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2010/10/14

龍馬伝 第39話 馬関の奇跡

時は明治16年夏、蝉が鳴く、邸宅の広い庭で、岩崎弥太郎が新聞を広げる。「汗血千里の駒」…話が違うぜよ、坂崎くんと、土陽新聞記者坂崎に不満を漏らす。これでは龍馬が英雄になっちゅう。こんな作り話を書き続けるのだったら、もう龍馬の話はしないと坂崎を脅す。

確かにこの龍馬は格好良すぎるかもしれないが、連載を続けるため、読者の興味を引くようにしないといけないのだと坂崎は釈明する。高知へ帰りやと弥太郎。足蹴にされた坂崎は言い返す。僕は岩崎さんの話を聞いて龍馬のイメージを膨らませたがです!

ええ加減なこと言いなやと弥太郎は坂崎に背を向けて冷えたトマトを齧る。嫌い嫌いと言いながら、岩崎さんが語ってくれる龍馬は実に、僕には魅力的な男に見えるがです。社長と弥太郎を呼ぶ声がする。グラバーだった。高島炭鉱の収支報告書を弥太郎に持ってきた。

グラバーが現れて驚く坂崎。明治に入ってグラバー商会は潰れて、路頭に迷っていたところを弥太郎が拾ったのだという。弥太郎がグラバーに坂崎を紹介する。グラバーは坂崎の汗血千里の駒が面白いと褒めた。何っ!弥太郎が眉をひそめる。こんな作り話の何が面白い!わしゃムカムカしてきて、、また胃が痛うなってくるぜよ!弥太郎は胃薬を飲んだ。アイツは日本の未来はああじゃこうじゃ」と言いよっただけやき!

そういう人がおったから、今の日本があるがでは?と坂崎。

わしは三菱を作ったがじゃぞ!と弥太郎が声を張り上げる。土佐の地下浪人が日本一の大会社を率いちゅうがじゃき!こればあ出世したがはのぉ、豊臣秀吉ぐらいしかおらんぜよ!

弥太郎!と母の美和が弥太郎に駆け寄ってきて、弥太郎の頭を叩いた。何様のつもりじゃ!社長になろうが、金持ちになろうが、貧乏じゃったころのことを忘れてはいかん。亡くなったお父やんに申し訳ないき。

それを坂崎が書き留める。弥太郎が目ざとく見つける。グラバーが英語で坂崎に美和が弥太郎の母だと教える。シャラップじゃ!シャラップじゃ!と弥太郎。わしはエゲレス語が好かんきのぉ!弥太郎はどこかへ去っていった。

美和が弥太郎の言うことら気にせんでつかさいと坂崎に侘びる。土佐に坂本龍馬ゆうお人がおったゆうことを、これで世の中の人が知ったがやき。まっこと嬉しいやか。

誰もないところで弥太郎は咳き込み、手に血を吐いた。その血を見て驚いた弥太郎は、慌てて血を手すりになでつけた。何もしらない美和が新聞を弥太郎のもとにやってくる。引き受けたからには最後まで竜馬さんの話しをしちゃりや。龍馬さんがおったき、今のお前があるがやき。弥太郎が新聞を取る。「汗血千里の駒」、龍馬いざ激戦の…と書かれている。

弥太郎が胃がんで死ぬ2年前のことである。(詳しいことはリンクを参照。高杉晋作とおなじに見えるのは意図かと思います)

美和が弥太郎に言う。岩崎弥太郎には語る義理があるがぞね。龍馬さんが最後に何をしたか。どういて殺されんといかんがったがか……

弥太郎が叫ぶ。

時は幕末に戻る。

ユニオン号の甲板に立つ惣之丞が叫ぶ。みよしの方、幕府軍艦、砲撃始め!右舷艦砲が火を吹き、咆哮を轟かせる。幕府軍艦の反撃が飛んでくる。巨大な水しぶきがあがる。龍馬がみんな、怯みなや!と仲間を鼓舞する。

慶応2年(1866年)6月7日、ついに幕府と長州の戦いが始まった。龍馬たち亀山社中が長州軍の戦いに加わったのは、下関の馬関であった。

海戦がひとつ終わり、龍馬たちは負傷した水兵たちを治療所へ担ぎ込む。そこには高杉晋作もいた。

時を同じくして弥太郎も長崎で大仕事に取り組んでいた。土佐商会の主任として土佐の特産物を外国に売り込む役目を任されたのだった。何も知らない溝渕広之丞が、藩の命により、土佐商会の仕事を手伝うためにやってくる。

