NHKスペシャル 国境の海 日中 知られざる攻防
尖閣諸島問題で対立する日中ですが、自衛隊元最高幹部が中国軍側と対話を通じて情報を探っているそうです。
アメリカ軍もそうですが、上級幹部は中国との対立でなく対話をしていると強調します。
2011年10月20日(木) 午前0時15分~1時04分 再放送があります。
今自衛隊が問題にしているのが、東シナ海や沖縄周辺海域における中国軍機による接近行為。
2010年の人民解放軍との対話(中国軍側も制服じゃなく背広のがポイント)。
航空自衛隊・航空支援集団司令 永岩俊道元空将が中国軍の接近行為を批判:
本件は統制が取れていない、非常に危険な行為である。統制された最前線のパイロットは無謀なことはしない。しっかり、統制、管理、教育されているのかという疑問を強く感じる。
当時、現場にいたという自民解放軍温冰上級大佐が反論:
中国海軍のヘリが日本の艦艇に接近したことに関しては原因がある。それはあまりにも日本の艦艇が中国の艦隊に接近したことであり、その距離は約1海里(1800M)であった。中国艦艇に対する日本の航空機の追跡監視頻度が極めて高いことに驚いた。(ストーカーみたいなことをするなと言ってるのでしょう)(海自の哨戒機が)我々の航路に多くのソナーを配置するのを目撃し、(これは)非常に危険な行為だと感じた。
この時、現場には中国軍の主力潜水艦2隻が展開しており、海自は潜水艦の行動を探ろうとし、それは国際法でも認められていると日本側の元横須賀地方総監・半田謙次朗元海将は主張:
潜水艦が周辺で行動している場合、情報を収集するという行為は当然である。国際的なルール、慣習を守った上での警戒監視という行為は、当然の行為であると考える。
人民解放軍 朱成虎陸軍少将の反論:
当然だと述べられたが、逆に中国が航路にソノブイを投下した場合に、日本がどのような反応に出るかを考えて頂きたい。このような接近偵察は非常に危険であり、一つ間違えれば衝突に発展する可能性もあるため、日本側には十分注意してもらいたい。
日本のテレビに出てくるような中国人コメンテーターと違って、主張はどうあれ、人間
としてまともですな。
元海上自衛隊補給本部長・河野美登元海将:
我々は軍事の専門家として友好関係を結びつつも、決して警戒監視の視点を失うことはないということを忘れてはならない。中国艦艇が我が国周辺で行動する際は、我々はこれをしっかり監視する。
かっこいいな自衛隊。
事案が起こった場合に、どういう意図をもって中国軍が行動しているのか主張をぶつけなければ出てこないと言う中政懇会長・森勉元幕僚長。
1977年から対話を始めているそうです。対話を呼びかけたのは鄧小平なんですと。
自衛隊としてなぜ中国の対話に応じたのか、初代中政懇会長・光岡健次郎元陸将が書き残している:
中国は(将来)近代化を成し遂げ、強力な社会主義国家となるであろう。それは日本にとって脅威であるが、もし両国が不和な関係にあれば、脅威は現実となる。それ故に、我々は友好を永続させ、日本の脅威を減少するように努めたい。すなわち中政懇が中国に協力するのは、日本の国益のためであると考える。
さすがです。
2006年に小泉首相が靖国参拝して中国との摩擦が起こった時、現役(自衛官)の交流はストップしたが、お互いが疑心暗鬼になるのを防ぐために、中政懇は交流を続け、日本側の意図を伝えた。
2003年から中国軍は沖縄近海を含めた東シナ海域へ進出を始め、2004年には中国潜水艦が日本の領海を侵犯、2005年には東シナ海のガス田を中国海軍の艦艇が航行、監視する海上自衛隊のヘリに艦砲を向ける事態まで発生している。
この中国海軍の海洋進出の背景に何があるのか、2006年の対話で日本側は探ろうとした。
元東部方面総監・菅博敏元陸将:
急激な軍備の拡張、過度のナショナリズムの台頭、過度の国益の追求主義、地域の覇権を狙うというのは最も悪いといいますか、不安定にする要因であると認識しています。
田原総一朗みたいにグイグイいきますね。
人民解放軍・陳舟研究員
中国は勢力範囲を拡大する、そういうことを図ることはしません。中国がいくら大きな国、強くなっても、覇権を求めないということでありまして、これは最高指導者が何回も強調したところです。
覇権を求めないのに軍備をなぜ拡大するか?
