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2011/08/15

NHKスペシャル 圓の戦争

これは面白かった。経済的に小さな国が大国中国と戦う巨額の戦費を賄うために編み出したのが預け合い制度。しかしこれは単に戦費の借金を先送りするだけのもの。

日中戦争勃発から終戦までの8年間に日本軍が使った戦費はわかっているだけでも7559億円。戦艦大和の建造費が1億4000万円ですから、大和が5400隻建造できる計算になります。ちなみに三八銃は77円で、大学卒の初任給が60円前後。(日本の兵器のお値段より)

こりゃアメリカが予言したように破滅します。

今も戦時の臨時軍事費借入金として414億円、当時の国家予算を上回る額が記載されている。財務省のホームページにありました。http://www.bb.mof.go.jp/server/2005/pdf/200577001000607.pdf

関東軍は政府の方針を無視して満州事変を起こし、満州国を建国しますが、それを画策したのが板垣征四郎石原莞爾。しかし、戦費の支出は政府が決めるので勝手に軍事行動を起こせない(起こしようがない)。しかしそれを何とかしてしまう石原莞爾。彼にはひとつの思想があった。

戦争をもって戦争を賄う

である。戦争を行って征服し、戦争に必要な物資や資金を獲得していく。

レバレッジをかけ過ぎて破綻して世界経済をどん底に突き落としたリーマンブラザースと同じ。

石原莞爾の現地での資金調達の発想は凄く良いと思うんですが、何かが足りない。戦争で征服しても略奪でもしないかぎり短期的には儲からないという事実。しかも略奪すると長期戦継続に必要な資金や物資は得られなくなるという現実。

熱河作戦から朝鮮銀行が朝鮮銀行券の「円」を発行して関東軍の軍資金に回していた。それは朝鮮銀行の総裁である勝田主計(主計って財政家って名前です)が中国大陸に円による一大経済圏を構築するという思惑があった。

(後出しじゃんけんで言えば、アメリカはドルを基軸通貨(国際取引の決済通貨)として複数の貨幣が併存する自由世界の経済を牛耳っているわけで、円の信用を維持する方が経済支配という意味では重要だったと思います)

関東軍の板垣征四郎も中国を金融的に支配して国民党政府を倒すことを考えていた。だが華北地域には欧米が経済利権を持っていた。しかし関東軍は国民党政権に反発する華北の地元勢力を利用して傀儡政権(冀東防共自治政府)を樹立し、国際緊張を高める。

高橋是清は関東軍の暴走と軍事費負担の急激な増大を抑止するために、朝鮮銀行の銀行券発行を剥奪しようとするが、二二六事件で暗殺されてしまう。ここで日本の興廃は決したといっても過言ではない。

日中事変の戦線拡大とともに朝鮮銀行の発行する円札を流通させようとするが浸透せず、関東軍は中華民国臨時政府を樹立して、中国連合準備銀行券を発行させる(単位は円)。連銀券(アメリカのドル札も訳せば連銀券)を使わないと最高で無期懲役、小麦、石油、阿片を連銀券でしか買えないようにした。

(アメリカのFRBも連邦準備銀行。準備は創設準備とかではなく準備預金のこと)

事変は一向に収束せず長期化し、戦費が急激に増大、調達がままならなくなってきた。そこで編み出したのが預け合い制度。それまでは朝鮮銀行が戦費の円札を刷って関東軍に渡していたが、その戦費は日本政府の臨時特別軍事会計から賄われていた。

預け合い制度は、中国連合準備銀行が朝鮮銀行と預け合い契約を結ぶ。日本から朝鮮銀行に送金された円を裏打ち(担保)として中国連合準備銀行が通貨を発行して現地の日本軍に資金として渡すという仕組み。日本の軍事費に借金として計上される。しかし日本政府から朝鮮銀行に渡された円を中国連合準備銀行は引き出すことはできない。そのため日本政府から戦費として出された円は、日本の国庫に戻される。これで日本政府は借金せずに無尽蔵に円を刷って戦費を調達できる。

しかしそれはあくまで名目上。完全にマネー経済。

この状況は、円天が近い。

現金で円天のポイントを購入して、それで物を買う。しかし円には換金できない。

(末路はどうなるか、こちらに書かれています)
http://d.hatena.ne.jp/Paul3/20070525/p1

当然、現地銀行の発行する円札の価値は暴落(ドルと同じ)、現地経済はハイパーインフレーションになって、戦争で戦争を賄える状況ではなくなる。

対する中華民国の蒋介石総統は法幣とも呼ばれる(元=ユアンと発音し、円と同じ)を導入して、各地割拠する軍閥が出していた1000種類もの通貨を統一しようとしていた。日本の侵略に対抗すべく英米がドルやポンドを国民党政府に提供し、元の通貨としての信用を支えた。もし日本勢よりも先に元を導入していなければ、長期戦に勝てなかったかもしれないと蒋介石は言っている。

戦争拡大で軍事費が国家予算の7割に達し、国際金融界において日本債は暴落。戦争に必要な資源を海外に依存しているため、金塊で調達するようになる。アメリカは日本の金塊が底をつき、戦争継続は難しいとみていた。しかし純金の相場価格は変動するので売ったときの差額の利益をプールしておく隠し口座を横浜正金銀行をニューヨークに持っていた。それは日本が3年戦えるだけの石油を賄うのに十分な金額であった。アメリカは真珠湾だけでなく金融でもだまし討ちにあっていた。日本が日独伊三国同盟を結んだこともあり、アメリカ政府は日本の資産凍結を検討する。日本が南部仏印進駐するに至り、アメリカは日本資産凍結を決定する。

そして日米開戦。

昭和18年にはアジア大陸戦線のすべての戦費は預け合いで賄う決定が下される。首相は東条英機。

当時、中国戦線に展開した第13軍経理部長、原田佐次郎の手記より、

百万人の将兵の物資から、内地に送る兵器製造ための原料資材や穀物の調達まですべて合わせると、終戦の年には現地の金で平均一千億、年一兆円にもなった。

正金銀行が預け合いで調達した金額が終戦までに2800億円以上、日中戦争が始まったときの国家予算の60倍。

(このレバレッジの掛け方はリーマンブラザーズの比ではない)

そして中国で3万倍というハイパーインフレーションを引き起こした。

日中戦争勃発から終戦までの8年間に日本軍が使った戦費はわかっているだけでも7559億円。現在の価値で300兆円を超える。少なくともその4割が預け合いで賄われていた。それでも軍部は本土決戦を叫び続けた。

現在の財政状況は戦争もしていないのに酷い。

子供手当にどれだけ費やしたのか。

節電も預け合い制度も短期ならば勝算はあるものの、長期では敗北しかない。

経済を考えない節電と自然エネルギー偏重に勝算はあるのか。

再現パートがBBCみたいな映像で良かったです。

ハーツオブアイアンの中の日本も経済的に弱くて長期戦では勝てません。あれはいいゲームです。

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