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2011/12/04

坂の上の雲 日露戦争 食事編(陸軍)

今から百年前の戦場での食事。これもまた戦争。

東日本大震災で自衛隊があれだけ大規模に活動できたのも、アメリカ軍がトモダチ作戦を遂行できたのも独自の補給体制があればこそ。

いかに喰わせるかを蔑ろにすると負けます。

この本から引用です。

戦前の陸軍の衣食住が網羅されています。

①飯盒と水筒

日清戦争時も飯盒は装備していたが、これはブリキの器に漆を塗っただけのもので、炊爨(すいさん)はできなかった。炊爨ができる飯盒が装備されるのは、日清戦争直後の明治31年のこと。これによって大行李(食糧・衣料などを運んだ部隊)の炊事班による給食だけでなく、兵士それぞれが配給された食材を煮炊きする飯盒炊爨体制が確立された。

水筒が装備されるきっかけは、陸軍大臣大山巌がドイツ滞在中に水筒を見て感動し、サンプル(ガラス容器に破損防止の革のカバーをかけ、革紐をつけたもの)を持ち帰ってたからである。明治19年より生産が始まった。明治30年には壊れにくいアルミ製に変わった。

大山巌は日露戦争では元帥陸軍大将として満州軍総司令官に就任。

②実際に何を食べていたのか

日露戦争において戦闘部隊に配られた糧食は明治33年「野外要務令」の「尋常糧食」によると、

1人1日当り精米6合と副食若干。
携帯口糧として
糒(干飯)または乾麺麭(乾パンの原型)ないし精米と若干の副食とされている。

1日精米6合はまさに「主食」です。

実際に陸軍が調達した食品:

主食として「磨搾(まさく)米および精米」と大麦。

牛肉の缶詰。しかし戦争後半になると牛肉が不足し、鮭、鱒、鰯などの魚の缶詰に。

乾燥食材として塩干魚肉、乾燥野菜(切り干し大根と乾燥昆布)、鰹節。

漬け物には「福神漬けの缶詰があった。

醤油エキス。缶入りの半生状の醤油で、水で溶いて使った。

味噌も樽に入れられて運ばれた。

南山の戦いでは、日露両軍とも飲料水の欠乏が深刻で、「絶飲地獄」の中で戦った。また兵士たちの水筒の飲料水を節約するために、糒や乾麺麭を一昼夜土の中に埋めてふやかして食べるという苦肉の策も取られた。また現時調達の牛肉が炎天下で腐敗したため、牛缶とは別に、欧米列強とおなじく塩漬けした「耐久肉」の開発が現地軍より糧秣廠宛てに要望が出された。

旅順攻略戦では戦闘部隊への糧食給与は最初、各歩兵大隊の大行李が後方で炊飯した飯を叺(かます)や土嚢袋に入れて前線の中隊に運んでいたが、それでは輸送要員が敵陣地からの銃砲撃に曝されて危険なため、塹壕で戦う兵士たちには、「手投飯」という方法で食事が与えられた。これは握り飯と副食、あるいは乾麺麭を包飯布(ほうはんぷ)と呼ばれる布や新聞紙に包んで、大行李や各歩兵中隊の使役要員で編成された運飯員が、各前線陣地に密かに接近して、味方陣地に投げ込むのである。

携行糧食は敵陣地の線量から増援到着まで長期間陣地を確保し、厳しい戦闘を強いられるとの考慮から、軍規定2日分ではなく4日分の乾麺麭が支給された。

また旅順では携帯口糧の「重焼麺麭」は1食分2枚を油紙の包装紙で包んでたこ糸で縛ってあった。物資が不足していた前線部隊では、この包装紙を用便後の「落とし紙」として使い、たこ糸は外套や携帯天幕の補修糸に使われた。そのためこの糸をカーキー色に染めて欲しいとの要望が糧秣廠に出されている。

旅順も井戸が少なく水質も悪いため、煮沸消毒した水を樽に入れて運んできたが、敵の銃砲火にさらされるために、現地軍ではズック製搬水器や組み立て式搬水器が急造された。

歩兵第7連隊第2大隊の明治38年2月の第3旬献立をみると
夕食には豚肉、白菜、葱、
朝食には福神漬け、
昼食は、塩サンマ、塩ぶり、牛缶詰、卵など

しかし3月第1旬に入ると
朝昼晩と携帯口糧、握り飯、牛肉ないし鱒の缶詰、梅干し、もしくは給与できない状況にもなっていた。

奉天の戦いでは
散兵壕に籠もる将兵の士気と体力の保持を目的として、数個大隊の大行李を集めて炊爨を行い、前線へ温熱給食を配食した。

敵に見つからないように薪でなく炭を用いた「隠密炊爨」や「糒」をザルを使って蒸米にする臨時炊爨が行われた。

挺身騎兵の場合、重焼麺麭は乗馬の振動で砕け、湿気で溶けてしまうため、精米が支給された。また現地で調達した小麦粉を使った饅頭や団子汁が挺身隊員に人気があった。

③運搬手段

日露戦争を見据えて対外戦争にむけた準備を進めるため、陸軍では補給体制を拡充する。物資の運搬を担うのは馬。自動車なんかありません。

明治33年「野外要務令」による歩兵大隊大行李の編成
荷物駄場9頭
炊事具駄馬10頭
糧秣駄馬16頭
予備蹄鉄駄馬1頭
予備駄馬2頭

携行糧食の保有数
携行糧食2日分
大行李1日分
兵站縦列4日分
合計7日分。

現代の戦闘糧食は進化しています:

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コメント

兵器編も面白かったけど、この食事編はいいですねぇ。ふつうの小説ではまず書かれない世界です。

「食事編(海軍)」もあるのかなー、期待してます。

baldhatterさん、どうも
明治の海軍ですか、調べてみます。

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