それに対する中国側人民解放軍 欧陽維大佐の説明:
近年の発展により、中国はどんどん海に依存するようになり、たとえば中国所有の経済地域で資源の開発や採掘を行い、海洋の通路を利用して自由貿易を行うというのが、中国の国益に大変関わってくる。これからは中国のこういった海洋利権を守るニーズにも、ご理解頂きたい。
軍備拡大が権益を守るために必要と考えている方がより危険です。ヒトラーも生存圏拡大でソ連に攻め込みましたし、満州事変もそう。
藤縄祐爾元統合幕僚長は中国が自信をつけてきているというイメージを受けたと語る:
経済が発展してきて、国力がついてきていると、あるいはさらに伸びるんだと。だから海洋に出て行っていろんな処置を講じていくというのは当然のことだと。
元潜水艦隊司令官・田内浩元海将:
つまらないことで紛争になることを防いでいく、このようなことが最も急がれることだと私は思っております。それにはやはり軍事交流を深め、大きな目標となるのが海上における事故防止協定であると思います。
人民解放軍 欧陽維大佐:
東シナ海における衝突防止、これは現実的問題として注目しなければならない。二国間の条約、規定が存在していない状況下においても、最大限の努力をもって衝突を回避すべきである。より正確にいえば、海空軍の衝突を回避することです。
人民解放軍も衝突は回避したいと考えている。この情報は藤縄祐爾元統合幕僚長から防衛省に伝えられた。翌年2007年8月に中国の国防相が来日して日中防衛相会談が実現。これにより、海上での衝突回避に向けた協議が始まる。
その裏で水面下の動きが進んでいた。アメリカの偵察衛星が中国・大連で改修を進めている空母を撮影した。中国は公式には空母保有を認めていなかった。
2008年の対話で日本側は中国軍空母に関する情報を引き出そうと考えていた。
元防衛省技研本部・長谷莞元空将:
中国の防衛力整備、近代化には、基本となる計画があるのか?
人民解放軍 朱成虎陸軍少将:
海軍について人道救援能力、シーレーン(海上交通路)防衛、封鎖作戦能力、対潜能力、対空母戦能力である。
元防衛省技研本部・長谷莞元空将:
「空母に対抗する能力」とは、将来空母を持つということか?
人民解放軍 朱成虎陸軍少将:
空母の保有は中国の宿願である。海軍は空母を持つべきである。
アメリカとは戦いたくないが、アメリカが武力で台湾を守るといっているため必要である。
1996年に起こった台湾海峡危機がその背景にあった。この時、中国は台湾が独立の動きを強めたとして、台湾海峡で軍事演習を行って台湾を威嚇。しかしアメリカが空母を台湾海峡に派遣したため、中国は退かざるを得なくなった。これで空母の重要性を痛感した。この屈辱により、空母保有は「宿願」となったのではないかと日本側は分析する。
中国が空母保有を実現するに至り、日本も海上自衛隊の潜水艦戦力の増強を決断する。
主力潜水艦は「おやしお」型。ちなみに最新鋭は「そうりゅう」型といい、これはスターリング機関で動く!
NHKが活動中のおやしおの艦内を取材してました。魚雷戦の訓練がカッコイイ。
シュート!ファイアー!っていうんですね。シエラって「S」のこと。
中国は尖閣領有問題をどう考えているのか、2009年の対話より(漁船が衝突する前の話)
口火を切ったのは中国側だった。
人民解放軍・張火韋(火韋で一字)上級大佐:
東シナ海の問題というと、魚釣島(尖閣諸島)の問題なども存在する。これは国境線確定問題である。
古庄幸一元海幕長:
日本政府は日中間に領土問題は存在しないと認識している。
日中両国とも難しい勢力(国粋主義者という意味)が存在する。マスコミがセンセーショナルに騒ぐことにより、政府あるいは外交交渉の判断を誤らせる。
ごもっともです。
中国側は国内事情を説明:
現在特に我々が懸念しているのは、日本と同じように一部のメディアおよびインターネット上における若者の過激な言論である。中国政府は東シナ海を巡る日中双方の協議や交渉を大変重視しており、この問題は両国間における大きな問題とならないように対応している。
理解して頂きたいのは、力を示すべきであるというのは人民からの圧力である。
最後の武力誇示を人民が求めているのは日本も同じでしょうな。
日本側は事情はどうあれ譲れない一線があると主張:
古庄幸一元海幕長:
ここでひとつ明確にしなければならないのは、海の上においては主権と領有に関し、妥協することはありえない。
さすが海の防人。
人民解放軍・張火韋(火韋で一字)上級大佐:
主権領土問題については妥協できないと述べられたが、双方がそれぞれの主権を主張し続けていくならば、将来的には戦争するしかないとの考えなのか?