その旨を土佐商会の上士に伝えるが、下士の溝渕には目も合わせず無視する。そこに偶然ジョン万次郎が通りかかって、溝渕を見つけて呼び寄せる。商会の中では大勢の上士たちが机に向かって算盤をはじいている。溝渕が主任のところへ挨拶に出向く。久しぶりだのぉ、溝渕君と声がする。タバコをふかす弥太郎が振り返り、自慢げに溝渕に笑いかける。溝渕が腰を抜かす。わしが大出世することは前から分かっちょったことではないかえと弥太郎。そこにおる上士はのぉ、みんなわしの家来ぜよ!当惑する溝渕。弥太郎が畳み掛ける。あの憎たらしい弥太郎がどういてと思うちゅうがか。どういて自分がこんな奴の下で、働かんといかんがじゃと思うちゅうがじゃろう!

土佐の物産を売り込みに行くぞと弥太郎は溝渕に行商の籠を背負わせ、万次郎とともに長崎の外国人商館へ出向いて、土佐の物産の良さを説明するが相手にしてもらえない。弥太郎は買ってくれと土下座した。

長州の陣中。亀山社中の者たちと長州の奇兵隊たちが酒を酌み交わす。高杉晋作が着流し姿でやってくる。龍馬に酒をもらい、これでおなごでも入れば申し分ないんですが、我慢してつかあさいと笑った。戦の最中でも着流しとは相変わらず豪胆な人だと感心する龍馬。高杉はエゲレスに留学するはずだったのではと陸奥が聞いた。長州の兵は高杉がいるのといないのとでは、兵の士気が大きく違うと答えた。高杉が三味線を鳴らし、焼山葛を歌い始める。

龍馬が奇兵隊の兵士たちに何を生業にしているのかと尋ねた。百姓、大工、干物を売り歩いていると口々に言った。聞かれるでもなく奇兵隊の一人がなぜ奇兵隊に加わった理由を語りだす。

今までワシら何をされても、ごもっとも、ごもっとも我慢しちょった。年貢じゃ、普請じゃとさんざんこき使われてきた。じゃがそんなワシらも新しい世の中のためのお役に立てるんじゃ!「侍だけの力じゃ、世の中変えられん」高杉さんはそう言われました。ワシらが加わることで新しい世の中が生まれると。親兄弟、子供たちのために、ワシらも戦うんじゃ!

そうじゃと奇兵隊が声を上げる。その様子をじっと見つめる龍馬。

こういう人らのために、わしらは日本を変えんといかんがじゃきと惣之丞が倒幕の決意を新たにする。その通りじゃのぉと龍馬が頷く。

高杉が咳き込み、屋敷の裏手へと走る。龍馬がその後を追う。高杉は、人目につかないところで血を吐いた。肺を病んじゅうがかえと龍馬。労咳と高杉が答える。驚いた龍馬は声をを殺して、そんな体で戦にでちょったら、イカンぜよと高杉に詰め寄る。医者に診せたがかえ?僕の命はもう長くはないそうですと高杉は笑って言った。休んじょる暇はありませんよ。長州のために、日本のために働かなければ。

龍馬は高杉がイギリス留学を辞めた真意を知った。

それも運命ですと高杉は返した。先が短いなら、短いなりに僕は面白う生きたい。派手な打ち上げ花火を打ち上げて消えていく。それが高杉晋作の生き方ですけえ。そう言うと高杉は龍馬のもとを離れ、奇兵隊のところへと戻った。そして屋敷への廊下に上がると、こう叫んだ。

百万の大軍、恐るるに足らず!恐るるべきは我ら弱き民、一人一人の心なり!

そうじゃあ!と奇兵隊の兵士たちが銃を振りかざし、声を挙げる。高杉は兵士たちの肩を抱き合った。

そして龍馬はその光景を見ていた。

弥太郎たちはグラバー商会にも訪れた。グラバーは弥太郎のことをよく知らないと拒否した。それはこれから酒を酌み交わしてと弥太郎が食い下がると、グラバーは土佐と商売するなら坂本龍馬に間に立ってもらいたいと言い出した。グラバーは自分は龍馬の友達だと言った。弥太郎が怒る。どうして龍馬がおらんといかんがじゃき!

