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2010/05/04

タイムスクープハンター 江戸"婚活”最前線

江戸時代のお見合いまでドラマにするタイムスクープハンター。

今回の取材対象は仲人のお梅(33)。江戸時代の仲人は、結婚相手探しからお見合い、式までをまとめて世話して、持参金の一割を礼金として受け取っていた。

お梅は巷で評判の仲人で、良い縁を取り持ってもらおうと、彼女のもとを訪れる者が後を絶たない。今世話をしているのは吉右衛門。25歳。荒物(雑貨)問屋跡取りである。趣味は菊作り。彼女いない歴:25年。好きなタイプ:明るくて活発な人。25歳でいまだに独身なのを心配した父親が、お梅にお見合いの段取りを頼んだのだ。

当時のモテる男の条件は:
眉が尻上がり
額が広い
ヒゲが無い
歯が白いほどよい

見た目の重要さは今も昔も同じである。

当時のお見合い場所には「水茶屋(寺の境内や花見の時になどに設けられたお茶を出す簡素な店)」が選ばれることが多かった。江戸時代のお見合いは、現代と違って当人同士が向き合うという形ではなく、人の賑わうところで偶然出会ったという形を装った。

小さな水路に面した茶屋の長椅子にお梅と吉右衛門が茶を啜って待っていると、その水路の反対側を中年の婦人に連れられた、鮮やかな赤い和服を来た若い女が歩いてきた。お見合相手のおくに(19)だ。

おくには塩を扱う商家の娘で、彼氏いない歴:19年。好きなタイプ:やさしい人だ。

おくには吉右衛門の真後ろでしばし立ち止まる。しかし吉右衛門に顔を向けず、右袖で顔を隠した。吉右衛門がよく女の顔を見ようとすると、お梅がさりげなくしろという。吉右衛門が後ろを振り返ると、おくにと連れの女は歩いていってしまった。

どうだったとお梅が吉右衛門に印象を尋ねると、あんまり見えなかったですと吉右衛門。そして、もう一遍もどってきたりしないですか?とお梅に聞く。しないわよとお梅は呆れる。だから吉右衛門はこれまで結婚に逃げられていたのかも知れない。お梅は吉右衛門に、甘酒を買うフリをして、おくにを見てくるように勧める。

おくにの顔を確認してきた吉右衛門は満面の笑みでお梅のところに戻ってくる。べっぴんですと言うと、お梅にお願いしますと扇子を渡した。男性側が相手を気に入り、異存がないときは、女性に対して扇子を贈るしきたりになっていた。そして女性がその扇子を受け取れば、結婚は成立するのであった。

お梅に渡した扇子をおくにが受け取るかどうか、吉右衛門は茶屋から見守っていた。自分の将来が決まる緊張の一瞬。おくにはお梅から扇子を受け取った。この日、吉右衛門の独身生活についに終止符が打たれた。

だがお梅は独身で、もともと仲人を生業としていたわけではなかった。7年前に町医者だった夫と死別して、仲人を引き継いだのだ。当時は、いろいろな家の事情や健康状態を把握している医者が副業として仲人をすることが多かった。

またお梅のもとに、依頼が入った。今回は岩本町にある薬種屋「若狭屋」の娘、お杉(24)。彼氏いない歴:24年。好きなタイプ:まじめで誠実な人である。当時の結婚年齢は男性が25歳から25歳、女性は16歳から22歳。お杉は適齢期を過ぎていた。父親としては家柄などにこだわらない、職人だろうと、甲斐性のある男であれば将来どうとでもなる、多少裕福でなくてもいい、一本筋の通った男気を感じさせる、男をとお梅に頼んだ。

