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2011/06/17

タイムスクープハンター3 第6話 追え!ピストル郵便配達

予告でピストルを奪われるという話なのは知ってましたが、明治政府要人の暗殺事件が絡んでくるとは!否が応でも高まるじゃないか!

さらに人力車まで登場!そして沢嶋雄一の新兵器M-CAM3!

郵便配達人の伊豆の田舎から東京までの大追跡!

アブソリュートポジション
N245 W041 E338 S620
アブソリュートタイム
B03804810年55時71分26秒
(西暦:1875(明治8年7月1日)

Code 403853

明治初期は西洋化・近代化が推し進められた時代で、それまでの古い身分制度が一切なくなり、代わりに華族、士族、平民という新しい身分が生まれた。そして武士から士族へと身分が変わり、それまでの武士としての特権が奪われたことで、士族たちの間に中央政府や新しい社会に対する不満が生まれ、反乱事件が起き始めていた。

<これが今回の話の重要な伏線になっていたとは、まったく気づかずミナミさんが髪をかき上げる仕草に見入ってました>

伊豆の田方郡・韮山(にらやま)、熱海近くの小さな町、
郵便局で拳銃(リボルバー)の操作方法を教わる男たちがいた。郵便脚夫(逓送脚夫)だ。脚夫とはリレー形式で郵便物を走って運ぶ男たちのことである。

当時、郵便物を狙った強盗事件が続発しており、そうした犯罪や道中の獣から身を守るために郵便脚夫は拳銃(郵便保護銃)の携帯を許可されていた。

http://kumanichi.com/rural/rekijyo/20101217001.php
(↑写真ありました。引き金がむき出しで、安全装置とかなさそう)

郵便脚夫が野原で射撃訓練を行う。今回の取材対象はその中のひとり、阿部正太郎だ。この時代、鉄道は東京周辺など一部の地域にしかなく、郵便の輸送は人の足に頼らざるを得なかった。

百姓のせがれである正太郎にとって、銃を撃つのは初めての経験だった。維新の時も危ないものとは縁がなかったと正太郎は言う。郵便脚夫となった理由は、郵便局長から脚夫をやらないかと声をかけられたからだった。正太郎の家は代々、局長の家に世話になっているから断るわけにもいかなかった。

<おそらく局長は「三等郵便局」(今で言う特定郵便局)なのでしょう。

明治初期、全国に設置する資金が政府や地方自治体にないけれども、全国にいち早く郵便制度を浸透させるため、郵便の取り扱いを地域の名士や大地主に土地と建物を無償で提供させて、事業を委託する形で設置された郵便局のこと。

正太郎は局長の家から農地を借りて農業を営んでいたということなんでしょう。確かにヒゲをたくわえて和服といういでたちの局長は逓信省の職員ぽくない。なにげにそういう背景をさらっと臭わせるタイムスクープハンター!>

走って書状を届けるくらいならできると思っていたが、まさか拳銃みたいな物騒なものをぶら下げて走るとは聞いてなかったと正太郎が沢嶋に打ち明ける。

沢嶋雄一が新型マイクロカメラを拳銃に装着。

明治4年に郵便制度は始まった。これにあわせて現金を送る郵便「金子入(きんすいり)書状」(今で言う書留郵便)の取り扱いも始まった。しかしその一方で郵送される現金を狙った強盗事件も起こるようになった。こうした事態を受けて明治6年から郵便脚夫に銃が渡されはじめ、東海通に約400丁が配備された。銃の携帯は警察官よりも早かった

<そんなに治安の悪かった日本がよくもここまで安定したモンです>

しかし実際、郵便脚夫は金子入書状の逓送も配達も一切行わず、郵便局は金子入書状の受付をするだけで、実際は江戸時代に飛脚問屋をやっていた陸運元会社(内国通運会社)がすべて担っていた。これは民業圧迫をしないように内国通運会社と棲み分けをしようとする郵便局側の配慮であった。

<飛脚と聞くと、「お氷様はかくして運ばれた」の加賀飛脚を思い出しますなあ>

にもかわわらず、賊徒に狙われるのは郵便飛脚であった。無知な賊徒たちは郵便飛脚がしょっている行李に金子入書状が入っていると思い込んでいたのだ。

郵便飛脚の一日は、局長からの銃の交付で始まる。局長が金庫から拳銃を取り出し、脚夫たちに渡す。脚夫が拳銃の状態と銃弾を確認する。仕事から戻ったときも、拳銃を使用したかどうかを確認するために、銃弾の数を確かめる。

