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2010/12/26

STAR DRIVER 輝きのタクト 第12話 ガラス越しのキス

ボクサーのロッカールームに佇むカナコから始まる今回の話。熱いっす。

学園の昼休み。タクトがメロンパンを囓る後ろで男子生徒の甘い声がする。
「ねえ。ガラス越しありな人?」
はぁ~とタクトの顔が赤くなる。
タクトの後ろにいるカナコが目を閉じて唇をガラス窓に近づける。
「そういえば、最近注意しないね」
タクトが前の席で本を読んでいるケイトに訊く。
「穴の開いたバケツに水を汲むのは無意味だから」
とケイトが言う。
「イッツ・ア・クール」とタクトは苦笑いする。(※アは本当の英語では入れません)

英語の授業。窓の外を物憂げに見ていたカナコが指にはめた結婚指輪に目を遣り、
「ねえタクト君」と声をかけた。
「キター」
黒板に板書していた英語教師イシノの手が止まる。教室じゅうが石原都知事的にやばくないっすか的な妙な空気になる。でもこれは名作だから問題ないか。
「ワタクシたちまだ一度もしてないわね。ワタクシがガラス越しのキスを入学してから今日までに73人と男の子としちゃったけど、どうしてタクト君は一度も声を掛けてくれないのかしら?まだこのお預けプレイは続くの?」
「お預けプレイ…」
ルリの頬がちょっと赤くなる。
「お預けプレイって何?」
ワコが困惑する。
そんな教室の雰囲気はお構いなしに、カナコの誘惑は続く。
「タクト君って細身だけど意外と肩幅広いわよね。考えて見ればワタクシって毎日毎日退屈な授業の間、あなたの背中を見て、過ごしているのよね」
ボキッ!イシノ先生のチョークが折れる。
「退屈で悪かったな」
イシノ先生が屈辱的なカナコの言葉に心の中でキレる。
そんなことはお構いなしにカナコは指を動かし、角度によって変わる結婚指輪のダイヤの輝きを見ながら、誘惑し続ける。
「ねえ、タクト君。私は去年、教会で式を挙げたんだけど、その時、神父様に言われたの、人は心の中で欲望を抱いただけでも、罪なんですって。じゃあいつもタクト君の背中を見ながら、いろいろ妄想しちゃってるワタクシはもう罪人なのかしら?」
「存在自体が公然わいせつ罪」
ケイトが最後に止めを刺す。
「奥様、楽しんでるね」
カナコの隣りに座る、前回の決闘の敗北者タカシが言う。
「そうなのかしら?」
シモーヌがカナコを見た。カナコは天井をまた物憂げに見つめていた。

綺羅星十字団総会。サイバディ復元のための作業環境がほぼ整ったとグリーンが報告する。それに対してマンティコールがチャラリと鉄扇を開き、まず口を開いた。
「私のアインゴットが直るの?」
「イヤ、まずは壊れた他のサイバディを使って実証実験をしてみる必要がある」とグリーンが答える。「アインゴットは発見当初から破損していた特殊な個体だ。いきなり復元作業を行うのは避けたい」
「どうせ、壊れたすべてのサイバディを復元作業する予定なんだからどれでも好きなのを、使えばいいじゃない」
スカーレットキスが言う。
「ところが話はそう簡単ではない」
グリーンが反論する。
「確かにオリハルコン蘇生方程式は解いたが、実際にサイバディを復元するにはスタードライバーの力が必要だ。そしてリスクがある」
綺羅星の団員の間からどよめきが起る。
おとな銀行頭取が手を挙げて尋ねた。
「どんなリスクなのかしら?」
「オリハルコンは共鳴するドライバーのなんというか生命力、いやリビドーとでもいったようなものを触媒に蘇生する。そしてサイバディが必要とするだけのリビドーがなければ、そのドライバーはただ生命力を失うだけの、結果に終わるかもしれない」
グリーンがそう説明すると、イヴローニュが訊いた。
「かつてのザメクのドライバーたちが意識不明になってしまったのも、それと関係しているの?」
「復元するために必要なリビドーを集めていたザメクにアプリボワゼした彼らが、生命力を奪われた可能性はある」
「じゃあシンドウ・スガタが目を覚ましたのは……」
「もしかしたら、すでにザメクが復元したから……かもしれないわね」
とグリーンが答える。
イヴローニュが低く唸った。
グリーンが最後に言った。
「とにかく最初の最初の復元はデータも乏しく、かなりの危険が伴う。ただ危険は伴うが、復元が可能になったことをここに報告しておく」