翌日、お梅は大挽町へと足を運んだ。向かった先は、昔からよく知る、腕のいい大工の棟梁である八兵衛の家だった。「若狭屋」を知ってるかお梅が棟梁に聞くと、そこの家を建てたのはこの棟梁だった。話は早い、そこの娘が嫁入り先を探しているから、息子の卯吉(28)はどうかと聞いてみる。奉公人を三四人使っている店(たな)とウチとじゃ格が違うと棟梁が笑うが、相手はそういうことは気にしないとお梅。だが八兵衛にとって問題なの格の違いより、結婚をしたがらない息子の方だった。縁談の話となると聞く耳を持たないのだ。しかしこのままじゃいけえ、嫁をなんとかしないといけないと気をもんでいた八兵衛は見合いを進めることに同意した。江戸の男性比は女性のおよそ1.8倍。八兵衛が息子の結婚を心配をするも無理はなかった。

お梅は、八兵衛の息子の卯吉に直接縁談を持ちかけることにした。卯吉は28歳。彼女いない歴:28年。好きなタイプ:不明。なぜに不明? お梅が縁談の話を切り出すと、やめてくれ、そういうことは自分で決めると卯吉。

自分で決めるつって、もう何年たってると思うのよ。そろそろ親父さん安心させてやんなさいよ。

そっぽを向く卯吉に呆れるお梅。

ったくあんたは、若い自分からそうなんだから。

お梅は死んだ八兵衛の妻の手習い(読み書き・習字)の弟子で、卯吉を昔からよく知っていた。

わかった風な口 聞くんじゃねえよ。手前の縁組くらい、手前で決める。子供じゃあるめえしよと、卯吉。親同士が決める結婚に反発しているようだった。

お梅は若狭屋に縁談の相手として卯吉を勧める。

おやじさんの跡を継いで、まじめ一筋、仕事にも精を出す。いい男なんですけどね、まあ、そのまじめさが災いして、いまだに独り身なんです。

縁のある取り合わせに若狭屋の主人の気持ちは盛り上がる。八兵衛に娘のお杉を合わせようということに。卯吉の気持ちを差し置いて、縁談の話はどんどん進んでいった。

卯吉が仕事で外に出ている昼間を見計らって、若狭屋夫婦と娘のお杉が八兵衛の家を訪れる。若狭屋の主人が八兵衛にお宅の息子になら娘をやれると言えば、八兵衛はうちの息子ならおたくの娘さんを幸せにできると答える。親同士の相性は完璧だ。だがお梅には、お見合に頑なな卯吉がいないところで縁談がトントン拍子で進んでいることに不安を感じ始めた。

だがそこに運悪く、卯吉が帰ってきた。現場に材木が届いていなかったのだ。

自分の知らないところで縁談話が進んでいるとわかれば卯吉の怒りを買うことは間違いない。八兵衛は若狭屋一家を納戸に隠した。沢嶋も一緒に納戸に押し込められる。

八兵衛は卯吉に若狭屋の娘との縁談話を切り出すが、卯吉は耳を貸そうとしない。そしてついに風呂屋に行く支度をしようと、卯吉が納戸を開ける。沢嶋はタイムスクープハンター規定第17条による特殊な交渉方法を使用。取材を再開した。

呆気にとられる卯吉の前に進み出る若狭屋一家。よろしくお願いますと頭を下げるお杉。

バカにしやがって

卯吉の怒りが爆発する。

いい加減にしろ!

卯吉は家を飛び出した。

破談にはできないとお梅は卯吉のあとを追いかけた。そして卯吉を捕まえると勝手に縁談を進めたことは詫びた。でもお梅にも言い分はある

あんだだって親方のこと考えてあげたほうがいいんじゃないの。

そう言うけどな、いきなりこの女と一緒になれて言われても、「へい、わかりやした」って承知できるか。初めて会ったんだぜ。惚れても何でもねぇ。

一緒になるっていうのはそういうものよ。お梅が諭す。

あんたはそれが商売だから気安く言えるんだ。うまくまとまりゃ、敷金の一割が転がり込むんだからな。

言っていいことと悪いことがあるんじゃないの!

