タイムスクープハンター 3 第5話 修羅場!決戦の妻たち
今回は、こんな日本があったのかとさすがに驚きました。先妻が後妻を襲う「後妻(うわなり)打ち」って戦国から江戸初期は激しいですな。
どんでん返しにやられました。実はあんまり期待してなかったけど、面白かった!
アブソリュートポジション
N802 W533 E427 S671
アブソリュートタイム
B0345728年72時63分07秒
(西暦変換:1638年(寛永15年)3月30日7時16分)
コードナンバー233714
最初の古橋ミナミさんの解説にBGMがついた。
後妻打ちとは、夫に離縁された先妻が仲間とともに後妻の家に押し入り、乱暴を働く習慣である。今回の取材対象は、後妻打ちに向かう志乃という29才の女性。そのキッカケは離縁された後、叔母のお滝から元夫が離縁からわずか20日で後妻を娶った聞かされたことだった。それは離縁する前から後妻になる女と関係があったということであった。しかもその後妻が志乃の幼なじみのクニであった。なぜじゃと悔しさが志乃の心をかきむしる。激昂した志乃はいてもたってもいられず、クニのとこへ一人行こうとするが、お滝が止める。「後妻打ちに」をしようと。
「後妻打ちに」は、離縁から1ヶ月以内に夫が後添えを娶った場合のみに許される行為で、男は出だしができず、女性だけで敢行する習いであった。
お滝が仲間を集める。他の離縁された女性の家を回る。
<江戸時代は離婚は普通のことだったと武士の家計簿に書いてたような。女性側からの離縁もあったと>
助っ人として、昔はお滝の家に仕え、今は商家に嫁いだマツという女。男じゃないか。マツコデラックスというネタか。そしてトメという町で染め物屋「紀州屋」を営む、人脈の広い未亡人にも加勢を頼む。70人は集められるとトメは胸と叩いた。この老婦人はこれまで12回も「後妻打ちに」参加しているという。
<ここまで女性全員、武士みたいにあぐら座りなんですよね>
志乃は離縁された理由はよくわからなかった。妻女として至らなかったかもしれないし、家と家のことでもあるかもしれなかった。悶々としていた。
志乃は果たし状をちゃんと書いて後妻に送る。討ち入りの日時、刃物は禁止とも明記される。配達するのは高齢の男性。沢嶋雄一、パラレビューシステムの使用許可をミナミさんに求める。すると時間が戻る。(映画「ジャッキー・ブラウン」みたい)
返り討ちにしてやろうぞと息巻くクニに、ただのしきたりなのだから、勝ち負けにこだわるものではなかろうと夫の新九朗がいさめる。普通は仲裁が入り、そこで「後妻打ち」は終わりとなる。お互い本気でぶつかっては、刃傷沙汰になる。だから辛抱しろと新九郎が言う。
辛抱などできませぬとクニも退かない。そもそも、いとまを出された(離婚された)のは、志乃の落ち度であろうと、あの嫉妬深く、無駄口を叩く女であったのでしょうとクニが新九郎に言い返す。
<きっと新九郎はしとねでそう言ってクニを口説いたんですね>
夫が先妻の肩を持つのは、後妻のクニには面白くない。よもやまだ志乃への懸想心(思い)が残っておられるとかと新九郎を睨む。
新九郎が志乃と離縁して、クニを娶ったのは、クニの父親・赤岩又四郎が藩主の重臣に出世するので、その縁を頼って自分の一族の出世栄達をしようという、ひどく打算的なものであった。クニはそれがわかってない。
<縁組みは一族の生き死にを分ける重要なものであったと、武士の家計簿に書いてました。当時はそれが普通のようです>
クニは「後妻打ち」を受け入れる旨を書いた手紙をしたためた。受け入れないのは恥とされた。普通は後妻が仲裁役を用意するものだが、クニはそれをしなかった。最後まで本気で戦うつもりなのだ。志乃への返信は後妻から先妻への「挑戦状」であった。
後妻が「後妻打ち」を返り討ちにせんと決起集会を始める。そして襲撃に向けて防戦準備を始める。それは数々の罠を仕掛けることであった。
そして3月30日「後妻打ち」の日の朝が訪れた。トメが志乃の家に来ると、加勢が来ないと告げた。クニが麻疹に罹ったという話を紅の卸屋が触れ回って、皆加勢を断ったのだという。だが志乃はすでに集まっていた8人だけで「後妻打ち」を決行することにした。
先妻は駕篭に乗って後妻への家と出陣するのというしきたりに従って、志乃はくにの家と向かった。
志乃側がクニの家まで来て、開門を叫ぶが扉は開かない。閂(かんぬき)が駆けられている。マツが体当たりして扉を破る。先陣を切ったカヨが突進した直後穴に落ちた。クニの仕掛けた罠だ。
風雲たけし城か!