大型ヨット。ベッドに横たわるカナコがタカシのマッサージを受けている。
「アインゴットが復元すれば、マンティコールはすぐにも日死の巫女の封印を解いて、そのままタウバーンに戦いを仕掛ける可能性が高いわね……もういいわ、ありがとう」
タカシがカナコの横に退くと、カナコは起き上がり、首を振り上げた。緑色の長い髪がふわっと舞う。
「この前の戦いであなたとシモーヌが敗れたおかげで、プロジェクトに関係している企業の株価はひどい有様。けど本当に大変なのは、各国政府から引っ張り出したODAを引き上げられることなの」
カナコはローブを脱いで裸のまま立ち上がり、巨大な株価の画面へと立ち上がる。
「今頃、うちの人、あちこちのトップにねじを巻き直してるわ」
「申し訳ありません、奥様」
ベッドの上に正座するタカシがカナコに詫びる。
「勝てるつもりだったのですが、あの銀河美少年の力、何か違うようです」
「何かが違う?でもこのままでは、あの人に申し訳が立たない……」
カナコがタカシを見る。
「ワタクシはすべてのサイバディの所有権がおとな銀行にあることを認めさせなきゃならないの」

夜のプールを泳ぐワニータ男爵。
カナコが豪奢な椅子に座ってぼうっと眺めていると、硬い足音が聞こえてくる。シモーヌの足音だった。シモーヌはカナコの脇にある小さなテーブルに飲み物を置く。
「いいわよね、ワニータ男爵はいつも悩みがなくて」
カナコがシモーヌにそう呟く。いつも鷹揚で自信満々なカナコしか知らないシモーヌは驚いた。そしてシモーヌにカナコはひとつ頼みごとをした。

土曜の昼の学生寮の廊下。タクトが廊下にかかっている絵画を見ている。それは浜辺で日傘をさし、海を眺める女性の絵だった。右下にはRのイニシャルが書かれている。
「おーい、タクト。女の子が会いに来てるぞ」
寮長ベニオの声がする。その女の子とはシモーヌだった。
「ヒューヒュー」
ベニオがタクトを冷やかす。

面会室とおぼしき部屋で、タクトとシモーヌが向い合って座っている。
「ワタナベ・カナコからこれを預かってきました」
シモーヌがタクトに一通で手紙を差し出す。
「デートの招待状だそうです」
「それってなんか凄いデート?」
タクトが苦笑する。
「いえ。明日の日曜日、待ち合わせして、ただお茶をご一緒したいそうです」
うーんとタクトが考え込む。
「お返事を伺うようには言われておりません。行く行かないはお好きにして頂いて結構です」とシモーヌが付け加えると席をたった。
タクトがカナコの手紙を手に取ってこう訊いた。
「これって、またあの人、特有の冗談なんだよね?」
「たぶん、冗談ではないと思います」
そう聞いて考え込むタクト。
「タクトさん、実はあの人、かなり凄い人なんです」とシモーヌが秘密を打ち明けるように言った。
「それは知ってる」とタクトが答える。
「たぶん、タクトさんが思っている以上に。あの人はなんでもできるし、なんでも持っています。私はお仕えしていますが、あの人のことがあまり好きではありません」
「ん?」
タクトが怪訝な顔をする。
「ただ、こういうことをするあの人の気持ちは、少しだけ分かるような気がします。なんでもできて、なんでも持っているあの人に、唯一欠落しているのが、いわゆる普通の一般的な幸せなんだと思います。私も詳しくはありませんが、あの人はこの南十字学園に来るまで、学校というものにも行ったことがなかったそうです」
タクトは黙って聞いている。
「タクトさんは、あの人がいつもやっている、ガラス越しのキスってどう思います?私はあの人が学園生活を楽しもうとして結局、心からは学園になじめていないように思えます。よくも悪くも常識がないんです。だからただ、タクトさんと親しくなりたいんだけど、こんなふうに招待状を出すしかないんですよ。きっと……」
タクトが微笑んだ。
「シモーヌちゃんはほんと彼女のこと、好きなんだね」
「う……」とシモーヌは頬を赤らめ、
「私はこれで失礼します。いきなり訪ねてきてすみませんでした」
と照れくさそうに暇乞いをした。
「クラスメートなんだし、そんなに気ぃ使わないで。手紙ありがとう。休みの日に青い目の女の子が訪ねてきてくれるなんて、ちょっと感動だよ」
タクトはそう言ってシモーヌに笑いかけた。シモーヌさん、ハートをぶち抜かれました。