銃および銃弾を損傷や紛失した場合には、1円から5円の罰金が科された。背中に「驛(駅)」の印、襟元には「郵便局」と書かれた袢纏を着た正太郎たちが、郵便物の入った袋を担いで、外へと出て行く。そこに正太郎の知り合いの娘、キヨ(21才)が東京で先生をしている許嫁への手紙をポストに投函するところだった。

ポストが初めて設置されたのは、明治4年、東海道の郵便取扱所で、翌年、東京にもポストが設置された。郵便制度が始まった頃、郵便箱はめずらしく、その形状と「便」という字から、用便をするところだと思われたのであった。キヨに手紙を入れる向きは関係ないからと正太郎が教える。

<こういう知らない感を出す自然な台詞がいちいちイイです。明治時代は切手は手紙の裏面に貼ってたんですね>

これにも沢嶋雄一がマイクロカメラ(M-CAM3)を装着した。郵便物の視点から伊豆の韮山から東京まで郵便物が送られるシステムを取材しようというのだ。

<斬新ですよ。現代の郵便局でも宅急便でやっても面白いと思いますよ>

正太郎はキヨと別れ、郵便物を担いで、いつもどおり韮山から熱海郵便局へと向かった。途中、平井を経由しながら、山を越える。全行程19キロ。各地から集まった郵便物を正太郎は毎日運んでいた。

<正太郎が走る道は登山道みたいですが、これが当時の「一般道」なんですよね。日本夜明けは遠いぜよ。頑張ったんだね、建設省。>

午前6時半、平井郵便局に到着。正太郎は同局宛の郵便物の袋を渡し、平井から熱海方面へ送る郵便物の袋を受け取ると、熱海へと向かった。熱海までは峠を越える、厳しい山道が待っている。

江戸時代には飛脚制度があったが、これは高額なため庶民が使えるようなものではなかった。庶民でも手紙などの書状をやり取りできるようにしたのが、郵便制度であった。しかし新しい制度のため、交通が未発達の地方では人の脚だけが頼りだった。郵便物を担いで山道を行く正太郎の息が上がる。

早く届けることは大事ですかと沢嶋が正太郎に聞く。大事ですよと正太郎。

でも、まず大事なのが、しっかりと届けることです。俺たちが運んでるのは、会社同士の取引の書面や赤ん坊が生まれたって家族に知らせる大事な手紙もある。みんな心待ちにして待ってるんですよ。そんな人たちのことを考えたら、足がついつい早くなっていくんです。

そこには正太郎の脚夫としての誇りが感じられた。

すると前方の道ばたに農民と思われる男が倒れていた。正太郎が駆け寄る。男は腹が痛いと呻く。正太郎が男を立たせようと抱き上げた瞬間、男のおぼつかなかった足がしっかりと大地を踏んだ。そして正太郎を力任せに押し倒し、正太郎の腰のホルダーに入ってた拳銃を奪った。そしてその拳銃で正太郎と沢嶋を威嚇すると、郵便物をもって逃げようとする。正太郎が飛びかかる。男が倒れ、正太郎をもみ合う。男は握っていた拳銃を発砲する。正太郎をはねのけた男は、郵便物を残して山へと逃げ込んだ。藪をかき分けて正太郎が追う。

沢嶋が拳銃に装着したマイクロカメラを起動するものの、男はすぐに拳銃をどこかに隠してしまい、なにも映らなくなった。すぐに沢嶋がミナミさんに紛失したと連絡する。しかし使い捨てのため、映像情報は自動消去され、位置情報を特定するシステムは実装されていなかった。

<ミナミさんは非介入主義を貫いて助けないのね!熱くないな~>

正太郎は拳銃を奪った男を見失った。すぐに韮山の郵便局にもどって拳銃が奪われたことを局長に報告した。局長は事態を邏卒(警官)に至急連絡すべく、局員を走らせた。夜を徹して邏卒と郵便局員で山狩りが行われた。拳銃が犯罪に使われたら、大変なことになる、なんとしても犯人を捕まえなければならなかった。だが見つからなかった。

翌朝、正太郎はまだ朝靄に包まれた山に入って男を捜した。そこに誰かが駆け寄ってくる。犯人が捕まったというのだ。正太郎は急いで犯人が拘束されている平井郵便局に向かった。犯人は近くに住む20代後半の男であった。

<これで今回終わりかと思いきや、ここからが本番>

男は拳銃を郵便で送ったと言い張った。そんな馬鹿なと問い詰める。郵便局では拳銃を郵便物として受け取らないからだ。だが犯人は拳銃は送ったの一点張り。犯人は拳銃のままではなく、分厚い本をくりぬいて、その中に拳銃を忍ばせて書籍郵便として送ったのだ。

