだ金五千粒が上納されていないと言うのだ。他の金山衆からは届いているのに、なぜお前のところからは届かんのかと権三郎に声を荒らげる徳左衛門。徳左衛門は明らかに苛立っていた。
甲山で何かあったのかなと、八郎。
金を出せと徳左衛門は権三郎に催促するが、権三郎の手元に金粒はない。徳左衛門は権三郎と八郎とともに山にわけ行った。山で地すべりは起こっていなかった。斜面に洞窟が口を開けている。この洞窟は抜け道になってるという。
その気になれば、お前らは表に出られるんだよなと徳左衛門。金五千粒か。お前らにとっちゃ一生もんだなと、権三郎を睨む。ご冗談がすぎますると言い返す。洞窟に入るのは危ないという権三郎たちの警告を無視して、徳左衛門は洞窟を探すことを決めた。
暗い洞窟を進んでいくと、瓦礫が立ちはだかる。落盤のあとらしい。不安が募る。八郎は瓦礫の隙間をぬって反対側に出る。権三郎と徳左衛門も後に続いた。
瓦礫の先はまた広い通路になっていた。ところがすぐ前方を土の山が塞いでいる。
おーいと声をかける権三郎。孫蔵、清助と呼びかけるが,返事はない。
これ以上先へは進めないと、権三郎が引き返そうとしたとき、八郎が土まみれの草履を見つける。
この辺りを掘るぞと、権三郎。
八郎と権三郎が岩をどけ、掘っていく。
腕だ。土の中から腕が見えた。必死に掘る。男の顔が現れた。
孫蔵だ。
孫蔵を引きずり出して名前を呼びかけ、頬を叩くが、反応はない。
孫蔵はすでに息絶えていた。
八郎は泣きながら、死んだ孫蔵の顔の泥をぬぐう。
もういいだろう!早く金を掘れと徳左衛門が2人を急かす。
権三郎と八郎は土に埋まっているであろう清助を探したかったが、徳左衛門の命令には逆らえなかった。2人は感情を押し殺して土を掘っていくしかなかった。
八郎と権三郎が掘り進んでくと、土からツヅラが出てきた。
安堵する徳左衛門。もう掘らなくていいから、ツヅラを表に運べと2人に命じる。
まだ清助が埋まっていると権三郎が抗う。
何をバカなことを言ってるんだと怒鳴る徳左衛門。どうせ見つかたってな仏じゃ。運ぶの手伝え!
探させてくださいよ!と懇願する八郎。
怒る徳左衛門。
お前ら俺に逆らう気か?武田の庇護のもとにありながら、その態度はなんだ!
私どもにはこうして論じる間も惜しゅうございます!金を運びだしたいならお一人でなさいませ!と権三郎が吐き捨てる。
徳左衛門は一人でツヅラを抱えて表へを向かった。
権三郎と八郎は一縷の望みをかけて、懸命に掘り続ける。だが清助は見つからない。誰もが諦めかけたその時、草鞋を履いた足が出てきた。2人は必死に土をかきだした。
清助だ。清助はまだ生きていた。奇跡的に空気を吸える隙間があったのだ。
だが安堵したのも束の間、地響きが洞窟の中にこだまする。近くで落盤かあったのかもしれない。権三郎は明かりを持ち、八郎は清助を抱えて表へと向かう。
先程通った瓦礫を通り抜ける。すると叫び声が聞こえてきた。徳左衛門だ。足を岩に挟まれて身動きが取れなくなっていた。地響きの音が大きさをましている。危険が刻一刻と迫っている。徳左衛門を助けている暇はないと八郎は言うが、権三郎は2人だけ先に出ていろという。徳左衛門は人の命より、金のほうが大事なんだと八郎は権三郎を引っ張るが、権三郎は踏みとどまる。
わしはなぁ、もう誰も山で死なせとうないんじゃ!
権三郎は徳左衛門を見捨てることができなかった。彼はら土や岩に精通している掘削のプロだ。徳左衛門を救えるのは自分しかいないという思いがあった。徳左衛門の足に乗った岩に権三郎がノミを突き立てる。地響きが繰り返される中、ノミのカツンという乾いた音が洞窟にこだまする。権三郎の姿をみて八郎も考えを改める。2人で岩を砕いていく。
金山衆は高い掘削技術を認められて、戦においても城の地下構造物の破壊や敵側の城の地下水脈の分断などの任務で活躍したのだ。
地響きが激しくなるなか、岩を割って徳左衛門を救出できた。2人は清助と徳左衛門も背負って出口を目指す。さらに激しくなる地響き、天井からこぼれ落ちる土。出口に明かりが見えた瞬間、沢嶋雄一が落ちてきた土に生き埋めになる。
だが権三郎と八郎が助けに戻ってきてことなきを得た。
<今回のような出来事が歴史の記録には残ることはない。だが彼らのような職務に誇りを持ち、勇気を示した者たちが確実にいた。>
まさか沢嶋が埋まるとは思わなかったです。
来週は江戸時代の時太鼓打だそうな。
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納期が厳しいと大変です(笑)。武田家の家臣の人も中間管理職でストレスありまくりな感じでしたね。
洞窟の中は怖かったです。タイムスクープハンターは目の前で人が死にかけていても助けてはいけない(現代の技術を使えば可能だったとしても)のでしょうから、強靭な精神が要求されますね
投稿: おじゃま丸 | 2010/05/11 11:39
おじゃま丸さん、どうも
内容が厳しいと時間がかかりますね。また役所に行ったりしてもう大変でした。口唇ヘルペスが出てきました。
徳左衛門はかわいそうな役回りですね。悪い人ではないと思います。
沢嶋はあの時代の人が埋まっても助けられないのですが、沢嶋が埋まったら助けてくれたっていうが良かったです。あれで沢嶋が埋まったままタイプワープできないという一言があれば、もっと怖かったかもしれません。
投稿: 竹花です。 | 2010/05/11 18:14