坂の上の雲 第11回 203高地 その2 (適当に画像とか感想とか入れつつ)
「このままでは兵が、皆 死んでしまう」と呟く児玉源太郎。
日露戦争の旅順包囲戦において、「近代国家というものは国民に必ずしも福祉をのみ与えるものではなく、戦場での死をも強要するものであり、その国家というものが、庶民に対して重くのしかかった」という冷酷な事実に、兵士だけでなく、将軍たちも直面します。
最初の15分で、乃木が動き、「旅順要塞」攻略に拘っていた参謀たちを一喝、攻撃重点を203高地へ変更しました。それでも戦いは熾烈を極め、なかなか攻略には至らない。そして次の15分、満州軍参謀総長・児玉源太郎が動きます。
国家存亡をかけた激闘の最中、児玉と乃木の秘めた人間性が垣間見えます。
攻撃重点を二〇三高地に移してどうかという乃木に対して、伊地知が異議を唱える。
松樹山、二龍山、共に攻撃はすでに敵の喉元にまで達しております。今ここで攻撃計画を一変するのは、それこそこれまでの皆の戦いが無駄になりもす!
(おそらく伊地知は攻めないと松樹山、二龍山を攻め取られると考えたのだと思います画画面的には乃木の背中を見せることで、視聴者が二〇三高地を口にして幕僚の中で孤立する乃木の立場になれるようです)
乃木の右側にいた参謀も伊地知に同調する。二〇三高地を落すことは、旅順要塞の死命を制することになせん。我が軍の目的は旅順を制圧し、敵を降伏せしめのち、速やかに北上し、総軍に合流することであります。
そしてまた冷静な乃木に戻る。
旅順に潜む敵艦隊も温存されたままというんでは、それこそ死んだ兵たちに、申し訳が立たぬ。
(乃木閣下かっこいいであります)
第一師団につなげ!
乃木の言葉に伊地知が折れた。
伊地知が第一師団に確認する。
(旅順要塞の)正面突破は困難、二〇三高地だけはなんとかせにゃならん。今から二〇三高地に攻撃目標を変更できるか?
今から、進むよし!と第一師団長。
すぐやるが、全力でやるんだな!全力で二〇三を落すんだな!
やる!やりもす!全力でやる!と伊地知が答える。
(まだ始まって20分で泣けてきました)
乃木が満州軍総司令官の大山と大本営の山縣元帥への電信を命じる。
(第三)軍はやむをえず従来の攻撃を断念し、速やかに二〇三高地を奪取し、もって敵艦隊の処成を促さんとすと。
参謀たちが新しい作戦のために動き出すと、乃木は座った。またいつもの乃木に戻った。
乃木希典はついに、いままでの作戦思想を自ら修正し、攻撃の力点を問題の二〇三高地にかけてみようと決心したのである。
(ここぞという時は動くが、あとは参謀に任せる乃木)
二〇三高地は旅順市街の西北約2キロの地点に、大地がちょうどうねるようにして隆起している。付近には案子山、椅子山があり、谷を隔てて相つらなり、二〇三高地の側には赤坂山と海鼠(なまこ)山がある。
それらの嶺々が連繋して、隙間のない火網を構成している。ネズミ一匹が走っても、銃砲火の大瀑布に叩かれねばならなかった。
(このマキシム機関銃から垂れ下がる給弾ベルトと顔に陰が落ちるロシア兵のこの画像がいいですね。これから始まろうとしている戦いが露軍兵にとっても辛いものだと予感させます)
日本軍による二〇三高地への攻勢が始まった。
ロシア軍陣地に迫る
庶民が「国家」というものに参加したのは、明治政府の成立からである。国民皆兵の憲法のもとに、明治以前には駆り出されることのなかった庶民が兵士になった。
(庶民が国家の尖兵として戦うことがこの日章旗に現われているようです)
近代国家というものは国民に必ずしも福祉をのみ与えるものではなく、戦場での死をも強要するものであった。
国家というものが、これほど庶民に対して重くのしかかった歴史は、それ以前にはない。
(映像と重なると、この言葉は重いです)
国家能力というものは、明治期という19世紀末、20世紀初頭にあっては、各国とも濃厚に軍事のことを指す。日本人は維新という転換後、30年あまりを経て、ロシアという世界的な帝国と、軍事の強弱を争わねばならなくなった。
(ナレーションと写真を組み合わせるのはいいですね。これの真似をしたらパクリと言われるでしょう。最初にやったのが坂の上の雲でよかった。)
このままでは兵が、皆 死んでしまう。
(秋山真之に旅順攻略を目的としなければ第三軍の兵四万は動かせないと豪語していた人物に、こうまで言わせる旅順包囲戦の恐ろしさ)
どうもこうもあるかと児玉。旅順があの現状じゃ、今に満州全軍は総崩れになる。
かといって総参謀長が定位置であるこの(満州軍)総司令部を離れ、第三軍を督戦しにいく理由にはならないと松川が言う。
見に行くのではないぞ。このまま放っておいたら
乃木が両手で抱えちょる兵隊は遠からず全滅じゃ。ワシは乃木に代わって第三軍を指揮しに行く。
閣下、それは道理がとおりません!と松川。
閣下が総参謀長のお立場で、軍司令官である乃木閣下の指揮権を侵すことになります!
二〇三高地を臨む高崎山観測所に北海道から出陣してきた第七師団(今の第七機甲師団の前身ではありません)の大迫尚敏師団長および参謀、そして第三軍の松村参謀がやってきて、二〇三高地の状況を分析する。
あの二〇三高地の頂上にさえ登れれば、旅順港が見えるのです。
第七師団の一人が呟いた。地獄だと。
大迫さん、第七師団の士卒はえらいところに来たと思うとるんじゃなかろうかと松村。
ないが松村さんと大迫師団長。
俺たち第七師団は内地に最後までおったもんじゃって、そりゃあもうひどく焦っておったとじゃ。この日露の大戦で、日本が勝つ。勝ったあと、北海道の第七師団ばっかり、行かんちなれば、北海道のもんは津軽海峡の方に顔向けできんちゅうてどげんも、こげんも……
あの二〇三高地、俺たちがみんな死んだら、なんとか取れるじゃろかいなぁ
そう言う第七師団長・大迫尚敏中将の声は震えている。
はい。恐縮ではありますが、あとをよろしくお願いします。
乃木の代わりをすっとか?旅順へ行って乃木の代わりに旅順を落すちゅうとか?
はい。児玉の決意は固い。
しかし乃木が児玉の要求を呑まなかったら、児玉を軍法会議にかけることになると大山。
児玉はそれも承知の上でのことだった。
今できることをやらねばなりません。乃木を助けてやらねばなりませんと児玉が言う。
乃木も私も、死ぬべきは今です。
(第三軍の指揮を取るのではなく、自分が乃木を助けてやらねばならん。そして乃木とともに死ぬ覚悟でやる、児玉の言い回しに、乃木に対する友情を感じます。高橋英樹の凄みが「あの化物のごとき要塞」という表現とマッチして、本当にやばい要塞なんだと思えてきます。)
そいなら、よかと大山は児玉が第三軍に行くのを許し、一筆したためた。
予の代わり、
児玉大将を差遣す
児玉
予の言うところと心得べし
大山巌(花押)
(大山は児玉が乃木の賛同を得られるようにこれを書いたのでしょう)
児玉源太郎は急ぎ第三軍へと出立した。
続きます。

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