装甲騎兵ボトムズ 幻影編 第3話
摂氏30度でボトムズを見て……むせる。
ついにキリコの登場。「俺はATには乗らない」。これがボトムズって感じがしますなあ。端々にボトムズ臭が漂っております。
アニメっぽいCGIのATはセルシェーディングという技術なんだそうです。
目にハイライトを入れないないのもボトムズですよ。
宗教結社マーテアルとかまで出てきちゃって、「赫奕たる異端」も盛ってきますか。
サンサ。砂漠の惑星。
砂と鉄くずしかないこの星で、年老いたゾフィーは放棄された基地の設備を解体してジャング屋に売って、糊口をしのいていた。百戦戦争期にレッドショルダー隊によって夫と子どもを殺され、その部隊に所属していたキリコを殺そうとしていた女だった。
そのゾフィーのもとに数ヶ月前から若い男がやってきて、働いていた。基地を解体するその若者の髪は青く、短かった。
ゾフィーが発煙弾を撃つ。昼食の合図だ。
ゾフィーのところに戻ってきた男はただ黙々と食べた。ゾフィーは眼病を患っていて真向かいに座る男の顔がよく見えない。
うまいのかい?まずいのかい?ゾフィーが尋ねる。
マズくはない。男は答える。
男は昼食を終えると、席を立ち玄関に向かった。
名前を教えてくれないかとゾフィーが頼む。男は立ち止まるが、何も答えず出て行った。やっぱりまだ無理かい、ゾフィーはため息をついた。
その男はキリコだ。
ゾフィーは食器を片付け、洗濯を始める。ついでにキリコの衣類も洗おうと、キリコが持つバッグから服を取り出す。ゾフィーが目をかっと見開いて震えた。おぼろげながらも、その赤茶けた色の服には見覚えがあった。AT乗りの戦闘スーツだ。ゾフィーの脳裏にキリコの影がよみがえる。
ゾフィーはATスーツをバッグに戻した。
翌日、洗濯物を干しているゾフィーのもとに、砂漠の陽炎の向こうから、薄茶色に塗られた3機の重ATがローラーダッシュを唸らせながらやってくる。宗教結社マーテアルのエルドスピーネだ。3機のATは右腕に握った速射砲をゾフィーの家に放つと、家の裏に回り込み、左胸に装備したアンカーを打ち出して家を倒壊させた。
異変に気づいたキリコはゾフィーのもとへと急ぐ。だがキリコがついたとき、ゾフィーは瓦礫の上で呆然と座っていた。一体誰なんだ、家をメチャクチャにしてとゾフィーが怒る。
狙われたのはこの俺のようだと、キリコは静かに答える。とにかくここを出よう。
わたしゃ行かないよ。ゾフィーが拒む。
キリコがATスーツを着る。
あんたはAT乗りなんだね、とゾフィー。あたしゃAT乗りが身震いするほど嫌いなんだよ。
俺は乗らないとキリコが言う。
キリコは、どこにも行かないと意地を張るゾフィーの腕を掴み、壊れかけたトラックに乗せて走りだした。
聖地アレギウム
よきこと、よきことの始まりですぞ、猊下。司祭たちが高段に座するモンテウェルズに伝える。いよいよ、触れ得ざる者を始末するときが参りました。
モンテウェルズは何も言わず、ただ司祭たちを下に見ていた。猊下に神の御加護を、吉報をお待ちください、そう言って司祭たちが去っていくと、イスの手置きを握るモンテウェルズの手がワナワナと震えだす。遅すぎる。すべてが遅すぎる。あれが動き出したのだ。見開いたモンテウェルズの目に恐怖が宿る。
その様子を影から見いていたロッチナがほくそ笑む。どうやら神の子が生まれるというのは本当のようだな。
惑星サンサの衛星軌道上に巨大な円柱が何本も出現し、地表に降下していく。
ゾフィーが贔屓にしていたジャンク屋にキリコたちが到着したときには、すでに破壊されたあとだった。ゾフィー(とキリコ)の居場所を白状しなかったために殺されたのだった。