ご存じないですか?とグラバー。薩長の間を取り持ったのは坂本さんですよ。彼を罪人扱いする土佐藩は信用できません。

誰が龍馬の助けら借りるかえ!と弥太郎は吐き捨ててグラバー邸を出て行った。

龍馬たちと高杉は軍議を開いていた。幕府軍は軍艦、警備船など兵力5万を集結させちょると高杉が説明する。僕らの方は坂本さんたちのユニオン号を合わせても5隻。警備船50隻、兵力1000。数の上ではえらい不利じゃ。

兵力的に圧倒的な劣勢の長州は防戦に徹して、攻めてこないと幕府は思っている。だからその虚をついて攻めれば勝機があると龍馬は奇襲作戦を提案する。敵の本陣に飛び込むんですかと陸奥が驚く。確かに門司は深入りすれば左側から撃たれる。ゆえに攻めるなら夜陰に乗じて接近するしかなかった。その付近は潮の流れが早すぎて、闇夜に船を入れるのは危険すぎると長州側が難色を示す。

ワシらに任せやと龍馬。ワシや亀山社中は海軍操練所でさんざん訓練してきたきの。わしらの船についてきたらえいと惣之丞が長州側に言う。

明日の戦いがこの戦の勝敗を決めることになるじゃろうと高杉。兵力じゃ幕府軍にかなわん。じゃが、少数で大軍勢の虚をつき、神出鬼没で敵を悩まし、常に奇道をもって勝利する。これが我々の戦い方じゃ!

勝どきの声を挙げる奇兵隊たち。

龍馬も叫ぶ。明日の夜明け前に出航ぜよ!亀山社中の面々もそれに呼応した。

慶応2年(1866年)6月17日早朝、龍馬たちが乗るユニオン号を先頭に長州の艦隊が門司を目指して出航した。小倉・大久保海岸に奇兵隊が小舟で上陸した。奇兵隊の兵士は銃を持って海岸に身を伏せた。最後に着流しに長靴を履き、腰には刀を差した高杉晋作が三味線を持って船から海岸へと降りる。散れと高杉が号令し、兵士たちは散開し、幕府軍の防衛線へと駆けていく。

上陸点の沖へと迫るユニオン号の甲板では砲撃準備が着々と進められていた。各砲、弾を込め!と陸奥が命じる。甲板のあちこちで弾込めの声が上がる。水兵たちが艦砲の先から弾を込める。弾よろし!砲撃準備が整った。そこに龍馬が甲板に上がってくる。

準備は出来たかえと龍馬が確認する。ただいま変針点と航海士が伝える。面舵いっぱいと惣之丞が号令する。面舵いっぱいと水兵が応じる。後ろの船に知らせやと龍馬が言うと、ランプを使って後続の艦船に変針を知らせた。

敵陣の目と鼻の先にて、高杉が三味線を鳴らし、ワシとお前は焼山葛と歌う。奇兵隊の兵士が幕府軍の物見櫓に上り、見張りの喉を刀で掻き切る。

ユニオン号の惣之丞が右舷の縁に立ち、放てと叫ぶ!ユニオン号の右舷砲門が一斉に火を吹いた。三味線を鳴らしながら敵陣の間近を進む高杉の近くに艦砲射撃が飛んできて爆発し、大量の砂が舞い上がるが、高杉は微動だにせず、敵陣へと歩き続ける。

砲撃の音に幕府軍の者たちが刀を握って飛び出してくる。左側から一人近づいてくる高杉に気づき、殺そうとするが、正面に潜む奇兵隊の十字射撃で一網打尽にされる。

三味線を弾きながら歩き続ける高杉の周りで、幕府側の足軽たちが奇兵隊の銃撃を受けてバタバタと倒れていく。

ユニオン号も幕府軍艦隊のと砲撃戦に突入する。右前方!敵船を近づけるな!と惣之丞が叫ぶ。

高杉の前に幕府軍の足軽が集まってくる。奇兵隊も高杉の後ろまで進出してくる。高杉は三味線を左手に握ったまま、右手で刀を抜き、幕府軍の者たちを切り倒していく。敵が怯むと、高杉は奇兵隊に撃ち方やめと命じ、幕府軍に訴えた。僕らは小倉の小倉の領地を攻め取りに来たんじゃない。筋の通らん理由で、長州を朝敵にした幕府が許せんだけじゃ!

おいたちは熊本の藩の者たい!と幕府側の指揮官が答える。御公儀の命にやむなく出陣したばってん、長州に対してはいささかの恨みもござらんたい!

