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2011/05/27

タイムスクープハンター 3 第3話 瓦版ジャーナリズム魂 

アブソリュート・ポジションN155 W372 E305 S403
アブソリュート・タイムB0254225年82時53分29秒
(西暦変換:1722年(享保7年)3月24日19時4分)
コードナンバー:135632

ホラー要素ありサスペンスみたいな追跡ありの今回、大手瓦版「青木屋」の記事ねつ造を暴露しようとした辰吉が暴行を受けた挙げ句、何もできずに終わる鬱展開かと思ったら、最後の最後にタイムワープして暴れん坊将軍・吉宗の名裁きという、タイムワープどんでん返し。

ジャーナリストがジャーナリストを追う今回のタイムスクープハンター。また歴史の隠れた一ページがスクープされました。

江戸時代中期、幕府の財政を質素倹約で健全化させた8代将軍・徳川吉宗の治世、貧しい武士や庶民が増加し(これは幕府の質素倹約方針に大きく関係しています)、裕福な町人が増えていった時代。(現代の格差社会と似てますね)。幕府はそうした富裕層に対して禁止していた株仲間(カルテル=談合制)を認める代わりに、冥加金という税を徴収するようになった。

弱肉強食の格差社会であることと吉宗が今回のキーポイント。

1722年、江戸・京橋水谷町の夜半。立ちこめる煙と焦げた臭い。沢嶋雄一の今回の取材対象である瓦版屋の辰吉(28)が火災現場で聞き込みを行っていた。宵の口に起きた火災は、町火消しの決死の消火活動のおかげで、数戸を焼いただけで鎮火した。

瓦版屋とは取材をして時事性の高いニュースを発行するジャーナリストである。

木造家屋が密集する江戸では、火事に対する庶民の関心が非常に高く、常に新しい情報が求められた。

辰吉は取材を終えて長屋に戻ると、取材内容をまとめ一枚の原紙に版画絵と記事を書き始める。個人出版社であるため、すべて一人でやらねばならなかった(ブロガーみたいですね)。そして完成した原紙を版木に裏返して糊で貼り付ける。そして原紙を剥がずと墨で書かれた絵と記事が版木に残る。それを行灯の火を頼りに凸版に彫る。

瓦版は幕末に現れる言葉で、江戸中期には主に「読売」と呼ばれていた。瓦版の由来は諸説あるが、印刷のスピードを優先するため印刷の質が荒くなり、まるで瓦を版木にしたような出来だったからというのが有力である。辰吉は早朝までに刷り上がった200枚の瓦版を持って町に出た。

「火元は「へっつい(かまど)」でございます」と辰吉が通りに立って呼び込みをして、売り始める。読売の値段は四文(800円) (80円だそうです ツイッターで修正がありました。でも実感は800円ぐらいかも)。すぐになじみの客がやってきて一部買っていった。なぜ買うのかと聞かれたこの客は、辰吉の瓦版には本当のことが細かく書いてありますし、余計な筋立てがございませんで、まあそこが宜しいんじゃないんでしょうかと辰吉の真摯な報道姿勢を高く買っていた。だが辰吉の懸命の呼び込みにもかかわらず、読売はぱったりと売れなくなった。それは軽快な三味線と派手な呼び込みで、大手瓦版屋の青木屋が人を集めて瓦版を売っていたからだった。

青木屋の瓦版は、大衆受けを狙った心中事件なので人気を集め、売り上げを伸ばしていた。心中した男女の生い立ちや背後関係、心中に至る経緯を小説のように書き立てていた。そんな青木屋の瓦版が飛ぶように売れていくのを辰吉は忸怩たる思いで見ていた。青木屋のネタの選定、記事の書き方、販売方法、そのすべてが辰吉と正反対であった。時流に乗れない辰吉の瓦版は売れず、団扇を作る内職もやっていた。

