ミッション:8ミニッツは面白い謎解きSF。しかし最後は謎。
デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズの2作目です。
一作目の「月に囚われた男」はかなり面白かったですが、このミッション:8ミニッツ(原題:Source Code)もかなり面白いです。いいSF映画はSFぽくない。これもその一本。
![]() 【送料無料選択可!】月に囚われた男 コレクターズ・エディション [廉価版] / 洋画 |
この人の映画は独特な閉塞感があります。それがいいです。
インセプションに近い映画ですが、最後がえらい謎なので調べてみました。
以下、ネタバレありなので、見ていない人は見ない方が身のためです。
見たら残念な目に遭います。最後がわかったという人も見ない方がいいでしょう。
解釈が違うかもしれません。いろいろ解釈できるようになってると思います。
最後はただのハッピーエンドかと思ったら、グッドウィンにスティーヴンからメールが来ています。そしてそのメールを見たグッドウィンが「箱」を見てみると、我々が死んだと思っているスティーヴンがそこにいました。
死んだ人間の記憶の残滓から量子物理学を駆使して構築したパラレルワールドだと博士がスティーヴンスに説明しています。
パラレルワールドなのはわかります。死んだ人間の記憶ではわからないところまで再現されています。白いバンに放射性物質をまき散らす爆弾(字幕で「高性能爆薬」としたのは福島の配慮でしょう)積んであるのはわからないはずです。
量子力学にはエヴェレットの多世界解釈というパラレルワールドを肯定する考え方があります。
http://www.ropeofsilicon.com/spoiler-talk-is-the-ending-of-source-code-open-to-interpretation/
からの引用:
It tells her the "Source Code" works and a crisis was averted. Shortly thereafter you hear Rutledge in his office say, "One day a crisis will come and the 'Source Code' will have its day in the sun." He says this because in this reality — the parallel reality where Colter stopped the first bomb from going off — the "Source Code" was never used. It is here Colter's consciousness exists in two places. His consciousness resides in the body of Fentress as well as in his body in the lab, waiting until a crisis comes along and the "Source Code" program can be used for the "first" time.
グッドウィン宛てのメールには「ソースコード(スティーヴンスを使ったシステム)」がうまくいってテロを防ぐことができたと書かれていた。そのすぐ後、グッドウィンは博士のオフィスへ行って、いつかこのソースコードが日の目を見る日が来るかもしれないと博士が言っているのを聞きます。それはつまりこのグッドウィンがメールを貰った世界ではまだソースコードが使われていないということで、メールが届いた世界はスティーヴンスが列車の爆弾を防いだ世界とはまた別の世界だということになります。最終的にスティーヴンスは(グッドウィンに殺されて)2つの世界に生きることになる。教師のフェントレスの体に入った世界と、まだソースコードが使われずに研究所の「箱」の中でテロの危機が起こるのを待っている世界。
監督のインタビュー:
[T]echnically it's a parallel reality film, but it is also time travel. It's parallel reality, but the reality we're going to, we're going to a past event in that parallel reality. We're in this world, Vera Farmiga and Jeffrey Wright are sending him to what they think is the last eight minutes of someone's life, captured in a victim's brain state, in Shawn Fentress's brain state, but what they're actually doing — by the end of the film — is they're accessing a parallel reality, but still having to travel backwards in it because they're having to go to this event on the train. Then he is able to create this new reality every time he gets sent to a new "Source Code."
カテゴリーとしては並行現実の映画だけど、タイムトラベルの映画でもある。並行現実だけど、過去の出来事を現在進行形で現実追体験していくんだ。グッドウィンと博士が、テロの犠牲になった人間の最後の8分間、その人の頭の中だと思っているところにスティーヴンスを送り込むけど、実際は、映画の最後でわかるけど、並行現実に入り込んでいるんだ。でも列車で何が起こったのか調べないといけないから、過去に送り込まれている。スティーヴンスが新しい「ソースコード」に送られるたびに、新しい並行現実が生まれるということだ。
なぜ世界を越えてメールが送れるのかは謎ですが、グッドウィンがメールを受け取った時間は列車の中なので、それはテロが起こる前なので、ソースコードが起動されていません。辻褄はあいます。
« パシフィックは見る価値がある。 | トップページ | 世田谷の歩道脇で高線量、舗装の下に原因物質か »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 劇映画 孤独のグルメ テレビ版とは違う味わい(2025.01.13)
- 侍タイムスリッパーは大当たり。これぞ映画。(2024.10.04)
- エイリアン:ロムルス ゴジラ-1.0と同じ原点回帰の面白さ(2024.09.11)
- 沈黙の艦隊、潜水艦乗りの話として面白いじゃないか!!(2024.02.10)
- NHKドラマ「あれからどうした」がめちゃめちゃ面白い。(2023.12.30)
コメント