汚い手口に志乃たちは憤る。正面突破をあきらめ御厨(台所)から内部へ突入する。だかその入り口には毬栗が落ちる仕掛けがあった。さらなるだまし討ちに遭って志乃たちの怒りはさらに高まり、力任せにあたりの食器などを破壊していく。後妻側の女たちがしゃもじなどを手に出てきて乱闘となった。普通は後妻側が先妻側の狼藉をある程度許して事を納めるのだが、時には乱闘になることもあった。
志乃たちは後妻側の防衛線を突破し、家の奥へと進むが、廊下に鳥もちが敷いてあって志乃が足を取られる。ここで沢嶋雄一の絶妙なナレーション。
だが、さらなるトラップ!鳥もちだ!
もう笑うしかない。志乃を残してあとの者たちが奥へと進撃する。そして調度品が置いてある部屋に入ると、高価な皿や壺をたたき壊していった。やめてと鳥もちを脱した志乃がやめさせる。そこにあったのは志乃の嫁入り道具であった。狡猾この上ない女狐クニ。志乃の怒りが頂点に達する。
志乃がクニが伏せている部屋へと突進する。そしてその襖を開ける。布団が敷いてあり、志乃の側に長い髪が見える。姿をみせい卑怯だぞと、志乃が部屋の中へ入る。次の瞬間、襖が閉まった。
志乃の仲間が中に入ろうとするが、クニの姉たちがそれを防ぐ。中から悲鳴が聞こえる。襖が開く。血だらけのクニ。懐刀を握って呆然と立っている志乃。これがそなたらの言う後妻打ちかと、くにの姉が怒る。クニが別の部屋に連れて行かれる。
一体部屋で何があったのかパラレルビューで見てみよう!(斬新な編集だ!)
志乃が布団をめくると、それは人形であった。引っかかったのぉと、襖にかげにいた志乃が薄ら笑いをうかべながら襖を閉める。後妻打ちなど武家の女としてみっともないと志乃を挑発する。得物(武器)を取れ、思い知らせてやると志乃が叫ぶ。思い知るのは、お志乃、そなたの方じゃ。懐刀を抜いたのはクニの方であった。志乃とクニがもみ合って、志乃が誤って刺してしまったのだ。
しかしそれは、志乃たちに一泡吹かせてやろうというクニの芝居であった。志乃を騙したのだった。それを笑う後妻側の女たち。だがこれが衝撃的な結末を引き起こす。志乃の悲鳴が聞こえてきた。
クニたちが志乃のいる部屋に駆け戻る。志乃が首から血を流して倒れていた。クニを怪我をさせたことを責め、懐刀で喉を掻き切ったという。新九郎もやってきて、志乃のもとに駆け寄る。しかし志乃は答えない。血のついた懐刀を握り、これは志乃の懐刀ではないとお滝がわななく。「後妻打ち」に刃物は言語道断、ご公儀に届けねばならんと泣き出し、次第によっては減封、改易、何らかの罪は逃れられないぞと吐き捨てた。
新九郎がワシが悪かったと、倒れた志乃の手を握る。志乃が呟く。なんじゃと新九郎が聞く。「ざまあみろ」と言ったのじゃと志乃が顔を上げて立ち上がった。動揺する新九郎とクニ。志乃が芝居を打ったのだ。
どんでん返しに次ぐ、どんでん返し!