そんなある日、辰吉の長屋に予期せぬ客が現れる。青木屋の主人・青木屋清兵衛だった。辰吉を彫り師として雇いたいと出向いてきたのだ。だが大手瓦版屋への引き抜きを辰吉は断った。青木屋に世話になるというのは、赤本や絵草紙だけを彫っていればいいというものじゃない、命じられれば、心中モノでも彫らなきゃいけない。辰吉は言う。

心中を伝えるのに美言が要りますか?空言で固めた耳障りのいい文句なんて、心中の有様なんかこれっぽちも伝えていませんぜ。読売は心中を悲しく美しい筋立てに書き立たて、結果その心中をただ煽っているだけなんです。

当時の読み物や芝居などは心中を賛美するものが多かった。だが辰吉はそんな風潮を受け入れることができなかった。それには理由があった。辰吉の姉が心中沙汰を起こして死んでいたのだった。そしてある事ない事を瓦版に書き立てられてたという苦い経験があったのだ。当事者の家族の心情を省みず、嘘でも何でも売れればいいという姿勢で、姉のことを「毒婦」とまで書かれていた。世間はそういう目でしか見なくなる。それで辰吉は心に決めた。

ありのままを伝える読売を作って、そいつを広めようと。

そう言うと、辰吉は内職の団扇作りに戻った。それから7日後。川から若い男女の溺死体が引き上げられた。心中のようであった。京都・大阪で心中は大流行し、曽根崎心中がそれをさらに加速させた。1703年には大阪だけで46組(男女92人)が心中していた。

心中した男女が引き上げられるをの見た辰吉の胸に、やりきれなさがこみ上げてきて、彼はその場を立ち去った。それから記事にするネタもないまま数日が過ぎた。

辰吉を兄貴と慕う香具師(薬やお香を売り歩く行商人)の又造がふらっと辰吉の長屋にやってきた。仕事柄、又造は方々を歩き回っていることから情報源として辰吉は親身にしていた。又吉が一枚の青木屋の瓦版を辰吉に差し出す。それは青木屋の瓦版で、神田の廃屋に女性の幽霊が出たことを記事にしていた。当時の瓦版には妖怪などの奇談の類いも現れ、人気を集め始めていた。(今で言うとパワースポットとか?)

又造が長い髪の毛を辰吉に差し出した。会所を挟んだ裏の荒物屋のオヤジがあばら屋の敷地で見つけたという。店の主はそれが幽霊のものじゃないかと怖がっていた。そして夜になると女のすすり泣く声が聞こえるとかで、気味悪がって店に客が寄りつかなくて困っているとこぼしていた。(風評被害ですね)。又造はどうにかして欲しいと店の主から頼まれ、辰吉に助けを求めに来たのだった。又造は辰吉にこれを調べて瓦版にすればいいと持ちかけるが、なんで俺が怪談話なんてくだらない話の後追い(追跡レポート)をしないといけないのかと辰吉は怒る。だが又造も引き下がらない。町の人が怪談話で迷惑しているから、幽霊がいないと確認して、それを瓦版にして売れば、みんな安心できると辰吉を説得する。辰吉は人助けだと思って、渋々、又造の話に乗った。

夜半、幽霊が出るという廃屋に辰吉と又造が入る。(札が壁一面に貼ってあったりして、ここはちょっと怖かったです。そして沢嶋が映像したリプレイで壁の上の方に女の顔が見えたときは、うわっと声を上げてしまいました)。又造と辰吉が幽霊を追いかけ、廃屋の外で捕まえた。だがそれは幽霊ではなかった。生身の女であった。問いただすと、女は水茶屋で働いており、そこのなじみの客に幽霊に化けるように頼まれたと答えた。同じ客に艶やかな女物の着物を持ってきたら、高く買ってやると言われてるという。だが女は客の名前を知らないという。

辰吉は水茶屋のそばに張り込んで、その客が誰なのか確かめることにした。夕方、女が茶屋に赤い着物を持って入る。日が落ちて夜になり、笠を目深にかぶった男が茶屋へやってきた。そして朝を迎え、何事も起こらないかと辰吉たちが諦めかけたとき、例の男が赤い着物を持って茶屋から出て行くのが見えた。すぐに二人は男の尾行を開始する。男が向かったのは浄回寺という寺だった。