「あらもうお帰り?あいつ、妙に人気あるから、競争率高いよ」
ベニオが部屋から出てきたシモーヌに声をかける。
「そんなんじゃありませんから。失礼します」
シモーヌはベニオに会釈して玄関に向かい、玄関のドアに右手を当てると立ち止まって眼を閉じてタクトの言葉を思い返した。
「シモーヌちゃんか……」
<休みの日に青い目の女の子が訪ねてきてくれるなんて、ちょっと感動だよ>
「どれくらいの競争率なのかな?」
シモーヌは扉を開けて、外へ歩き出した。

翌日の日曜日。Cafe Eaterにタクトが来ると、マスターが寄ってきて、タクトの首に腕を回して、ひそひそ話をするようにタクトの顔を近づけ、
「タクトちゃん、ほら見て。見慣れないゴージャスな美人が来てんだよ」
と窓の方に目配せした。カナコだった。
「ああ、僕のデート相手だよ」
タクトが答える。
「タクトちゃん……」
「マスター……痛い」
マスターが悔しさいっぱいの声でタクトの首を締める。

窓から海を眺めるカナコにタクトがお待たせと声をかけた。カナコがどうぞと自分の前の席をタクトに勧め、タクトが腰をおろす。
「シモーヌちゃんはキミのことすごく大事に思ってるんだね」
タクトがそう言うと、
「あの子はワタクシの宝物よ」
とカナコが答えた。
「で、今日はどういう趣向?」
タクトが尋ねる。
「ワタクシは人妻だし、タクト君にはアゲマキさんがいるけど、お互いそれぞれの相手とイチャイチャラブラブできない状態だから、寂しい日曜の昼下がり、たまにはこういうのもいいんじゃないかと思ったの」
「ぼ……僕はワコは別に……」
タクトが慌てる。そこにマスターがお待たせしましたと余所行きの声で現れ、タクトにコーヒーを、カナコにケーキの皿を置いた。
「これ頼んでいませんけど」
カナコがマスターに言うと、マスターは目から綺羅星を出し、顎に指を当てたマンダムのポーズで、
「当店からのサービスでございます。今後ともご贔屓に」
と答え、そのままの姿勢で去っていった。
「美人は特だね」とタクトが言う。
「そうね。こんな毎日がずっと続くといいのにね」
再びカナコは窓の外を悲しげに見た。脳裏にボクサーのロッカールームに佇む自分の姿が浮かぶ。そしてふと我に返り、タクトに目を遣った。
「タクト君は、ガラス越しのキスはやっぱりいけないことだと思ってるわけ?」
「いけないっていうか、相手の顔は見えてるわけで、本当にキスするのと変わらないんじゃないかな」
「じゃあ目を閉じればどう?」
カナコが身を乗り出す。
悩むタクト。
「そうだな……目を閉じれてれば、ただのガラスとチュウだよね」
「単純ね」
カナコがクスクスと笑う。
「じゃあ今度目を閉じて、ガラス越しのキスしましょうね」
「って言われても……」
苦笑するタクトの唇に、カナコはケーキの生クリームを指ですくってそれを自分の唇につけてから、タクトの唇へと伸ばした。タクトの唇にクリームがついた。そしてその指を最後に舐めてタクトに微笑みかける。
「イッツ・ア・サンデー」
タクトが頬を赤らめる。
「今日は来てくれてありがとう。楽しかったわ」
カナコが満足気に満面の笑みを浮かべる。そんなカナコにタクトは恐縮した。

「今日は俺に会いに来てくれたのかな?」
夕暮れの海が見える公園にやって来たスガタにヘッドは話しかける。
「どんな絵を描いているか気になってね」
スガタが答える。
「それは申し訳ない。まだ何も描きはじめていないんだ」
「美術部員?」
「ハハ……実は学校にはほとんど行ってない」とヘッドは笑い、こう言った。
キミが興味を持ったのは、俺の描く絵じゃなく、絵を描く俺の方だな。この前会ったときに思った。キミはどこかオレに似ている」
そしてスガタを見る。
「キミは自分の進路について迷っている。それはおそらく常識から外れたような選択肢だ」
「なぜ、そんなふうに思うんです?」
「俺たちは似てるからさ」