キリコたちは遠い町を目指した。だが砂漠のど真ん中でトラックが壊れた。キリコはゾフィーを背負って歩いていくことにする。ゾフィーは自分を置いて行けと拒む。キリコが言う、
冗談はよせ。俺はくそ真面目な男だ。
30年前にフィアナにしたように、キリコはゾフィーを背負って砂漠を歩いた。砂嵐が来るねとゾフィーが呟く。
こうして背負われていくと思い出すよ、ずいぶん昔のことだけどね。あの時も、一人の女を助けるために若い男が女を背負って砂漠を越えていった。あの時の若い男、どうしてるんだろうね……キリコっていう名前、聞いたことないかい。
キリコはただ前を見つめて歩いた。目の前には金属の柱が恐竜の肋骨のように折れ曲がり、列をなしてそびえていた。
聞いたことないよねえ、とゾフィー。無事に生きてりゃ今頃は五十過ぎのオヤジだもの。あの頃は殺したいほど憎らしかったけど、私もいつの間にか年を取ってしまって……
砂嵐が襲ってきた。
キリコは不時着した戦艦の中へ逃れた。(この戦艦はフィアナとキリコが乗ってきた船なのか?)
誰かいるようだねと、ゾフィー。回廊から3機のエルドスピーネがローラーダッシュの金属音とともに現れ、キリコたちに突進してくる。キリコはゾフィーを掴んで逃げる。エルドスピーネが撃ってくる。キリコたちは逃げる先々に回り込まれ、最終的には追い詰められる。
触れ得ざる者、キリコ・キュービィー!貴様の命貰い受けた!エルドスピーネの操縦士が言う。
驚くゾフィー。そう、ヤツはキリコだったのだ。
エルドスピーネがキリコに向けて速射砲を連射する。キリコは溝に隠れると、アーマーマグナムでパイプを破壊し、砂嵐の風をかんないに吹き込ませ、エルドスピーネの目をくらませた。
その隙にキリコはゾフィーを外に連れだす。
やっぱり、キリコだったんだね、とゾフィー。名乗らずにすまなかったとキリコは詫び、戦艦から離れろと言って戦艦へと戻った。砂嵐の中を歩いていてよろけて倒れたゾフィーを誰かが助けた。
キリコは3機のエルドスピーネに取り囲まれる。速射砲の銃口がキリコに向けられる。そこにヘヴィマシンガンの銃声が轟く。ローラーダッシュを響かせながら紫色のATがやってくる。ベルセルガだ。銃撃でエルドスピーネを蹴散らすと、ベルゼルガの中からル・シャッコが叫ぶ。キリコ掴まれ!
そしてベルゼルガが向かった先に、スコープドッグを乗せた1台のトレーラーが出てくる。
トレーラーの運転席側のドアが開く。運転席にはバニラが座り、その間から、ココナ、ゴウト、ゾフィーが見える。
バニラがキリコに言う。あいさつは抜きだ。これを使え。バニラの視線の先にはスコープドックが横たわっていた。
だがキリコは拒む。
この星では俺はATには乗らない。
ATに乗らないでATとどう戦うんだよと、バニラが怒る。
決めたことだとキリコ。俺は乗らない。
ゾフィーがキリコを見る。あんたの気持ちは十分すぎるほどわかったよ。わたしはもう何も言わないよ。乗っておくれ。頼むから乗っておくれ!
ル・シャッコがベルゼルガの中から言う。俺もお前を殺させるわけにはいかん。キリコ、クエントの神がお前を必要としている。お前を召喚しろとの命令が下った。
そこに迫り来る3機のエルドスピーネ。キリコがアーマーマグナムを構える。
宇宙から降ってきた巨大円柱が戦艦とその周辺に突き刺さる。そしてまばゆい閃光を発すると、宇宙船ともども忽然と姿を消した。
次回 ヌルゲラント。白亜のベルゼルガがいっぱい出てくるみたい。
キリコがサンサで食べるスープはうまい。
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