ならば戦う理由はないと高杉。戦を避けることは貴藩にとってなんの恥でもなかろう!熊本藩を降伏させた高杉は馬に乗り、内陸へ攻め込んだ。幕府軍はその勢いに押され、小倉城に火を放って逃走した。長州が幕府に勝利した瞬間であった。

これで次に進むことができるがじゃきと龍馬は勝利を噛み締めた。

そんな馬鹿なことがあるか!と一橋慶喜は狼狽した。小倉藩は籠城には耐えられないと判断し、自らの手で城に火を放ったとの知らせが届いた。外様一藩ごときに幕府が負けるはずがない!兵を送り込め!と叫んだ。

その外様一藩に敗北を喫した幕府に追い打ちをかけたのは、庶民の怒りであった。長州攻めの影響で(軍を動かせば兵量として米が必要になるので?)、米の値段が高騰し、人々の幕府への不満が爆発した。

そして小倉城が落ちる直前、大坂にいた徳川将軍家茂が脚気により死去。幕府は戦どころではなくなった。こうして幕府は長州に敗北した。

家茂の訃報は薩長にも伝わった。正義は長州にありと木戸貫治は叫び、薩摩の小松帯刀は山が動いたと呟き、西郷吉之助は変わっどと声を張り上げた。容堂も徳川幕府の世が長くないことを察した。

世の中なにやら騒がしいけんど、ワシにはそんなことらどうでもえいと弥太郎が長崎・引田屋で、お元を傍らにお慶と酒を飲んでいた。むしろこういう時こそ、金儲けの絶好の機会ぜよと笑った。よう知っとんな岩崎さんとお慶が相槌を打つ。この頭の中には算盤が入っちゅうと弥太郎がうそぶく。まあ恐ろしかとお慶が小馬鹿にしたような口調で相手をする。怖がりな、怖がりな、取って食おうとは言うちゃあせんと弥太郎が調子に乗る。

ふと弥太郎がお元に目を遣る。かわいい顔をしているなとお元を褒めた。岩崎さんのために長崎一の芸妓は呼びましたけんとお慶。お元が弥太郎に挨拶する。声もかわいいのぉと弥太郎が笑う。けんど所詮長崎一じゃ。土佐にいるワシの女房の足元にも及ばんぜよ!と酒を呷った。

そんな話をしに来たんじゃないと弥太郎。そしてお慶に土佐の樟脳を買ってくれと切り出した。生糸も綿花もある、そしてこれは20万の大商いぜよと付け足した。そいやったら、坂本龍馬さんば通してくれんですかとお慶。土佐の商いは初めてなので、信用のできる人間に入ってもらわねばと弥太郎に言った。

どいつも、こいつも、龍馬、龍馬と!弥太郎がお慶の方へ杯を投げる。お元が驚く。みんな龍馬の事を買いかぶっちゅうがじゃ!と弥太郎が立ち上がる。あいつはのぉ、口先だけの人たらしじゃ!ほんまは何ちゃあできんがじゃき!お慶はそんな弥太郎に、馬関の戦いで長州が幕府軍を破った陰には龍馬がいたと教えた。龍馬は自ら軍艦を操り、戦ったと聞いていると。龍馬が戦に?耳を疑う弥太郎。口先だけのお方では、ございませんばい、坂本さんはと、お慶は部屋を出て行った。

うろたえる弥太郎。徳利を掴んで酒をがぶ飲みし、庭に向かって座り込む。どこまでワシを振り回すがぜ、龍馬!坂本さんは好かんとですか?とお元が弥太郎のもとに寄ってくる。お前は龍馬を知っているのかと弥太郎が聞く。この前、ここで祝言ばとお元。目を丸くする弥太郎。龍馬が嫁をもろうたがかえ?龍馬の嫁のお龍は綺麗な人だとお元は言った。弥太郎も寺田屋でお龍を見知っていた。

なんじゃアイツは!と弥太郎が怒りとも悔しさともつかない感情ををぶちまける。薩長の間を跳び回って、嫁をもろうて、戦にいってワシの邪魔まで!