「ワ~コちゃん!タクト君は?」
ミズノが教室に入ってくる。
「もう部活、行ったんじゃないかな」とワコが答える。
「サンキュー!」
と言ってミズノが教室から出ていこうとすると、カナコが呼び止めた。
「あなた2組のミズノさんよね?」
「そだよ」
「噂で聞いたんだけど、あなたって魔女っ子なの?魔法使いって本当にいるのかしら?」
「あのね」
ミズノが答える。
「僕たち人間はほんとはみんな魔法使いなんだよ。人間であるということは魔法使いでもあるってことなんだ」
「じゃあワタクシにも何か魔法が使えるのかしら?」
「あのね人間はみんな魔法使いなんだけど、使える魔力は人それぞれなんだ。でも今は、とてつもなく強大な魔法を使える大魔王の力で、本来持っている魔力の力を使えなくされちゃってるの。だけど残念だけど今は、みんなほとんど魔法が使えないんだ」
「ありがとう。とても勉強になったわ」
カナコがミズノに微笑みかけた。

夜。学校から寮へ帰るタクトが森の中の道を歩いていると、ふと立ち止まった。
「なんか用?」
タクトの後ろ、満月を背に受け樹の枝の上にボンテージ姿の女が立っている。その女は
「綺羅星十字団第4隊、おとな銀行頭取」と名乗った。
「綺羅星か……」とタクトが呟いた。
「できればお前と戦いたくない」
「戦いを仕掛けてきているのはお前たちの方だろう」
「お前は何がしたい?なぜ戦う?」
「なぜ?」
古代銀河文明の遺産がこの島で発見されてから数十年。これ以上封印しておくことはできない。ならば安全に管理していくしかないんだ。お前のやっていることは事態を悪化させている」
(そういう話だったの!)
タクトが頭取を睨む。
「女の子を拉致するようなヤツの言うことは信用できない」
「単純だな」と頭取は小さく呟くと、「残念だよ銀河美少年!」と言い残して去っていった。

同じ夜。ホンダ・ジョージがカナコのヨットに招かれた。そのことをボクシングのロッカールームに佇むカナコにシモーヌが伝えに来た。カナコがシモーヌにジョージを中へ入れるように命じる。ロッカーを開けると、そこには赤いグローブが入っている。カナコが羽織っていたローブを脱いだ。
「せっかくのご指名で、どんなバイトかと思ったら……」
ジョージが呆れる。カナコはジョージとボクシングをしようというのだ。
「よく来てくださったわね。ちょっと勘を取り戻すのに、スパーリングの相手が欲しかったの」
「美容体操なら、ほかにもいろいろあるんじゃないの?」
「まったくね」とシモーヌがゴングを鳴らす。
それを聞いてふっと笑ったジョージの顎にカナコのストレートが炸裂する。動揺するジョージ。その横っ面にカナコがパンチを喰らわせる。ジョージはマットに倒れた。ノックアウトだ。カナコがグローブを脱ぎ始める。
「驚いたわね……ワタクシのストレートを浴びて一発で倒れないなんて。たかが学生ボクシングと侮っていたけど、この男意外と強いのかしら」
白目を向いてヒクヒクしているジョージを向いてカナコが言った。
「少しも鈍ってませんね」
目が点になって固まっているシモーヌの横にタカシがやって来る。
「IOCの会長が次のロンドンオリンピックから、奥様のために女子ボクシングを正式種目になさったという噂は耳にしましたが」
カナコがグラブをタカシに放り、
「殺人パンチを持つワタクシが、まさかアマチュアの競技に出るわけにはいかないでしょ」
と言ってリングを降りた。
「それに計画どおりに綺羅星十字団が旅立ちの日を迎えたら、オリンピックどころじゃなくなるわ」
「奥様は、ご自分のサイバディで戦うつもりなんですか?」
呆然としていたシモーヌが口を開いた。
「できれば戦いたくなかった。ワタクシはあの銀河美少年と戦って殺さずに勝つ自信がなの」
「勝てるのは前提なわけね」
また呆気にとられて固まるシモーヌ。タカシも呆れてる。でもカナコは意に介さない。
「でもしかたないわ。世界のためには結局、ワタクシが大魔王になるしかない。大丈夫。戦う以上は。その戦いを楽しむから……」
カナコは白目を向いたジョージをリングに残して去っていった。
「たとえ銀河美少年を殺すことになってもね」