15分後、笠の男が寺から荷車を引きながら現れた。荷車にはむしろがかぶせられている。辰吉と又造は尾行を続けた。男は荷車を町外れにある古川という川まで運んでくると、むしろを剥がした。荷台に積んでいたのは若い男女の死体であった。笠の男が死んでいる男女の腕を赤い紐で結ぶ。死体の女は茶屋の女が笠の男に渡した赤い着物を着ている。そして笠の男は男女の死体を川に投げ入れて隠れた。これは心中の偽造工作であった。旅人がそこを通りかかって死体を発見し、心中だと声を上げた。笠の男が全速力で現場から走って去る。辰吉と又造が追いかける。笠の男がたどり着いたのは青木屋だった。

数時間後、辰吉が知る青木屋の販売員が出てきて瓦版を売りさばいていく。それは古川での心中の記事であった。浄回寺は無縁仏を引き取っている寺で、笠の男は病で亡くなった男女を調達して心中に見せかけて川に投げ込んで、心中話をでっち上げていたのだ。

読売を舐めやがって……辰吉のジャーナリスト魂に火がつく。奉行所に届けようと又造は言うが、奉行所は自分たちより青木屋を信じるだろう、役人と青木屋がつるんでいるかもしれない、そうしたら自分たちが牢屋に入るかもしれないと辰吉はやめさせた。目安箱は将軍様が直々に目を通すから、投書してはどうかと又造が提案する。箱はありがてえと辰吉がうなずくが、だが奉行所はいつ動いてくれるかわからねえ。辰吉が言った。

それよりも俺たちにはやることがあるんじゃないか?ありのまま、世間様に読んでもらおうじゃねえかよ。

人の亡骸を粗末に扱い、心中話をねつ造してまで営利を追い求める、その無神経な強欲さが辰吉には許せなかった。辰吉と又造は長屋に戻り、青木屋の不正を告発する瓦版作りを始めた。幽霊話に始まり、川に落とされた男女の死体、辰吉は怒りを押し殺しながら、事実を客観的に描写する原稿にまとめる。

当時の瓦版は庶民にとっての一大事や興味深い事実を早く伝える事を目的としており、権力の不正を暴くという強い者への抵抗は少なかった。そうした中での大手瓦版屋への告発。下手をすれば辰吉の今後の報道活動に大きな支障が出るかもしれない瓦版であった。だが辰吉はためらくことなく、強者の横暴を糾弾すべく瓦版を刷り上げていった。翌朝、刷り上がった300部の瓦版を又造と手分けして売ることにし、二人は人目を避けるように長屋を出た。だが青木屋清兵衛に見つかってしまう。

清兵衛が辰吉に読売を見せてくれという。清兵衛は二人の腕っ節の強そうな男を連れている。辰吉が青木屋を探っているのを知って先回りしていたのだ。辰吉は4文でそれを清兵衛に売った。清兵衛は辰吉の瓦版を見て毒づいた。字が細けえなあ、これじゃ売れませんよ。手間や墨代考えたら、いくらの儲けにもなりますまい。そして清兵衛が辰吉に提案した。どうでしょう、まとめて買い取りますよ。一部十文。版木には別に二両出しましょうか?

銭のためにやってるんじゃねえと辰吉は断った。でたらめでしょうと青木屋。それを決めるのはあんたじゃねえと辰吉が反論し、少しは書かれた方の気分にもなったんじゃねえんですかと言った。

この青木屋に説教ですかと清兵衛が辰吉の態度に苛立つ。あんた、この商売に向いていない。この商売から足を洗った方が、あんたのためですよ。

確かにそうかもしれませんよと辰吉。でもそのお言葉、そっくりそのまま、青木屋さんに返しますよ。あんたらの書いてるのは、でたらめだ!と辰吉が声を荒げた。青木屋が辰吉をあざ笑う。

売り上げを見てみればわかるだろ、世間はね青木屋の味方なんだよ。わかるか?そこんと、よくわきまえるんだね。長い物には巻かれろって言葉、あんた知ってんだろ?