犯人は本に見立てた拳銃を大場郵便局から送った。その理由は、そこは毎日、郵便脚夫が通るからであった。宛先は東京。だがしっかりとは覚えていなかった。拳銃を送るように依頼した者が書いた封筒を使ったという。依頼主は東京に住む士族だと犯人は白状した。その士族に高額な値で売るために銃を奪ったのだった。

この頃、明治政府に不満を持つ士族、昔の武士たちが各地で反乱を起こしていた。銃が彼らの手に渡れば、さらに深刻な犯罪を引き起こすことになるかもしれない。

<カステラ作り始めたリストラ武士もいるってのに、なにやってんだ士族!時代は戻らんぞ!>

大場郵便局で集荷され東京へ向かう郵便物は三島を経由して、東京へと運ばれていく。ということは今は三島に拳銃があるということだ。正太郎が言った。

おらの不始末だ。おらが走る!箱根に先回りします!

犯人の男が呆れる。だが正太郎は本気だった。箱根に先回りして銃を取り返すつもりなのだ。一か八かお願いします!と正太郎が頭を下げる。局長が決断した。

責任はワシが持つ、行ってこい!箱根は10時だ!

局長は念のためだと正太郎に自分の財布を渡した。断ろうとする正太郎に局長が一言。

局長命令だ!

<みんなカッコイイよ!>

もはや一刻の猶予もならない。正太郎が箱根をめざして走った。

沢嶋がキヨの手紙に取り付けていたマイクロカメラを起動する。キヨの手紙は拳銃と同じ便で運ばれているからだ。三島郵便局で仕分けされる映像が映し出される。そして不自然に分厚い手紙も映っていた。

<うまい!これで正太郎が間に合うかどうかのレースが視覚的にわかるわけですね>

大阪から東京までの郵便路線には36カ所の継場(つぎば)があり、そこで逓送者が交代するリレー形式で送られた。速度は時速8キロ。大阪から東京までは78時間。飛脚と郵便の違いは、決まった時刻に出発する点にあった。東京への上り便は、定式便で1日2便。二号便は夜6時に大阪を出て、三島には朝8時前に到着する。三島を出た便が箱根に到着するのが午前10時前という計算になる。なんとしてもそれまでに箱根に着かなければならない。正太郎は山道を力の限り、駆ける。途中で足が痙攣し、激痛が正太郎を襲う。それでも立ち上がって正太郎は先をめざす。

そして10時5分前、正太郎は箱根の継場に到着した。だが安堵したのもつかの間、東京へ向かう便は15分ほど前に出発していると告げられた。愕然とする正太郎。郵便局員たちは正太郎に休んでいくように勧めた(警察に連絡してあると正太郎から聞いたので)。だが、生真面目な正太郎は東京へ向かう脚夫を追いかけることにした。小田原までに追いつかないと後がないと局員に忠告された。小田原から先は馬車になり、神奈川から先は汽車になる。足では絶対に追いつけないのだ。

正太郎は休む間もなくまた走り始める。山に分け入り、近道を抜ける。

<確かに、ここで袢纏落としてます>

そして街道に出る小さな脇道に袋を担いだ男が見えた。郵便脚夫かと思って声をかけるが、人違いであった。

<ハラハラさせるねえ!>

気力を振り絞り、正太郎は先を急いだ。山の道なき道を行き、さらに近道をする。それが功を奏した。林を抜けて道に出ると、目の前に3人の郵便脚夫がいたのだ。待ってくれと正太郎が追いかけた。脚夫たちが立ち止まる。正太郎が自分は韮山の郵便局から来た脚夫だと告げ、三島からの郵便物を調べさせて欲しいと頼む。

だが脚夫たちは正太郎を怪しんだ。正太郎は自分から奪われた短銃が東京の不貞士族に使われようとしていると訴えた。しかし脚夫たちは郵便物の入った行李を見せようとはしなかった。郵便を守るのが彼らの義務だからだ。素性もわからないヤツには行李は見せられないと、後ずさりしながら正太郎に言う。脚夫たちは正太郎を賊徒だと思っていた。正太郎は自分が郵便脚夫だと証明するために、郵便脚夫の袢纏を見せようとしたが、山の中の藪を走る中で落としてしまっていたのだ。

