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2010/05/18

月に囚われた男を見ました★★★★★

『第9地区』といい今年はSF映画の当たり年です。これは傑作です。

このタイトルはネタバレですが絶妙です。原題は単に「MOON」です。

淡々とシンプルなメロディーが繰り替えすテーマ曲と、CGじゃないミニチュアの特撮がものすごく効果的な映画です。ミニチュア特撮の良さを再認識できるだけでも見る価値ありです。

見るつもりの方は読まない方がいいです。雰囲気は『ガタカ』に近いです。

ストーリーとかサム・ロックウェルの演技については、映画徒然日記に詳しいので御覧下さい。

3年契約で月でひとりヘリウム3の採集(核融合の燃料:ガンダムのエネルギー源)を行なうサムはもうすぐ契約が終り、地球の家族のもとに帰れることを楽しみにしていた。地球には妻と幼い娘が待っているのだ。だが地球との直接交信は通信衛星の不具合によって行えず、妻と娘には木星を中継したビデオレターでしか会えなかった。

サムは幻覚を見るようになる。スクリーンに映る自分、そして見たこともない若い女性。巨大なヘリウム3採集機に不具合が起こった。ローヴァーに乗り込み、採集機を直しにいく(本社は止めたが)と、採集機がヘリウムを取って吐き出す土の中にまた女性の幻影が見え、サムは採集機に追突してしまう。

そして状況は一変する。

なぜかローヴァーに乗っていたはずのサムは医務室のベッドに寝ている。意識を失ったのは、着陸時の事故で意識を失ったのだとコンピューターのガーティが説明する。

サムは基地を飛び出してローヴァーに乗り、事故を起こした採集機のところへ行くと、別の自分を見つけて基地に帰ってきた。

最初はどちらも自分がホンモノだと思っていたが、最後に互いにクローンであると悟る。

そして妻に送ったはずのメッセージは地球に届いておらず、自分には家族はいなかった。彼に帰る家などなかったのだ。そして3年の契約が済むと(宇宙線の影響で(?)耐用年数が切れて)焼却処分されると知る。

死にかけているサムが妨害電波のタワーの効力圏外に出て、地球の「家族」にテレビ電話をかける。すると若い女性が出てきた。それは幼い娘の成長した姿だった。そして妻を電話に出してもらうように頼むと、彼女は十五年前に死んでいると言った。サムはそれだけ3年契約の生死を月面で繰り返していたのだ。娘が父を呼んだところでサムは電話を切った。そして泣いた。家に帰りたいと。だが帰る家など最初から存在しない。

彼がコツコツと作ってきた故郷のミニチュアモデルも、妻との出会いも思い出もすべて虚構だったのだ。月での作業が彼のすべてだった。

もう1人のサムが彼を哀れんで、ヘリウム運搬機に彼を乗せて地球で新しい人生を見つけさせようとするが、自分の寿命はもう長くないから、お前が地球に行けと逆に言われる。

地球から救難チームがやってくる。2人が一緒にいることがわかれば2人とも殺される。そこで死にかけているサムを追突したローヴァーに戻し、もう1人のサムが別のサムを蘇生させて、自分はヘリウム運搬機に乗って地球へと旅だった。

という話です。

「家に帰りたい」っていうシーンは鷲掴みにされました。レプリカント側から見たブレードランナーと言えるかもしれません。レイチェルも偽の記憶を埋め込まれていたのですから。3年の契約も家族もモティベーションを高めるための「餌」なんでしょう。

2001年を見ているとこのコンピュータがHALみたいで悪いヤツかと思いきやそうでもない(笑)。

小説にしたら逆に面白そうです。

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コメント

観に行きたいのでレビュー序盤しかまだ読んでいませんが、宇宙で不可思議な状態に陥ると言うと昔観たソラリスだか言うSF映画を思い出します。(リメイクでしたが)
何とも掴み処が無くて困り果てた映画でしたが(笑)

SF映画は登場初めの頃には見下される事も多くあったと聞きますが、実際は映画ジャンルの中でも表現の幅が広い、屈指の文学性を誇る素晴らしい娯楽だと思います。難解な設定や作品毎に定められた宇宙の法則や概念の中にすら、思想や哲学があったり、唸る様な演出の妙で伏線を紐解いて行く様には絶大なカタルシスがありますし。
日本映画は予算の無さやノウハウの関係からかあまり硬派なSFを作る人達がいませんので、いつか胸を射つ国産SF映画が沢山生まれる日本になる事を願っちゃいますね
小学生〜高校生の清々しい成長を描く青春映画や、たましいを食む様なホラーは個人的に傑作揃いなのですが。
多くの人に「冗談?」と笑われるかも知れませんが、ちょうどその青春映画と恐怖映画を融合させた『学校の怪談』は人生の映画ベスト5には入ります!
世代的に夏の思い出と言える作品だから思い入れもひとしおなのですが、あれは言うなればスタンドバイミーの様に、子供の頃に観たら一生の宝物になる内容です。
非日常の恐怖に曝され逃げ惑っていた少年が、不思議な女の子と出会い一目で恋に落ちて、彼女を守る為に恐怖に立ち向かう様になるのはきゅんと来ます。
多くの冒険と喪失の果てに少年が得た気持ちとかけがえのない成長が、ラストの少年のセリフに集約されていて素晴らしいです。
きっと製作者の方々は、これを観た頃の子供らの時間や感覚や思いを記憶の箱に閉じ込めて、もう一度観た時にその箱が開いてくれる様に願って作ったんじゃないかなあ…
この映画を観ると、少年であった僕の、あの夏を思い出して、少し泣きます。