坂本さんに関わる人はみんな心がざわめくとやろうかとお元が呟く。弥太郎はお元の前に屈むと、その手でお元の頬を掴み、自分の顔に引き寄せる。おまんも龍馬に惚れちゅうがか?お元は、自分の頬を掴んでいた弥太郎の手に両手を添えて胸元までおろして、握った。うちが惚れとるとは岩崎さん。いい加減なことを言いなやと弥太郎がお元の手を払いのける。

弥太郎がお元の顔をナメるように見回す。澄ました顔しちゅうけんど、どうせ元は田舎娘じゃろう。ワシにはわかるぜ。弥太郎がお元に顔を近づける。おまんはワシと同じ臭いがするきにのぉ。

くそう!どういてあいつながじゃ!と弥太郎が卓を蹴る。あいつはワシに言うたがじゃぞ。喧嘩では世の中、変わらんと!憎しみからは、なんちゃ生まれんと!それやに戦に行ったがじゃぞ!あいつは嘘つきじゃ!大嘘つきじゃ!

人は誰だって嘘つきですばい!とお元が堪えていた思いを吐き出す。ばってん坂本さんのそん嘘は、みんなが笑うて暮らせる国にするための嘘。

なるほどのぉと弥太郎。オナゴにもてるわけじゃ。そういう綺麗事をペロンと口にできるがじゃきに!

長州・山口城にて、坂本龍馬は長州藩主・毛利敬親に拝謁し、馬関の戦いでの功績を讃えられた。

同席していた木戸貫治と高杉晋作から、亀山社中がいたからこそ幕府軍を打ち払えたと感謝された。龍馬は奇兵隊がいて、高杉晋作の気合にみんなが引っ張られたから勝てたのだと笑った。

木戸さん、戦というのは大したもんですのぉと龍馬が言った。力ずくで相手を倒したら、一気に流れが変わってしもうたがじゃ。百の議論より、一度の戦じゃと木戸が笑う。龍馬が言う。このまま幕府軍を蹴散らして、一気に江戸まで攻め込みたい心持ちですろう。木戸が相槌を打つ。流れは僕らにあるけえの。

けんど木戸さん、戦はこればあにしちょきましょうと龍馬は木戸の考えに異を唱えた。長州に負けて、幕府の力はますます弱まりました。今こそ、諸藩に声をかけて味方を増やすがです。高杉も龍馬の意見に賛同する。今回は守りの戦だから勝てたが、勢いづいて攻めても勝てる見込みが低いと言いかけたところで、木戸が黙れと高杉を遮った。

何を言ってるんだ坂本くん、と木戸は銃を取り、龍馬に差し出した。自分たちが薩摩と手を組もうと考えたのは、龍馬が薩摩の名義で軍艦や武器を手に入れてくれたからじゃ。薩摩との盟約も、幕府との戦いを前提にしてのもではないかと、龍馬に問いただした。龍馬は黙って聞いていた。薩長の盟約の覚書に裏書をした龍馬が戦いをするなと言い出すとはおかしな話だとと木戸は笑った。

そしてもう一度、木戸は龍馬に銃を突きつけた。そもそも戦わんでどうやって幕府を倒すつもりじゃ?

龍馬が答える。幕府に政権を返上させるがです。徳川将軍は征夷大将軍である。それは夷狄より国を守れと帝より賜った官職である。つまり徳川将軍が天下を治める正当性は帝による任命に立脚し、徳川幕府は帝から政権を任されているにすぎないと龍馬は言った。だから幕府にその役割を返上されば、戦をしなくても幕府を倒すことができるとと木戸に訴えた。

大政奉還論かと木戸が呟いた。この考えを過去に提案した者も多かったが、皆、挫折した。龍馬がその理由を尋ねる。一度力を与えられた者は、その力を手放さないからだと木戸は答えた。徳川は(龍馬ほど)お人好しじゃないと付け加え、大政奉還を書かれた紙を握りつぶして床に捨てた。

ほんじゃき武器を持つがじゃと、今度は龍馬が木戸に銃を差し出す。政権を返上せんと力ずくでも滅ぼしちゃると、幕府に迫るために武器を持つがじゃ。高杉は龍馬の話に得心した。

木戸が龍馬の銃を受け取った。坂本君、君が日本の未来を憂いているのはよう知っちょる。じゃが地に足の着いた考え方でなければ、夢物語と同じじゃ。僕たちにそれにつきおうとる暇はない。大政奉還など奇跡でも起こらんかぎり、無理じゃ!

龍馬は床に捨てられた紙を拾い上げて開き、大政奉還の文字を見た。その奇跡を起こさんと、日本はのうなってしまうがじゃ。

坂本龍馬がその鮮烈な生涯を終えるまで、あと1年となった。

前半の高杉晋作も激しくカッコいいですが、お元と弥太郎の掛け合いも凄くよかったです。

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