ここで中国側の司会者が割って入り、議論は中断。
いつかはそうなるでしょうね。
中国の強硬な主張の裏には複雑な国内事情があることがわかったと、古庄幸一元海幕長はいう。価値観が日本と中国では全然違うという、そこをお互い認識した上で話をすべきであり、その認識をなくてはだめだと。
東日本大震災後、人民解放軍は救援隊を東北地方に派遣する一方、アメリカ軍の空母まで展開したトモダチ作戦を注視していた。これは有事に近い状況で自衛隊とアメリカ軍が合同して活動した初めてのケースであり、有事に対する具体的な体制整備に必ずやつながると中国側は危惧した。
震災から3ヶ月後の6月に行われた対話において、中国側は日米軍の協力について強い関心を示した。
中国側人民解放軍 欧陽維上級大佐の質問:
今回の震災、特に原発対処にあたり、アメリカ軍は空母を日本の近海まで展開した。震災時の日米両軍の共同活動は、あらかじめ日米同盟に盛り込まれていたのか、あるいは緊急対応だったのかどうか?
日本側は「新たな枠組み」だったとしか答えなかった。
中国が憂慮しているのは、自衛隊とアメリカ軍がどれだけ親密で、アメリカ軍が日本に有事が発生した場合にどれだけアメリカ軍が空母も含めて出張ってくるかということでしょう。
中国側はアメリカ軍への警戒感をあらわにする。
人民解放軍・王宜勝大佐:
近年、中国の領海付近で活動するアメリカの偵察機は、日本から飛来しており、そのため中国国内では東シナ海は日中間の問題であると同時に、アメリカの問題であると受け取られている。
その認識は正しいでしょう。
さらに人民解放軍・周伯栄海軍少将の主張:
ここ数年来、日本が絶えず日米軍事同盟と軍事的一体化を強化し、大規模な軍事演習を行ったりしているが、それは本当に地域の安全保障利益に合致するものなのか。日本の利益に合致するものなのか、真剣に考えて頂きたい。
日本側は中国のこの発言の意図が日米の引き離しにあると見た(恫喝ぽいですけどね)。尖閣問題を含めた東シナ海を中国はアメリカを挟まない二国間で解決したいと考えている(アメリカを入れると劣勢になるから)。
人民解放軍・周伯栄海軍少将の主張:
東シナ海は非常に複雑で微妙であり、両国の安定的発展を損ないかねない要素になりつつある。双方は対話と協議を通じて、これらの問題が両国関係を実質的に傷つけることがないよう、防止すべきである。
中国側人民解放軍 欧陽維上級大佐:
両国の衝突および両国関係への影響をいかに避けるべきであるが、私見ながら魚釣島(尖閣諸島)問題はいったん凍結するのがよいと考える。この問題をホットイシュー(重大な問題)にすべきではない。
中国側は尖閣諸島を自国領と今すぐ日本に認めさせるよりは、日本との関係改善を選択したと日本側は捉えた。これに対して日本側は中国軍の透明性を高めるべきだと主張:
元東北方面総監・井上廣司元陸将:
日中間ではさまざまな交流は進んできたが、何かの事件を契機として、そのつど停滞してきた。中国には国防力の強化に関してのさらなる透明性の確保や海洋活動の活発化に対する周辺諸国の懸念を解消するための意思の疎通が望まれる。
最後に初代中政懇会長・光岡健次郎元陸将の言葉:
両国は歴史も内容もまったく異なった国であるが、隣接した国で引っ越しは出来ない。否応なく長い付き合いをしなければならない。そのためにはお互いに理解しあわなければ信頼は生まれない。夜の闇が恐ろしいのは、深海の底と同様に、見えないので何があるのかわからないからである。
自衛隊OBは中国に日本が呑み込まれないようにしながら、中国との戦争を回避すべく尽力しているのです。
対話しないと暴走しそうです。
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コメント
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外野が煽るのはもちろんNGですが、商談に上司が付いてきてうまくいった試しがない。
そのくせ自分の存在こそが商談成立の要因と宣言したがる管理職・・・(-_-X)
規模の小さい愚痴ですみません。
責任者は必要ですが、実際に解決できるのは担当者ですね。 お願いだから、黙って座っててね。
という、バブル期のバカOLの発言でした。
投稿: ぷる 餅は餅屋 | 2011/10/23 16:50
ぷるさん、どうも
>商談に上司が付いてきてうまくいった試しがない。
途中から首を突っ込んできて、話がこじれるのは無駄や問題が増えるので困ります。むやみに首を突っ込まないのも大人の度量だと思います。
サラリーマンNEOのネタに使えそうです。
ほしがり課長ならぬ出たがり課長。
投稿: 竹花です。 | 2011/10/23 17:36
竹花さん、ない~す(*^m^)
ぷるは、名刺並び替えの川上くん思い出しました。
投稿: ぷる | 2011/10/24 01:12
ぷるさん、どうも
な~るほど。OLさんまで入ってきて川上くんがテンぱっちゃうコントですね。
投稿: 竹花です。 | 2011/10/24 01:21