藤咲さん、どうも
国産のよいSFといえば、ゴジラ第一作はかなりいいと思います。

日本の場合アニメがクオリティが高いと思います。エヴァンゲリオンのTV版の最終回は物議をかもしましたが、やられました。

いつか日本のいいSFを作りたいですね。

「学校の怪談」ですか!解説を拝読しましたが、深いですねえ。

ゴジラは大好きで夏になると楽しみで仕方ありませんでした。
土佐清水は田舎なので映画館すら無く、全国上映からだいぶ経った頃に隣の市からフィルムを借り、文化会館にてジブリや子供映画を上映してました。
ゴジラはある意味、夏休みの象徴でした。小学校の男の子は皆ワクワクして観に行ってましたね(笑)

その頃はゴジラが核の象徴であるとか全く思いもよりませんでしたが、何か地球と言うか世界や命について考えさせられました。
バトラやビオランテなんか特に。エビラは単純に美味しそうでした!


エヴァはまさかの内面世界だったから、混乱した人が多くいましたね。
監督自身が否定的見解を示す事もありましたが僕はあの最終話が大好きです。
劇場版で描かれた物の裏側で、シンジはあんなにも潔癖なくらい真摯に不器用に問答を続けてたんだなあと、見返す度にシンジやチルドレンが好きになります。
他人との関わりは、他人と傷付け合う可能性を互いに許容し合う事なんだと気付けたシンジはかっこいいと思います。
自己肯定感が無いから
「仮に許容して貰えるとしても、その価値は自分にあるだろうか」
とか思っちゃうんですよねシンジって。
嫌われる事も怖いけど、それ以前に自信が無さすぎて「自分が他人の心に干渉する事を他人が了承してるか解らないのに、好きに関わっていいのか…いいとしても何処までなら傷付けてもいいのか…」
となって
人と関わる価値を得る為にもエヴァに乗ったけど、それは付加価値でしか無いし乗ろうが乗るまいがシンジはシンジありきなのに
生きてるんだから、自己存在を当たり前に受け入れるしか無いんだ…と腹を決めて現実に帰還し、ATフィールドを触れ合わせる恐怖を受け入れ合ったシンジとアスカは、やがて海から戻り来る大事な仲間達と共に上手くやって行くのでしょうね。
個人的には、それでもアスカ(他人)が関わり触れ合う事(傷付け合う可能性)を許容してくれるか不安でたまらなくて、首を締めるって行動に出たのもシンジらしくて好きです。
アスカを殺したいって言うよりは、自分の気持ちが他人に向く時に生じうる地者否定の最大形(殺害)の“可能性”をアスカに示して、アスカの意思をうかがったんでしょうね。
アスカは敢えて無抵抗で、頬を撫でて“危険な可能性もあるという事”を受け入れて、その上できちんと首締め自体に対する回答として「気持ち悪い(あんたに殺されるのなんか真っ平よ)」を伝えた。
正常に傷つけあうのを含めて人間関係を認め合えた。

「アナタが何を思ってもOKだし何をしたってOK。でもそれに対してこっちが何を思うのもOKだしこっちはアナタを受け入れても拒否してもOKだからね。まあつまり、好き合っても嫌い合ってもOKで、アナタの存在はOK。出来ればこの関係も幸せなものでありたいよね」
と思考出来る様になったと言うか。
切ないくらい不器用過ぎですチルドレン。
すみません長文で。
エヴァンゲリヲンではシンジが早期から周りに真っ直ぐ愛され出したおかげで自己肯定感を築きかけているし、今度こそゲンドウ含めて上手く行って欲しいなあ…前向きに生きる事で世界がこんなにも楽しくなるんだって、世界は絶望だけじゃ無く希望によっても動かせるんだってのを描いてる分、期待が高まります。
こうなるとカヲルの生死もかなり気になる。
関係の形として、人対人を描きつつ種対種も描いてる訳ですが、前作では種対種が最後まで否定し合って終わりました。
カヲルは感情を通わせて好意すら抱けたのだから、今回は「人と使徒ですら分かち合い、共存を望み合うかどうか」についても、展開を期待したいです。

藤咲さん、どうも
>国上映からだいぶ経った頃に隣の市からフィルムを借り、文化会館にてジブリや子供映画を上映してました。
ゴジラはある意味、夏休みの象徴でした。小学校の男の子は皆ワクワクして観に行ってましたね(笑)

良い話ですね。

エヴァはどういう展開になるんでしょうかね。月で建造されているエヴァまででてきて、オリジナルとずいぶん変わる気がします。

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