パシフィックは見る価値がある。
太平洋戦争の海兵の戦いを伝えるミニシリーズ「パシフィック」の主人公の一人、ユージーン・スレッジ(スレッジハマー)が、このミニシリーズの大きな部分を占める、ペリリューについてこう語っています。
アメリカの若者はペリリューの戦いで極限の地獄に放り込まれ、この上ない肉体的、精神的拷問を味わった。そして不可能な任務を命じられた。
ペリリューの戦いの中で、ユージーン・スレッジは気づいた。戦ってきた兵士たちの冷酷な眼差しは力強さではなく、喪失と苦痛がそうさせているのだと。
その通りのドラマでした。
バンド・オブ・ブラザーズがヨーロッパ戦線の英雄の話なら、太平洋戦線の地獄に投げ込まれ、のたうち回る人間の話。
スタンリー・キューブリックのフルメタル・ジャケットとかフランシス・コッポラの地獄の黙示録は、戦争を狂気に落とし込んでいますが、パシフィックでは正常な心で狂気を覗いてしまった苦痛が表現されています。
日本ではバンザイ突撃が有効ではなかったという話ですが、成功はしなかったものの、相当敵側(アメリカ海兵)には苦痛を与えたようです。
この戦いの中で一番面白いと思うのは、ユージーン・スレッジという若者が(親が医者で紳士的)日本軍との死闘の中で、ダークサイドに落ちていく様。同じ分隊のスナッフっていう男との絡みを通じて、スレッジが変わっていく様がよく描けています。リアルでえげつない戦闘シーンは必要不可欠ですが、それがこのシリーズの言いたいことではないでしょう。
シリーズ序盤のテナルの戦い
戦いが終わって海岸に横たわるあまたの日本兵の死体を見たリッキーがReal Turkey Shootっていうところが、これが戦争かよって感じでいい。
とにかく海兵は物資がなかったのは日本軍と似ています。
1941年から42年は海兵の装備がそんなによくないのがわかります。
ここで使っているのはM1917重機関銃。水冷式なのでチューブを取り付けるシーンがあります。
日本軍の再現率もかなり高いです。
天皇陛下バンザイ!
助けようとしてしてるのにね。それから、どっちもどっちの戦いになっていきます。
ペリリューの戦い
http://youtu.be/yqnqLblyNa4
これがテレビドラマかと思うほど壮大な上陸シーン。
日本の95式戦車!
この後、山に籠もる日本軍を叩きつぶすために飛行場を渡るシーンがあるのですが、ここは見てみて胃が痛くなるほどやばい。
War is fucked up(戦争狂ってる、やばすぎる)っていうコメントがありますが、ほんとにそう。
硫黄島上陸作戦
三人いる主人公の一人、バジロンの見せ場。この人の人生はバンド・オブ・ブラザーぽい。
沖縄戦、最悪。
スレッジ……
人間爆弾がホントにあったかどうかは知りませんが、人間の盾はアメリカの記述にも出てきます(逃げる住民と軍がゴチャゴチャになったというのもあるでしょう。ベルリンもこんな感じかと)。日本にも日本の事情がありますが
ともかくアメリカの若者の視点ですから。
このあとスレッジが死にそうな日本女性と話すシーンがあります。そしてスレッジに心情の変化があって、原爆投下の知らせを聞きます。そのスレッジの顔がなんともいいです。
話は沖縄で終わらずに、除隊後が最後の1話に割かれているのが、単なる戦争ドラマではないパシフィックです。スレッジの苦悩は続くわけです。
最後のエンドロールが救いです。
DVDボックスにはなぜ日本がこんな戦いをしたのか説明があります。↓
武士道だとか虜囚の辱めを受けずみたいなのが背景にあるとか、アメリカ人にわかりやすく話をしています。
これに日本で対抗できるのは「コックピット」ぐらいでしょうか
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