ラストデイズ 松田優作X香川照之
これぞNHKという素晴らしいドキュメンタリーでした。眼が潤みました。
SFで申し訳ないですが、このドキュメンタリーを見て松田優作がブラック・レインを作ったリドリー・スコット監督のブレードランナーのロイ・バッティのような男だなと思いました。人造人間(父親のいない)のロイが設計者のタイレル博士に延命ができるかと聞いて、それは無理だと告げたあと、宥めるように人生をロウソクに例えて言います。
The light that burns twice as bright burns half as long. And you have burned so very very brightly, Roy
二倍激しく燃えて輝けば、それだけ燃え尽きるのも早い。お前はもの凄く激しく燃えて輝いたんだよ、ロイ。
松田優作は在日韓国人の母から生まれ、父は知らずに遊郭で育ち、その負い目がとてつもないエネルギーとなって役者松田優作を突き動かしたんだそうです。香川照之も同じ境遇だったそうです。ねじ曲がった怒りがなければ、今のような自分の演技はないと香川照之が言ってました。お互いに負に向かう精神のエネルギーを善に向かってほとばしらせていると思います。。
松田優作は完璧さを求めるあまり、日本の映画界から爪弾きにされます。そこでブラック・レインのオーディションがあって出演が決まった後、癌の告知を受けます。松田優作は治療を優先せず、映画の撮影を選びます。
佐藤が警察署に連行されてきたシーン。確かにニヤニヤと笑ってます。あれが制作側の上層部が気に入らなかったそうですが、松田優作は佐藤は必ず警察に復讐してやるからこれでいいんだと監督に直談判したら、監督がその通りだと松田優作の演技を尊重します。この話、ブレードランナーのロイバッティを演じたルトガー・ハウアーが撃たれて死ぬんじゃなくて電池が切れるように死ぬのがいいっていうアイディアを容れて書き換えちゃったのと同じです。
リドリー・スコットは70歳超えても大作を作ってんだから凄いです。
野獣死すべしで最後に主人公は謎の銃弾を受けて死に、探偵物語の最終回でも工藤が刺されたあと死んだと思いきや生きてるような終わり方でしたが、このドキュメンタリーを見てなんとなく心情がわかった気がします。
すごく良かったです。
追記:アンディ・ガルシア演じる刑事が佐藤に頭をぶった切られるロサンジェルスのロケ地のシーンで、ブラック・レインのエンディングの曲がかかってて泣けてきました。なんか久しぶりに見たくなってきましたよ、ブラック・レイン。
« 「韓国軍に日本の基地使わせろ」→いいんじゃない? | トップページ | お天気バラエティー気象転結冬将軍の巻 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 劇映画 孤独のグルメ テレビ版とは違う味わい(2025.01.13)
- 侍タイムスリッパーは大当たり。これぞ映画。(2024.10.04)
- エイリアン:ロムルス ゴジラ-1.0と同じ原点回帰の面白さ(2024.09.11)
- 沈黙の艦隊、潜水艦乗りの話として面白いじゃないか!!(2024.02.10)
- NHKドラマ「あれからどうした」がめちゃめちゃ面白い。(2023.12.30)
ブラックレイン・・・1年間、喪に服して見ました。
佐藤の登場シーンがたまらなくカッコいいです。幹部の首にナイフを突き立てて、目をカッと見開いて周りを威嚇するように見る・・・今でも鳥肌が立つシーン。まるでアメリカの首にナイフを突き立てて威嚇してるようでした。
久しぶりに探偵物語のダンディー役の重松収さんをみました。
投稿: がきょう | 2010/12/23 09:25
ブラックレインもたまに無性に見たくなる映画の一つですね。アンディ・ガルシアの「80年代の女は靴を見る」ってセリフがあって、ああ80年代だったんだなあと。
マイケル・ダグラスも癌で闘病中だそうですね。
投稿: おじゃま丸 | 2010/12/23 11:16
がきょうさん、どうも
>ブラックレイン・・・1年間、喪に服して見ました
それは筋金入りですね。
蛇のような眼にタランチュラのような仕草に衝撃を受けました。
>重松収さんをみました
あの人がスーツの似合う情報屋ダンディですか!
おじゃま丸さん、どうも
>「80年代の女は靴を見る」
ヤサ男役がハマってました。
>マイケル・ダグラスも癌で闘病中だそうですね。
癌ですか。大変ですね。
投稿: 竹花です。 | 2010/12/23 18:11
香川照之の中車襲名で番組の検索途中で立ち寄らせていただきました 当時番組を観た時 昔共演し影響を受けた役者香川照之が松田優作を語る くらいに思ってたのですが 自分の生い立ちと松田優作のものを重ねて語りだし 終いにはお前は俺になれるだなんて言い出す始末 二人の境遇は母子家庭という部分をのぞけばまるで違ったし 香川のそれは芸能界でも障害ではなくむしろプラスに作用したはずだから 松田優作が言いそうもないセリフとともに違和感というか気持ち悪いものを感じたことを思い出しました ブラックレインは良い映画でした 松田優作の遺作で評価が甘くなってるのかもしれませんが
投稿: 山口 | 2012/06/05 14:17