おとな銀行頭取が電気柩に乗り込む。タクトとスガタがゼロ時間に取り込まれる。
「タフホふん!」
歯ブラシを口に入れたパジャマ姿のワコもいた。
獅子の顔を持つサイバディ・ベトレーダがタクトの前に現れる。タクトがアプリボワゼを叫び、タウバーンがゼロ時間の壁を破って現れる。
全然関係ないですがタウバーンには電気柩がないのでしょうか?あるなら誰が乗ってるでしょうか?)
地面からピンクのポールが4本突き出て光のロープで囲われる。タウバーンとベトレーダの試合の舞台は用意された。ゴングが鳴る。ベトレーダが両腕で顔をブロックしながら、タウバーンに突進し、パンチを繰り出す。それがタウバーンの顔面に命中し、タウバーンはロープまで突き飛ばされ、その反動で戻ってきたところをまた殴られる。
「いいわ!すごく楽しい!」
頭取が子供のようにハツラツとした笑みを浮かべ、ベトレーダがタウバーンの顔面へマシンガンのようにパンチを繰り出す。唸るタクト。
「この戦いに手を出すのは無粋かな」とスガタ。
さあ聞かせて!綺麗な男の子の悲鳴を!」強烈なアッパーカットがタウバーンの顎に炸裂する。タウバーンは宙に舞い、地面に大の字に倒れた。ベトレーダがタウバーンに背を向けた。
「終わった」
頭取が勝利を確信したが、
「まだだ……負けるわけにはいかない」
タウバーンが立ち上がった。
「この島のサイバディはすべて僕が破壊する!」
「そう来なくてはね!」
ベトレーダがタウバーンに向き直ると、両腕から鉤爪が飛び出す。その爪の狙いをタウバーンに定めてベトレーダが突進する。
「パイル!」
タクトが右腕を上げて叫ぶ。
タウバーンの腰のファンネル(みたいの)が、振り上げた白亜の右手に集まり、ドリルのように唸りを上げて高速回転を始める。
「うおおおおお!」
頭取が咆哮をあげ、ベトレーダが鉤爪をつき出し、全速力でタウバーンに襲いかかる。鉤爪がタウバーンの間近に迫ったとき、タウバーンは回転するパイルでそれをはじくと、ベトレーダの腹にパンチを見舞って、拳を突き上げた。ベトレーダがタウバーンの頭上に飛ばされる。
「何!?」
動揺する頭取。つかさずタクトが叫ぶ。
「パイルゥクラッシャー!」
タウバーンが腰をかがめてパワーをため、渾身の力で右拳を天めがけて振り上げる。右腕からパイルが青白い光の竜巻を起こしながら飛んでいき、ベトレーダの胴体を貫いた。(超電磁竜巻だ!)ベトレーダはエンジ色の大爆発を起こして散った。
「銀河美少年ツナシ・タクト……確かに彼の強さは何か違うわね」
戦いに敗れた頭取が呟いた。
電気柩から降りてきた頭取を議長(委員長?)が待っていた。
「全サイバディの所有権は認められそうもありませんね」
そう言うと頭取に右手を差し出した。
「これであなたはリーダーにはなれない」
頭取がスタードライバーのバッジを差し出された議長の右手に置いた。
「もしこのまま彼が勝ち続ければ、誰もなれないけどね」

翌日朝。タクトが学校への登校途中、黒塗りの車が来て彼の横で止まり、ウィンドウが開いた。中に乗っているカナコがタクトを上目づかいで見た。
「ねえ、今日はしてくれる」
「ん?」とタクトが聞き返す。
「目を閉じてガラス越しに……」
カナコがウィンドウをあげて、目を閉じ、口をすぼめた。
慌てるタクトだったが、言うとおりにしないと解放されないと思ったのか諦め、あたりに他の生徒がいないことを確認すると、目を閉じて口をすぼめて顔をガラスに近づける。するとウィンドウが突然下がり、カナコがタクトへ身を乗り出した。ガラス越しのキスではなくなった。
「いけないんだ、人妻に」
とカナコは言い残して、車を出した。
呆けるタクト。

「ほんと単純」
車の中のカナコが言う。
「楽しんでらしゃいますね、奥様」
横に座っているシモーヌが言う。
「青春の謳歌ってヤツかしらね」
そうカナコは笑った。

古代銀河文明だったのか……
カナコさん美貌の割に不遇ですわね。旦那に才能を利用されてるだけのようですし。

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