負けて、勝つ 渡辺謙の吉田茂は似てないけどそう見えてくる不思議
なかなかよい第1話でした。ちゃんと進駐軍と渡り合わなければ日本は分割統治もありえたし、天皇の戦争責任が追及される可能性もあったと。言葉が英語になるってゾッとしますな。(ローマ字化運動は起ったのですが)
これはもうプチ大河。
坂の上の雲ではナレーション、このドラマでは吉田茂。NHKの渡辺謙は逆境から勝つ。
このドラマはフィクションですが、マッカーサーにありがとうという手紙が日本中から届いたのは事実。
幣原内閣の写真で吉田茂がカメラを見ていないのもそう。
幼い細川護煕と麻生太郎がお坊ちゃんで出てくる。太郎坊ちゃんが吉田茂の書斎のソファで跳ねている。ちょっと衝撃的でした。
野村萬斎の近衛文麿が結構いい人に描かれているのが他のと違います。
進駐軍向けの慰安施設のくだり、金は大蔵省が出して、人集めは警察が管轄。吉田の秘書(?)の柴田は、どうして日本人はこうも簡単にアメリカを受け入れるのかと不思議だと、悔しくないのかと当時、大蔵官僚だった池田勇人に食ってかかる。そして知り合いの妹が働いているのを見かけ、アメリカ兵に媚びるのは日本を馬鹿にする行為だと止めに行こうとすると、池田勇人が柴田を制止する。馬鹿にしているのはお前の方だ!
媚びてるんじゃない。勝手に戦争を始めて負けた男の尻ぬぐいしているのだ。女の方がよっぽど負けっぷりがよい。
って池田勇人が女に向かって頭を下げる。
武装解除、全面降伏ってそういうことですよ。
ウィキペディアに吉田茂のジョークがありました。
終戦直後のまだ国民が飢えと戦っていたころ、吉田はマッカーサーに「450万トンの食糧を緊急輸入しないと国民が餓死してしまう」と訴えたが、アメリカからは結局その6分の1以下の70万トンしか輸入できなかった。しかしそれでも餓死者はでなかった。マッカーサーが「私は70万トンしか出さなかったが、餓死者は出なかったではないか。日本の統計はいい加減で困る」と難癖をつけた。それに対して吉田は「当然でしょう。もし日本の統計が正確だったらむちゃな戦争などいたしません。また統計どおりだったら日本の勝ち戦だったはずです」と返した。これにはマッカーサーも大笑いだったという。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E8%8C%82
戦犯指定された近衛文麿が吉田茂に君が総理になって日本を立て直してくれというくだり、ああ遅くても三分後には自殺する。という感じになって、吉田茂が帰り際に近衛の妻・千代子に近衛公が万が一自殺することがないように気をつけろと言うと、千代子は
あの方がなにをなされようと、止めるつもりはございません。あの人が望むのならば、私はその望みが適うのを願うのみです。誰が何を申しましょうと、あの人は一国の総理になった人です。なぜ逆らえましょうか。
これはきますな。吉田茂が頭を下げて去って行った。
マッカーサーが吉田茂に葉巻を渡そうしたら、ハバナ産しか吸わないと断ったとか、有名なエピソードはちゃんと押えてます。マッカーサーと吉田茂のやり取りに違和感がなくてほんと良かった。
天皇の人間宣言をマッカーサーに渡すときに、マッカーサーがそこに置いておけとぞんざいに扱おうとすると、怒った吉田はマッカーサーに、
天皇陛下が神であったと信じて死んでいった多くの若者たちがいます。これは我ら国民の万感の思いがこもった詔書です。どうかその手でお受け取り願いたい。
天皇に戦争責任があるかどうかを決めるのはお前(吉田)じゃない、私だとマッカーサーが怒鳴る。イエスと吉田が答えると、イエッサーだとマッカーサー。お前ら四等国が私に従えば復興は実現するだろう。Do You Understand?と区切って聞くのは完全に恫喝。Yes I Do Sir とちょっと怯え気味に答える吉田の手を握り、マッカーサーがお互い長くよき友人であろうと言う。悔しいような、困惑しているような吉田の表情がなんともいいですな。
なにせ俺たちは7000万匹の負け犬だからなと廃墟と化した東京を見つめながら吉田が言う。
日本はどうなってしまうんでしょうか?と柴田
このまま物乞いになってしまうのかもしれんな、アメリカの足元でと吉田。おれもあの孤児と似たような者だった。
戦争に負けたが、奴隷になったわけじゃない。今度は外交で勝つ。
ハイと泣く柴田。
泣くなと吉田。
日本の男は顔で笑って、心で泣くんだ。
吉田茂が背負ってるものは大きい。
« 北海道知事公邸に入った | トップページ | ガンダムAGE 第47話 青い星 散りゆく命 セリックがヘボイのにやられた! »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 劇映画 孤独のグルメ テレビ版とは違う味わい(2025.01.13)
- 侍タイムスリッパーは大当たり。これぞ映画。(2024.10.04)
- エイリアン:ロムルス ゴジラ-1.0と同じ原点回帰の面白さ(2024.09.11)
- 沈黙の艦隊、潜水艦乗りの話として面白いじゃないか!!(2024.02.10)
- NHKドラマ「あれからどうした」がめちゃめちゃ面白い。(2023.12.30)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- ディープな北海道弁を操る長野出身の父(2021.11.03)
- パソコンが勝手に初期化された!専門家じゃないから復元しかないじゃないか!(2021.10.24)
- チャンネルはそのまま!HTBがんばった!(2019.03.18)
- いだてん 11話までは宮藤官九郎版「坂の上の雲」(2019.03.18)
- スタートレック:ディスカバリー シーズン2が始まりました。(2019.01.18)
« 北海道知事公邸に入った | トップページ | ガンダムAGE 第47話 青い星 散りゆく命 セリックがヘボイのにやられた! »
コメント