焦る正太郎が脚夫に信じてくださいとすがり、郵便物の入った行李を力ずくで奪う。脚夫たちは拳銃を抜いて、行李の中の郵便物をあさる正太郎を狙う。銃口は沢嶋雄一にも向けられた。

<最近は戦場ジャーナリストみたいな沢嶋雄一>

これだと思いますと、正太郎が郵便物の袋を取り上げて脚夫たちに見せた瞬間、銃声が轟いた。正太郎が倒れた。だがすぐに立ち上がって山の中へと逃げた。沢嶋も後に続いた。脚夫たちがまだ拳銃を撃ってくる。走る正太郎の横にあった木に銃弾がにぶい音を立てて突き刺さる。

正太郎は山を抜けて川に出た。正太郎の右太ももから血が流れている。銃弾がかすめたのだ。それでも正太郎は諦めていなかった。拳銃の入った郵便物が神奈川に入るのは夕方か夜。それから汽車で送って東京に着いても、まだ夜なので、配達されることはない。朝の配達に間に合えばなんとかなる。ここまで来てはもう引き返さない。東京まで走ると正太郎は決心した。

<一人で箱根から東京。もう惚れるしかないね>

痛む右足を引きずりながら、正太郎は川を渡り、山を突っ切って近道する。だが疲労困憊で体が言うことを聞かなくなり、一時休むことにした。そして正太郎は眠りに落ちた。その頃、郵便は小田原で馬車に積み替えられ、国府津、藤沢を経由して戸塚を出たばかりであった。東海道に郵便馬車が走り始めたのは1年前の明治7年。小田原=神奈川間が最初で脚夫より30分短縮された。

正太郎が目を覚ますと、あたりはすっかり夜になっていた。走ろうとするが、歩くこともままならない。郵便物はすでに新橋行きの汽車に乗せられ、神奈川を出発していた。

午後9時10分。平塚付近。正太郎の走るペースが落ちる。このままでは朝までに東京に着くのは無理だ。チクショウと正太郎が悔しがる。と、その時だった、後ろからキーキーという音が近づいてきた。人力車だ。もう人力車に望みを託すしかない。

正太郎は人力車に乗せてくれるかと頼んだ。戻り車だよと車夫が言う。東京まで行けませんかねと正太郎が懇願する。平塚から東京までは63キロ。時速8キロで走れば、早朝の5時には東京に着くことができる。行けるところまでで大丈夫ですと正太郎が頭を下げる。それでいいならと車夫は正太郎を乗せてやることにした。

正太郎は人力車に乗ると車夫に行き先を告げた。

東京の本局、一番大きな郵便局です。

車夫が沢嶋を見て困惑する。変な格好をした旦那も(一緒に)?私は走って同行しますと沢嶋が答える。

人力車は夜の道を全速力で東京へとひたすら走る。通常、人力車は平均時速8キロから10キロである。だが正太郎の人力車は時速12キロで駆ける。車夫にとってもこれほどの距離を走るのは初めてのことだった。

<人力車がこんなにカッコイイと思うのは初めてですよ。>

すでに郵便物は東京本局へと届けられ、仕分けされていた。拳銃が入っている書籍郵便もあった。

そして午前5時28分、人力車はついに東京に入った。目指す東京本局はすぐそばにあった。

<結局、東京まで来たんですね!みんな良いやつだ!>

早朝、帝都(といっても木造建築ばっかり)を警邏する警官がいた。正太郎が東京本局の場所を尋ねる。警官は駅逓寮かと言って、それがある方向を指をさした。正太郎は堪らず、人力車から降りて警官が指さす方へ駆けだした。だが警官に取り押さえられてしまう。

褌で歩くのは条例違反だと言われたのだ。近代化を進める明治政府は、文明国としての習慣を身につけようとそういう条例を発令していたのだ(明治五年:違式註違条例)。正太郎はももひきを履いて本局へを急ぐ。

5分後(午前5時41分)、正太郎は本局に着いた。そして拳銃が入った書籍郵便の話をした。だがすでにそれは本局を出た後だった。わずかに遅かった。すでに局員がその書籍郵便を持って浜町二丁目(甘酒横町・明治座の近く?)へと向かっていたのだ。

なぜもっと早く連絡をくれないのと本局の人間が正太郎に愚痴った。正太郎がこの時間が精一杯だったと答える。定式便を行き留めにしてくれと伝えてくれればいいのに、電信使ってと本局側。電信?と正太郎が聞き返す。明治六年にはすでに東京=長崎間に電信が開通していた。正太郎は迂闊なことに、電信のことをまったく思いつかなかった。

