アスペルガー症候群の人の自伝
普通に生きるのが大変なことなのです。
著者であるジョン・エルダー・ロビンソンは本人はアスペルガー症候群だと40代まで知らずに生きてきたので、人の中で生きることに格闘している様が壮絶です。
家族も父親がアル中だったり、母親が精神病んじゃったりして、唯一の救いはアスペルガー症候群だったのである程度鈍感でいられたからかもと懐述しています。
20代は電気のことに優れていたけど、40代にはそれがなくなって逆に社会能力が高まったと言っています。そして子どももできて、嫌っていた父親とも和解できたというハッピーエンド。著者にとってはビジネスで成功するより、社会に認めてもらう方がほんとうの勝ち組だったようです。
社会性に乏しい時は創造性に長けていたと本人は言っています。必ずしも社会性と創造性はトレードオフの関係ではないと思いますが、
「1人の時間」が洞察を生む - 心理学者 ミハイ・チクセントミハイ は言ってるそうです。益川さんが3世代のクォークがあるという仮説を思いついたのも、お風呂だったとか。
この本で気になったところ(原文は読んでませんが) :
P274 社会性の発達は四歳から七歳までが重篤だったと思う。重篤はおそらくCriticalだと思うのですが、「重要」とか「かなめ」という言葉がいいんじゃないかと思います。
P285病院の「孵化場」。英語では保育器も孵卵器もIncubator.ここがジョークなのではなく、その後で息子が「孵化」したというジョーク(なぜ子どもが孵化でいけないという疑問)のための前提になってます。病院の下りだけ読んだときは、この「孵化場」は頭おかしいから?と思いました。
時事ネタで例えるなら、 日本振興銀行は英語でIncubator Bank of Japanと称しています。でも実際には社長だった木村剛は新しいビジネスを「孵化」できず、SFCGとの黒い関係を「孵化」させたみたいな感じでしょう。
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» 日本振興銀行事件、側近の部署が債権審査担当やって融資実績を上げていた [国内情勢の金融と政治の現代を喋る]
nbsp;融資実績を形骸化だけして金融業を行うつもりがなかったのかどうかはこれから捜査のメスがによってより実態が明らかにされていくことだろう。手数料収入目的に融資実績だけを積み重ねるなんて酷い話だ。日本振興銀行側だけでなく商工ローンSFCG等もこの甘っちょろいシステムを上手に利用して現金を受け取っていたという。殆どの売却した債権が回収不能に陥るものだったようだし、まあまともな債権は日本振興銀行よりも債権回収のノウハウに長けた自社で回収するはずなので売却するはずはない。もうどうにもなんないも... [続きを読む]
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知人に一人アスペルガー症候群の人が居ますが、本人にとっては何が問題であるのか感覚的な認識を持ちづらい様です。
ごく浅く関われば人当たりの良さそうな人でしたが、友達付き合いになると特有な想像力の無さが実害に変わると言うか。
周りを振り回すも本人には自覚が無いから、もう指摘しても問い詰めても仕方が無くて、何人も仲間が離れて行ってました。
決して悪人なんかでは無いだけに、参ったり嫌ったりしてしまう側もやるせない思いを抱いていて、私も疲れ果てながら全てを徒労と知り、誰が悪くなくとも脳の現実は残酷だと実感しました。
自分の特質と常識の溝を知り受け入れた上で努力し、社会や人との確執を埋めて許し合い幸せを手にするなんて、個の人生とは言え、本当にすさまじい偉業ですね。
投稿: 藤咲 | 2010/07/16 16:40
藤咲さん、どうも
かなり酷い目に会った人が多いようです。当人もその時には何が悪かったのか気がつかなかったようです。ほんと誰も悪くないんですよね。
投稿: 竹花です。 | 2010/07/16 20:23