クニの企みを察知したのは、紀州屋の女主人トメだった。本来自分のところに卸されるはずの紅が届かなかった。3日前に日本橋の卸商人に出向いたら、3日前から紅だけを求める客がいると聞いて、詳しく聞いたところ、買っているのがクニだとわかったという。
<そういえばクニが麻疹だと触れ回ったのも紅商人だった。畳に血の海がないのはNHKの表現の自粛だからかとちょっと思った自分がバカだった>
負けたのはクニであった。戦う前から勝負は決していたのだ!
まったくくだらん、かようなだまし討ちをして何が面白いと新九郎が呆れる。自分が元凶なのにまるで他人事のよう。わしは断じて後妻打ちのようなしきたりは一切認めん、つまらぬ妬みや恨みのために仲間を集めて家財を打ち壊して愚の極みだと言い捨てる。
そのようなことを殿御が申してはなりませぬ、とトメが言い返す。おなごはおなごなりの知恵を絞って、精一杯憂さを晴らしているのです。くだらぬ妬みや恨みと申しますが、そうさせているのは殿御たちにございましょう?
<おばさん、かっこいいぜ!>
おなごたちに堪え忍ぶことを強いてはいませんか?本来なら殿御に向けたい恨みつらみを、それができぬから、おなごどうして遣りおうて気を晴らしているのでございます。
殿御は広い心で見守ってくだされば、それでいいのじゃ。
そして恨みっこなしということで志乃たちは帰っていた。
激しいな戦国時代。
来週は武装郵便配達人。
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まさかの大どんでん返し。予想をはるかに超える面白さでした。(^o^)
ヒステリックなおばさん軍団かと思いきや、最後にはかっこよく見えてくるから不思議。女性陣のかっこよさに比べて、夫の情けなさが(ry
TSH、ますますパワーアップしてる気がします。時代考証がしっかりしてるのもいいですね。眉なし&お歯黒を見て、次男が感心してました。
投稿: Ado | 2011/06/10 09:06
なんか殺伐とした話だなと思って期待してなかったのですが楽しい回でしたね

新九郎が志乃と離縁したのは一族のためだったというのは、単なる浮気心で他の女に走ったのよりは同情できますね(後者だったら「悪いのは旦那じゃん」で話が終ってしまいます)
旦那に離縁されたから再婚相手を責めるというのはどう考えても筋違いで、それはやっぱり男尊女卑だからだと思うのですが、そういう歪みも最後のトメのセリフでちゃんと指摘されてるし、よく考えられた脚本だなと思いました。
パラレルビューシステムを使ってるときは沢嶋雄一が同時に2人存在してるんですかね? 想像するとなんか笑えます(笑)
エンドロールが流れた後にミナミさんがモニターのスイッチを切る演出が好きです
投稿: おじゃま丸 | 2011/06/10 12:50
Adoさん、どうも
どんでん返しが凄いです。
12分延びたのはタイムスクープハンターにとってよかったと思います。登場人物のキャラの付け方が濃くなっているからだと思います。
眉毛ないしお歯黒だし、月代は本当に剃ってるし、さりげないのがいいですね。瓦版の時、木版をする前にがばんに髪の鬢付け油をちょっとつけるんですが、これもやるなあと思いました。
おじゃま丸さん、どうも。
愛憎劇はちょっとひくなあ(新九郎の心境)と思ったんですが、面白かったです。トメの台詞がトドメになっていて旦那も返り討ちにされているといういい話でした。
日本は明治まで父系社会に見えるこれども、実は母系社会なのでこういうしきたりがあったとも思いますね。
>パラレルビューシステムを使ってるときは沢嶋雄一が同時に2人存在してるんですかね? 想像するとなんか笑えます(笑)
合戦とかに2人カメラに写ったりすると、面白いですね。
>エンドロールが流れた後にミナミさんがモニターのスイッチを切る演出が好きです。
なるほど~
投稿: 竹花です。 | 2011/06/10 13:19