ヴィンランド・サガ 第9巻
日本がワールドカップでデンマークと戦ったこの時期に刊行とはなんたる奇遇。
このユトランドでの話は奴隷編というのですね。
AKIRAではアキラくん(28号)が爆発しちゃって、ネオ東京が瓦礫の山になって鉄男が瓦礫の国の王様になるわけですが、ヴィンランド・サガ第9巻では自然が豊かなユトランド半島が舞台。
荒廃しちゃったのはトルフィンの心であったと…
アフターヌーンで読んだときは話が進まないねえと思ってましたが、1冊になるとこれが舞台説明なんだとわかりました。話はここからですか。でも結構面白いです。
生きてることに意味を失ったトルフィンは(クヌートと刃傷沙汰になったこともあって)奴隷になって、ティケル農場でイングランド人奴隷のエイナルと一緒に開墾をする。
エイナルはイングランド勢が村に攻めこんできて父親を殺され、その後デーン勢に村を略奪されていて、戦争と戦士を激しく憎んでいた。
ティケル農場のボンクラ息子が俺もクヌートの軍勢の戦いに加わって一旗揚げてやると息巻いてるものの、かなりの臆病者で「用心棒」たちに人を殺せば度胸がつくと言われる。用心棒たちは、エイナルとトルフィンを捕まえてきて、馬や牛と同じ価値しかない奴隷だから殺しても構わんという。
エイナルは自分がここを押さえている間に、トルフィンに牧場主に知らせいけと言うが、トルフィンは動かない。面倒くせえ、俺が代わりに斬られてやると、ため息をつく。
それが用心棒の中の「キツネ」の癪に障った。死ぬのが怖いから、死に価値がある。でなきゃ俺たちは飯の食い上げたと刀を抜き、トルフィンの体を掠めるように振りまくる。でもトルフィンは動じない。そして最後にトルフィンの左耳の上をそぎ落とす。
そこに用心棒の頭、「蛇」がやってくて、キツネに顔面パンチを喰らわせる。お前らが奴隷虐めてどうすんだ、若様がやらなきゃだめだろうとたしなめる。するとキツネたちがトルフィンの話をした。
蛇はトルフィンのもとに歩み寄ると、殺気に満ちた視線をトルフィンに見せた。トルフィンの目に生気がもどる。蛇が刀を居合い抜きする。トルフィンは上体を左に傾けて刀をかわすと同時に上がった右足で蛇を蹴った。蛇は左腕でトルフィンの蹴りを受け止める。トルフィンは蹴りが防がれたとわかると、つかさず後ろに跳ね飛んで間合いをとった。
こいつ出来る、相手を見定める言葉がトルフィンの脳裏をかすめる。アシェラッド並、瞬発力ならアシェラッド以上か。
そこには笑顔を浮かべる蛇がいる。ホレ見ろトルフィン、お前の体は生きたいって言ってるぞ。
当惑するトルフィン。俺は生きていたいのか?生きてどうするんだ?
一方クヌートはイングランドで戦い続けていた。トルケルが途中で戦闘を中止させられて怒鳴り込んできた。もうちょっとでマーシア伯エアドリクの首を取れたのにと。そしてこう釘をさした。
あの時(アシェラッドがスヴェン王を殺して、クヌートが王位を手にした時)に言ったことを忘れていないだろうな。『お前がこれから何をして何者になっていくのか、この目で見届けてやる』とな。オメエはまだ何者でもねえ。イングランド王でさねえただの若造だ。
その若造はエアドリクがイングランド王の側近であることを利用して、毒殺しスヴェン王が10年かけて成し遂げられなかったことを3年で成し遂げた。
トルフィンとエイナルは馬を借りたいと農場の厩舎の飼育係に頼むが、奴隷は馬と同じだ、馬が馬を使うなんておかしな話だと一蹴されてしまう。エイナルが道を歩きなからその不満をぶちまけていたら、畑の中から老人が話しかけてきて、仕事をしたら馬を貸そうと提案してきた。エイナルは担がれてるんじゃないかと疑心暗鬼ながら仕事を終えると。老人は馬を貸してくれた。その老人はティケル農場の大親方であった。
奴隷の命、その価値は牛二頭分。
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