何を偉そうに。人の気も知らねえで……どこぞの小金持ちの娘なんか連れてきやがって。こっちにも事情ってもんがあるんだよ。

このままずうっと身を固めないつもり? それでいいの?

いいわけないと、俯く卯吉。

じゃあ何?と苛立つ、お梅。誰か一緒になりたい人でもいるの? だったら後押しするわよ。まずは親方にそう言いなさいよ。

できねえよと呟く卯吉。

何って言ってるの、子供じゃあるまいし。じゃあいいわよ。私が聞くわよ。誰? どんな人?

言うのを渋る卯吉。

モジモジしないで早くい言いなさいよと卯吉を急かす、お梅。

そしてこの後、父が持ち込む縁談を断り続けたわけが明らかにされる。

あんだだよ。

と卯吉。

え?

俯いた卯吉の顔を覗き込む、お梅。

あんただよ。

と繰り返す卯吉。

ずっと前から想ってたんだ。

どうすりゃいい?

なんでこんなときに言うのよ!

戸惑うお梅。

言えって言ったろ。

視線を合わせられない二人。

一緒になりてえんだ。

できないわよ。歳だって違うんだし。

歳とかそんなに大事なのか!

あんたに縁談勧めておいて、その相手があたしだなんて親方にどういうの?それより何より若狭屋さんに顔向けできない!

大丈夫だ。卯吉が両手でぐっとお梅の手を握る。

俺が侘びに行ってやるよ。な?

考えがまとまらなお梅の手を引く卯吉。

親父のところに行く。あいさつだ。

ちょっと待って!とお梅。

沢嶋が後を追いかけるが、お梅に怒られる。

大事なとこなんだから、遠慮してくださいよ。

(このセリフが今回一番いいね)

卯吉が沢嶋に一緒にいてくれと頼む。

やましいことなんて何もない。

なあ?とお梅の目を見る。

お梅と卯吉の結婚を八兵衛は承諾し、結婚と相成った。

当時結婚式は日暮れに行われることが多かった。陰陽道で女性は「陰」であるとの考えから、同じく陰である夜が嫁入りに適するとしていたのだ。また結婚の「婚」の字に「黄昏」の「昏」が使われているのはそれに由来するという説もある。

江戸時代後期、町人の間には自由な恋愛が芽生え始めていた。家同士のつながりを重視した武家の結婚よりも、恋愛が価値を持ち始めていくこととなる。

その後、卯吉とお梅は4人の子宝に恵まれた。卯吉は大工、お梅は仲人業を続けながら幸せな家庭を作った。お梅が結んだ男女の縁組は生涯228組にのぼったという。

来週は金鉱山だそうです。

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コメント

「恋愛は自由であるべき」が常識の日本ですが、長く恋愛が当たり前では無かった時代が続いていたのも事実なのですよね。
そう思うと、恋愛の純粋な気持ちや自由意思を阻む風潮が無いのは、とてつもなく有難い事でしょうね。
信頼出来る方から紹介されての見合いも合理的なのでしょうが、お家と言う概念的な存在が、必ずしも個人の気持ちより優先される訳では無くなったのは、やはり良い事だなと思います。

かと言ってあまり恋愛至上主義が行き過ぎたら国が持たないと考えられてならないんですよね
自由恋愛は結構なんですけど、男女共にあまり貞淑さを欠く様な認識がまかり通っている事は、お家や国家の盛衰はもちろん自由恋愛にとってすら大きな危機だと思います。

・これからはフリーセックスの時代!
・リサイクル・セックス
・童貞処女は恥ずかしい

みたいな妄言を散々垂れ流して来たメディアには腹が立つやら哀れやら。

貞操を「捧げる」では無く、捨てる・破棄する“モノ”に堕落せしめた時点で、社会制度や風潮に抗ってまで勝ち得たかった自由とは既に別物じゃ無いでしょうか。
何処まで言葉を尽くしてみてもやはり「恋人選びは嫁・旦那選び」です。

