坂の上の雲 12回 敵艦見ゆ その4 (画像と感想を交えつつ)
焦りで迷いだした秋山真之が連合艦隊を北上させようとするが、それを島村速雄と東郷平八郎が止める。そうしなければ、日露戦争最後の大決戦、日本海海戦は起らなかったでしょう。
この日本は石原軍団が救ったと言っても過言ではないだ!
ロジェストヴェンスキーがインド洋の大海原を双眼鏡で確認する。
(バルチック艦隊の煤煙が黒いのは質の悪い石炭だからそうです)
バルチック艦隊が目指すウラジオストクまでの航路は2通りある。対馬を通って日本海コースを取ってくれればもっともよい。
しかし太平洋をまわって津軽海峡や宗谷海峡を経る公算も大である。
が日本としてはこれを迎撃する艦隊をワンセットしかもっていないため、太平洋と日本海の2カ所で待ち伏せることはできないのである。
真之はバルチック艦隊が対馬海峡を通ると想定して哨戒計画を立案している。
哨戒には非決戦用の艦船が動員された。その数は73隻という、おびただしさであった。
参謀たちがどこでバルチック艦隊を迎え撃つか、議論を重ねるが答えは出ない。
もし(連合艦隊が)対馬に居座っておって、敵が太平洋を迂回して津軽海峡に出現したと無電が入るとする。なんぼ走ってもウラジオストクの手前で捕まえることはできんだろう。津軽海峡の西口で待てば、太平洋から来ようが、対馬から来ようが、バルチック艦隊を顔を合わさんということはない。
しかし秋山と加藤友三郎参謀長。津軽で決戦では一、二度戦っている間に敵の何隻かはウラジオストクに取り逃がしてしまう。
そこですと真之。ウラジオに引き込まれては旅順の二の舞になる。
バルチック艦隊がどのコースを取ってくるか参謀の間でも意見が分れた。
撃ち方始め!
目標変え!クニオヤジスワロウ!
この頃の射撃訓練は、「内膅砲射撃(ないとうほうしゃげき)」という方法があった。小銃を大砲の中に装置しておく。砲員は大砲を操縦して目標を狙い、その小銃弾を目標へ発射するのである。
これわかる者おるか?
国親爺坐ろう(クニオヤージ・スワロフ)
呆れ三太じゃ!(アレクサンドル三世)
真之は一向に姿を見せないバルチック艦隊が太平洋コースを取ったのではないかと、気が気でならない。
鈴木貫太郎中佐が真之の様子を見にやってきた。
鈴木貫太郎ですよ!日本を救った男です。
真之は湾で待っているのは愚かではないかと思っていると言う。
バルチック艦隊は万里の波濤を越えてくるんだぜと鈴木貫太郎中佐。不測の事態も起るだろうし、途中石炭を積まなければならぬ。我らの予想より、足が遅いこともあるさ。
(このキャストはいかがなものか)
肝心の戦まで勝ちはとっておけと言っていた亡き父の言葉を思い出す。
「短気は損気」「急がば回れ」
と書いたものの、結局辛抱できず。
封密命令を出してくださいと真之が加藤友三郎参謀長とともに東郷に上申する。
「今に至るまで、当方面に敵影見えざるより、敵艦隊は北海方面に迂航したるものと推断す。連合艦隊は会敵の目的をもって今より、北海方面に移動せんとす」
いえ、そうではありませんと真之。しかし万が一の場合に備えて、北上の準備もしておくべきかと考えます。
参謀長、おはんも、同じ意見か?と東郷が尋ねる。
はいと加藤が頷いた。
開封日時は?
明後日。26日と真之。
わかいもした。用意しやんせと東郷は同意した。
(本当にこれが実行されていたら、日本海海戦は起らず、バルチック艦隊を撃滅はできなかった)
連合艦隊は北上して津軽海峡で待ち伏せるとの知らせは、山本権兵衛海軍大臣にももららされた。
財部海軍大佐は伊東軍令部長とも相談し、東郷を思いとどまらせねばならないとの結論に達し、連合艦隊は鎮海湾に待機し続けるべしという命令書の決済をもらい、それを山本に見せるように言われたのだった。
これはならんと山本。
対露作戦のすべては東郷どんに任せてある。そいに対して後方から容喙(横から口を出す)するようなこつがあってはならん。
今は非常の場合です!後方にいる我ら大本営の方が眼前の現象に惑わされず、情報を正確に判断できます!敵は必ず対馬から来ます!
財部、お前の勝手な話など、戦の役に立つはずがなか!
戦は東郷らがすっとじゃ。任せておくのがお前の立場じゃ。
第二艦隊第二戦隊司令に転任した島村速雄が三笠で行われる軍議に遅れてやってきた。
「全艦、北上する」という結論でよいな?と加藤が尋ねる。
また秋山さんの奇行が始まりましたねと清河が永田に耳打ちする。
ああなっては人の話など聞いておらんと永田。
島村が遅れてやってくる。
汽艇が壊れてカッターを漕いでやってきたと笑い、軍議に遅れるとは一生の不覚ぜよと言う。
加藤が明日午後3時をもって、連合艦隊は北上。津軽海峡の西方に移動する予定ですと島村に伝える。
時期尚早ではないだろうかと島村が異議を唱える。
この時点に至りましてもバルチック艦隊の情報がない。よって対馬には来ないと判断しましたと加藤が言う。
ハイと秋山が答える。
敵がいくらかでも、航海いうものを知っちょったら、対馬海峡を必ず通る。それは道理じゃ。
その敵が遅い遅いと、キリキリするがは……
まるで巌流島じゃき。
(渋い。巌流島の話を宮本武蔵が後世に伝えてよかった)
島村が真之を連れて東郷の所へ行く。
長官はバルチック艦隊はどの海峡を通ってくるとお思いですか?と島村が尋ねる。
東郷が世界の戦史に、不動の地位を占めるに至るのは、この一言によってであるかもしれない。
(これまた渋い)
敵がここを通るちゅうて通る。
いざ動くときには封密命令のとおりでよかと東郷。
じゃっどん動くのは新たな情報が入ってからじゃ。
まだ待つ。
(東郷と島村にはあうんの呼吸があるんです)
長官がああ言うてくれた以上、あとは安心して、思い切りやったらええがじゃき。
通るというから、通るんじゃろう!
(思いっきりやったらええという真之の迷いを吹っ切らせる東郷や島村。ここは司馬遼太郎に出てくる理想のリーダーをきっちり描いているよいエピソードだと思います。満州事変、日中戦争では指揮官を蔑ろにして参謀が暴走して……)
五月二十七日 午前二時四十五分
次回に続きます。
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コメント
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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
投稿: 志望動機 | 2013/05/14 12:40