<正太郎も落胆したでしょうけど、見てるこっちもびっくりです>

正太郎が本局の殿山とともに浜町に向かう。そして配達している配達人を見つけた。書籍郵便の配達をやめるように頼むが、もうすでに配達したあとだった。郵便を受け取ったのは近くの旅館に住み込みで働く、20代で背の高い、細面のメガネをかけた小山田という男だと配達人は教えた。

正太郎は旅館に駆け込んだ。玄関の奥の座敷にメガネをかけた男が掃除をしていた。拳銃が悪用される前に奪い返さなければならない。正太郎が男に飛びかかって取り押さえる。男がもがく。騒ぎを聞きつけた他の男たちと、女将とおぼしき女性もやってくる。女性はその男を坂井と呼んだ。小山田ではなかった。

その頃、犯人の坂井は本から拳銃を抜き取り、そして玄関に向かっていた。沢嶋が拳銃に装着したカメラを起動すると、銃口の先に自分や正太郎が映った映像が飛び込んでくる。沢嶋が銃口の方向へ振り向いた瞬間、銃声が響いた。

皆が身をかがめる。追い詰められた犯人の小山田が発砲してきたのだ。正太郎が危険を省みず、小山田を追いかける。小山田が外に出て路地裏に入る。追いかけてきた正太郎が転ぶ。小山田が振り返って、正太郎に銃を向ける。沢嶋にもどうすることもできない。撃ったらどうなるかわかってるのか!正太郎が後ずさりしながら叫ぶ。黙れ、天下国家の為だ!大義のためだ!お前にはわからん!と小山田が銃を向けたまま正太郎ににじり寄る。

わかってないのはお前だ!その銃はオレの銃だ!郵便を守るための銃だ!お前に使う資格はない!と正太郎が立ち上がって、銃の前に立ちふさがった。

次の瞬間、小山田の後ろから郵便局員が飛びかかって取り押さえる。小山田は、駆けつけた警官に連れて行かれた。正太郎は銃を取り返すことができた。そして銃を胸に抱きしめ、安堵の息を漏らした。

キヨが出した手紙も無事許嫁のもとに届いた。手紙と一緒に桃色の押し花がはいっているのが女心か。それを見て婚約者の男は、遠く離れたキヨを想い、顔をほころばせて、手紙をひらいた。

数日後、正太郎は仕事に戻っていた。

大変ですねと沢嶋が、郵便物を担いで運ぶ正太郎に声をかけた。ちっとも大変じゃないですと正太郎。郵便をまっている人がたくさんいますから。その人たちのことを考えたら、ちっとも大変じゃない。

<今回もいい話だった!郵便局員の拳銃の携行は昭和20年の終戦まで続いたんですね>

来週はしゃぼん玉売り。子供たちとの絆。想像できん。

このSF小説を思い出しました。

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コメント

>無知な賊徒たちは郵便飛脚がしょっている行李に金子入書状が入っていると思い込んでいたのだ

情弱ですよね。誰もひっかからないスパムメールをしつこく送ってくる業者みたいです。
銃の携帯は郵便脚夫のほうが警官より早かったとは。
昔の銃って暴発の危険性とか今の銃より高そうですよね。ドラマで龍馬が拳銃でふざけてるのを見るたびにあぶねーよと思ってしまいます

この時代なら電信があるんじゃないかとは思いながら見てたんですが、そういう矛盾(というかツッコミどころ)を残さないところはさすがですね

おじゃま丸さん、どうも
>誰もひっかからないスパムメールをしつこく送ってくる業者みたいです。
あと、夜のコンビニ強盗とか。
あの拳銃は危ないですね。

>この時代なら電信があるんじゃないかとは思いながら見てたんですが、
ハレー彗星の回で、東北は電信がやっと開通したとかいう話があって、まだ通ってないと思ってましたが、旗振りの話を完全に失念してました。

今なら「そんなのメールで済むのに」、「ダウンロードで買えるじゃん」ですね。

一緒に見てた次男がすっかりはまってしまったようです。「これ、面白いね~ (^o^)」と喜んでました。就寝時間は過ぎてたけど、歴史の勉強にもなるから許す。(笑)

この番組、いつも“普通の人”がかっこいいですね。

しかし、正太郎、熱くてナイスガイなのはわかるけど、うかつすぎるぞ。半纏落としたり、電信のことを忘れてたり。しまいには人違いって。(^_^;

Adoさん、どうも
違いのわかる次男さんですね~確かに江戸から明治への過渡期がわかります。

正太郎はちょっととぼけてましたね。

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