さあ、その刷り物、こっちに渡しな。清兵衛が辰吉に手を出す。

そうは行くか!と辰吉は逃げようと駆けだしたが、清兵衛の手下に捕まって道に倒され、瓦版をむしり取られ川に投げられてしまう。さらに何度も蹴られ、これからは気をつけるこったな!と手下が吐き捨てるように言って清兵衛とともに去って行った。

辰吉は口についた血を手出ぬぐって立ち上がり、また瓦版を刷ろうと長屋に戻った。だが瓦版を刷るのに必要な道具が壊されていた。清兵衛たちの仕業であった。そこに又造も戻ってくる。又造も瓦版を奪われ、捨てられていた。雨音が悲しく響く。

この商売、むいてないのかね、辰吉が荒らされた長屋の床に座り込んだ。やったのは青木屋でしょう、ほっといていいんですかいと怒りをあらわにする又造に、辰吉は、俺は疲れちまったと涙声で言った。青木屋と戦う気力を完全に失っていた。

長い歴史の中で、無数の人々がこうした大きな力に屈し、闇の中に埋もれていったのだろう。沢嶋雄一にとって初めて、個人の無力さを痛感した取材をなった。

めげませんよと辰吉は沢嶋に言った。読売が生涯の仕事だと思ってるんで……

なんて悲しい終わりなんだと思いきや、ナビゲーターの古橋ミナミさんから連絡が入る。2か月12日後に、新たな展開が起こると。沢嶋がタイムワープを要請する。これは初めての展開ですよ。

なんと又造が目安箱に青木屋の告発した瓦版を投げ込んでおいたことで、又造が大家とともに、奉行所による青木屋の取り調べに証人として出向くことになったのだ。私利私欲を嫌う吉宗の方針のもと、幕府が青木屋の摘発に乗り出したのだった。

なんたる勧善懲悪!暴れん坊将軍万歳!

奉行所へ連行される青木屋を見つめる辰吉に、なじみの客が声をかけてきた。自分は青木屋よりも辰吉の瓦版が好きだという。だから青木屋の一件もいつものように余計な筋立てのない、ありのままのことを書いてくださいと頼んだ。

たとえ1人でも自分の出す瓦版を待っていてくれる人がいる。辰吉は再び熱く燃え上がるものを感じていた。

浅間山で噴火が起こると、自分の住んでいる界隈にもその近隣の出身者がいるので、ありままを伝えたいと、辰吉は旅支度を整えて一人浅間山へと向かった。

やがて辰吉の瓦版屋は多くの職人を抱える大手に成長し、「真実を伝える」姿勢を生涯貫いた。1722年、幕府は心中モノの出版を禁止し、翌年男女の心中に対して厳しい罰則を定めた。

なんて清々しい連中なんだ。

ワザとなのか素なのか、時々台詞がとちり気味になるのがまたいいですね。

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コメント

瓦版て実質木版画みたいなものなんですね。あれを短時間で彫って手で一枚一枚刷るのは大変です。
青木屋も辰吉の動きを察知してるとはなかなかの情報収集力ですよね。そのリソースを正しい目的に使ってくれれば……!

意図的かどうかわかりませんが、古橋ミナミさんとの通信時にミナミさんの応答が一瞬遅れたりするのが、通信のタイムラグぽくてリアルでいいですhappy01

おじゃま丸さん、どうもsun
手彫りで300部刷って一部800円だと、苦労の割が実入りが良くないですね。

>青木屋も辰吉の動きを察知してるとはなかなかの情報収集力ですよね。そのリソースを正しい目的に使ってくれれば……!
悪いやつはいいやつよりも優れた能力を持ってますよね。しかし吉宗にはかなわなかったわけですね。

通信ラグもいいですね。リアルです。

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