坂の上の雲 第6回 日英同盟
ロシアは義和団事件以降も満州に不当に居座り、奉天にロシア風の大都市を建設し始めていると秋山真之が小村寿太郎に話す。小村は千歳のカレーは美味いと食いながら、
「秋山くん、帝国主義にもともと道義などありゃせんよ。あるのは弱肉強食の掟だけだ」
とらっきょうをつまんで口にいれ、噛み砕いた。
小村寿太郎の渋さと、広瀬武夫の侍魂が際立っておりました。
広瀬がアリアズナに日本への帰国命令が出たと伝えると、アリアズナは一緒に連れて行って欲しいと懇願しました。すると広瀬は、ロシアと日本はいずれ戦うことになるだろうと断ります。どうしても日本がロシアと戦わねばならなくなったら、私もこの手に銃を握って、わが祖国と戦いますと言います。国を捨てる覚悟はあると。でも広瀬は置いていっちゃうんですね。
ロシアとの対決を回避し、協商を結べないかと単身ロシアに乗り込んだ伊藤博文は、ロシア側の大きな歓待を受け、皇帝ニコライ2世と直接会いって話す機会を得ます。そして通訳を介さず英語で話し合い、皇帝は殺されそうになったことを思い出しながらも、日本では良い思い出ばかりと伊藤に言い、挙句、聖アレクサンドル・ネフスキー勲章まで授けます。しかしその後、とっとと帰っていきます。この辺りのニコライの狡猾さが出ていて、ロシア皇帝の嫌な奴さ感が高まってます。ニコライ役の人、上手いですね。
ロシアの宮殿の中、本物みたいですね。
そして伊藤がロシアを去った後、ウィッテになんで勝手に日本に救いの手を差し伸べようとしたと咎められ、どうして朝鮮における日本の利権を認め、多額の融資という愚策を提案したのだと詰問されます。ウィッテは日本に恩を売っておくのだと答えます。それを聞いて呆れて笑う皇帝。ウィッテは日本は食うや食わずで軍拡を進めており、これ以上日本を刺激するのは危険だと訴えます。だから融資して日本に恩を売り、鉾をおさめさせるべきだと説きます。するとニコライ皇帝はウィッテにこう尋ねます。
いつからそんな敗北主義者になった?なぜあんなちっぽけな島国を恐れる?
皇帝が階段を降りてきた皇后を見ると、日本を過度に刺激すると戦争になると危惧するウィッテとの煩わしい話し合いを切り上げます。
日本をどう刺激しようと戦争はありえんよ。
なぜでございましょう?
なぜなら、朕が戦争を欲しないからだ。
愕然とするウィッテ。
この皇帝のセリフは原作でも破壊力絶大ですが、このドラマでもいい感じで使われています。
そしてナレーション。
威圧すれば足りる。日本はロシアと戦争する能力などからっきしないから、戦争はあくまでロシアが決めるものであり、ロシアが欲しない限り、起こりっこないということであった。
伊藤博文はベルリンでロシア側からの伊藤の提案に対する返答を受け取り、激怒します。満州におけるロシアの行動は自由、朝鮮における日本の利権も制限するなど、伊藤の要求はことごとく無視するものでした。
恐ろしいことになる……伊藤は呟きます。日露戦争は不可避となりました。
サンクトペテルブルクを離れる広瀬の送迎会が行われたあと、アリアズナを奪われてかつて広瀬に嫉妬していたボリスが、広瀬にひとつの提案をします。
将来、ロシアと日本の上に、砲火を交えるような不幸が来るかもしれない。その時は、祖国のために戦おう。
広瀬も、正々堂々と戦おうと答えます。
しかし我々の友情は一生涯のものですとボリスは手を差し出し、広瀬はその手を強く握ります。広瀬に逢えてよかったを肩を抱きます。
カッコいいですな。
最後は日英同盟成立に日本の国内が浮かれる中、一人張り詰めた表情を顔を崩さない小村寿太郎。総理大臣の桂太郎にこの同盟成立によって爵位を与えられるかもしれんのに浮かない顔だなと問われると、小村寿太郎はこう答えます。
こん小村が外交官として真価を問われるのは、まさにこれからです。
激しく渋いです。
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主役のはずの三人より、広瀬のほうがずっと出番の多い回でした。
宮殿とか、ぜんぶ本物のロケだそうです。「荒城の月」って、ドラマのこの時点では出来たての新曲なんですよね。滝廉太郎は、この2年後に23歳という若さで亡くなっています。
虛子と碧梧桐を高く評価していない家内が、今日出てきた若い二人を見て「軽そうな雰囲気がよく出ている」と言ってました。
投稿: baldhatter | 2010/12/08 00:41
baldhatterさん、どうも
ロシアという日本という国家ではなく、日本人とロシア人という軸を入れるとなると、広瀬はうってつけのキャラクターだと思います。元水泳選手は演じきってました。
これで死亡フラグががっちり立ちました。
投稿: 竹花です。 | 2010/12/09 00:09