坂の上の雲 第2部 総集編 日露開戦
よくまとまってました。
正岡子規と秋山真之が最後に語らうシーンはほぼそのままで、良い感じでした。
黄海海戦の兵棋演習で両陣営とも被害は甚大、指揮官や参謀として失格だと真之は学生を叱咤します。君らは戦史を読み、その結果だけで判断しとらんかったか?それでは単なる批評にすぎない!
実に我々指揮官が乗員全員の命を預かっておる。すなわち我々が判断をひとつ間違えれば、無益に多くの血が流れる。実戦ともなれば、身を切るような判断を次々と迫られる。苦闘の連続です。アシ自身、己の足らざるに時として戦慄します。無識の指揮官は殺人犯なり。
我々を信頼して死を顧みず、働く部下たちを決して犬死させてはならんのであります。もし自分がその場の指揮官だったらどうするのか。いかにすれば正しい判断が下せるようになるのか。その答えを求めて、皆と一緒に考えていくのがアシの授業です。
「淳さんにとって世界は広い。アシには深いんじゃ。ロシアとは戦をするんか?」
「すれば日本人の1割が死ぬじゃろうな」
「そんなに死ぬんか……軍人が戦場で散らす命と、こんな狭い病床で散っていく命は、どう違うんじゃろうな」
憔悴した子規を真之が床に寝かせます。
「ちいとも違わんじゃろう」
「違わんか。どっちもちっぽけな命じゃからのう」
「どっちも掛けがえのない命じゃ」
真之が布団をかけてやります。
床に伏せた子規が真之に部下を死なせてしまった責任を取って坊さんになるかどうかの答えは出たかと尋ねると、真之は出てないと答えます。すると子規はこう言います。
「アシはとっても坊主にはなれんのぉ。病床で痛うてたまらん時は、一刻も早く死なせておくれと叫ぶ。じゃが痛みが晴れると、とたんに頭が冴え、写実の利いた、ええ句が次から次へと浮かんできて、もっともっと生きたいと願う。アシという人間はとことん現金な生き物じゃ」
上着を脱いだ真之が子規を起こしてやる。
「このままでは……死にきれんぞな。アシの目指しとる俳句詠み、正岡子規はこんなもんではないんじゃ……」
「当たり前じゃ」
「淳さんはどうじゃ、淳さんはちっぽけな人間のまま満足しとらんじゃろうな?」
「アホ言うな、アシじゃっていつか、もっと、でこうなってノボさんを追い抜いてやるぞね」
子規がやせ細った腕で真之の刈り上げた頭を撫で回す。
「おう。軍人を続けるか、坊さんになるか。淳さんはちっぽけな人間では耐え切れんほどの課題を背負ってしっかり立っとるけんのう……淳さんはその答えが見つかるまで死にきれんぞな……生きて生きて生き抜いておくれ。アシも死なんぞ、痛うて痛うて畳ののたうち回っても、アシは俳句を詠む。まだまだええ句が浮かんで来よるんじゃ」
正岡子規は安らかに逝った。
日露戦争、開戦。
閉塞作戦。
千代田丸の爆発を見て、左に回れと広瀬が命じる。
ロシア軍の砲撃。
第二次閉塞作戦で、自沈直前に脱出しようとしたが杉野兵曹がカッター(脱出艇)に乗っておらず、敵砲撃が降り注ぐ中、広瀬が船内を探す。
結局見つからず、やむなく脱出。
最後のナレーション(<>は総集編では割愛):
<旅順で発行されていた新聞「ノーヴィ・クライ」は4月3日付で、広瀬武夫の師について詳細な記事を残している。その記事によれば、「福井丸」の船首付近で日本人将校の遺体を発見。ロシア海軍はその勇猛果敢なる将校の死を悼み、ロシア正教にのっとり、手厚く葬儀を行った。ロシアの水兵が棺を運び、聖歌隊が葬送の曲を歌う中、葬られたという。
アリアズナは海軍少将の娘でありながら、その未来の夫である日本海軍の士官のために喪に服した。>
海軍の作戦は失敗に終わった。敵の旅順港内には世界有数の大艦隊が潜伏している。もしこの大艦隊が自由に海上にのさばり出れば、日本は海上補給を断たれ、満州に上陸した陸軍は孤軍と化し、敵の襲来を待たずして立ち枯れてしまうのは当然であった。連合艦隊はその旅順の口を塞いで、敵が出て来ないように封鎖している。
この状況を打ち破る方法がただ一つあった。
陸軍による旅順要塞の攻略である。
旅順攻撃は維新後、近代化を急いだ日本人にとって、はじめて「近代」というものの恐ろしさに接した最初の体験であったかもしれない。要塞そのものが「近代」を象徴していた。
それを知ることを、日本人は血で購うことになる。
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