悦楽主義が蔓延ればそこにはセックスの為のセックスが蔓延って行くだけで、人として恥ずかしいし壊れていると思います。
メディアが毎度それを煽る意味が解らない。
片方では善・人道を騙り、片方では自由と言う言葉でふしだらさを隠し奨励。
ああ、高知県なんか酷いですよ、無思考に誰とでもセックスだらけで確か堕胎率(いや件数だったかも)が全国ワースト2。
もう性病のデパート状態だわ水子の世界だわ。
しかもそれが純愛の悲しき宿命らしいですからね。
私なんて固すぎると何度も笑われたりしましたよ。
男も責任持たなきゃいけないし何より女自身が性と言う機能に尊敬の念を抱き、股間に責任持てや
まあ高知は特に悪いですが、全国的にも「セックス=避妊」くらいの認識になっているのは変です。
あれをキスか何かだと思ってるんですかね。ゴム一枚で生命の営み以外の、別の行為になるんでしょうか。
どんなに詭弁で逃げても本質は何も変わらないのに。
妊娠するのが当たり前であるって認識が戻れば、遊びや趣味ではとてもやれなくなると思います。
男女がより尊敬し合う為には、自由意思が自由に堕落するのを社会が指摘し戒める、そんな風潮が必要です。行き過ぎた自由恋愛奨励か、あるいは婚活なんて言葉が指す様に「就職活動」にまで堕落した個人利益としての「結婚」の奨励ばかり。
恋愛も結婚も真っ当な思いと男女双方の責任を前提に「素晴らしい」と奨励してみろよ!(笑)

男性の結婚率が下がる一方で上がる性交率ばかり高い事実を前に、男は頼りないしだらしないだの、草食系だの言ってる場合かと。
尊い自由を欲した時代の中で誰もが焦がれた愛情を、力ずくで陳腐化させるんじゃねえってんだ。
お金が無くて結婚に踏み出せないカップルが増えるのも必然、ましてや美味しい思いだけして来た女を「嫁」として求める男が減るのは感情としても合理的な判断としても必然。

日本は、まるでどんな崇高な理想の実現も、飽和すれば毒になるんだって言う見本です。

藤咲さん、どうも
恋愛観は人それぞれでしょうからね。
固いとかあんまりバカしては駄目ですよね。自分の満足できる軸でみんなが行動すれば、世の中幸せになると思います。


もう二か月も前の記事なんですね。
なんかコメントするのもはばかられますが、
共感した点があるので。
自分は二十代の男なんですが、結婚すると堅く信じて付き合ってきた女性にあっさり浮気されて捨てられました。捨て台詞に「エッチは上手いからセフレになって」でした。確かに自分もセックスをキスの延長線上に考えている人間の一人です。でも、そんな自分から見ても、件の彼女を含めた今の女性に人生預ける気にはなれません。自分の周りを見まわしてみれば女性であるというだけで(すみません)、ちやほやされてきた人ばかりです。
ある意味で性別を超えて尊敬できる女性を探すのは難しそうです。

ほっぱーさん、どうも
>なんかコメントするのもはばかられますが
いえいえ。
>捨て台詞に「エッチは上手いからセフレになって」でした。
逆の理由で別れるのはもっとキツイです。とはいえ、譲れない一歩を譲っては後で後悔しますからね。そこを譲れるほど惹きつけるものがなかったのかもしれませんね。

>自分の周りを見まわしてみれば女性であるというだけで(すみません)、ちやほやされてきた人ばかりです。
確かにそういう女の人もいます。基本的に仕事で必要がある以外には近寄りません。でも仕事まともにしてる人はやっぱりまともです。

人生、諦めるには長すぎます。アクションを起こせば、チャンスはきっと巡ってきます。

軍事経済なら書けるんですが、こういうジャンルはありきたりなレスになってしまって申し訳ないです。

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