海賊と呼ばれた男:永遠のゼロに続いてまた泣かされた
亡くなった祖父は石油を入れるなら出光と決めていたそうです。この本を読んで納得しました、
永遠のゼロは太平洋戦争の若き航空兵を中心に描かれていますが、この海賊と呼ばれた男は明治後半(日清・日露戦争)から大正、昭和40年代までにわたる「海賊」と呼ばれた日本の石油に人生を賭けた男の話です。
日本の既得権益を世界のオイルメジャーを敵に回して逆境の中を暴れ回る感じが痛快。
うまいなと思ったのはまず終戦ですべてを失うところから始まること。
日本の勢力圏の拡大に併せて事業を東南アジアや大陸に広げたものの、日本が英米軍との戦いに敗北し、すべてを失うというどん底の中から、必死に這い上がろうとする姿がいいですよ。復員してきた「店員」は皆家族と首を切らなくて済むようになんでもやる。けどうまくいかない。乞食でもやりますかと日田と話していたのを思い出す。
そして一度、いかにして主人公の国岡が「海賊」と呼ばれるようになったか、話は明治に戻ります。前々関係ない小麦の店に丁稚に入り、そこでひたむきに働く店主の姿に感銘を受けます。
そして台湾で販路を拡大。日田という人物が大金を出資してくられことで自分の会社が持てるようになります。いいと思ったら突き進むので、いろんな勢力が邪魔をしてくる。波乱に次ぐ波乱、それを知恵と工夫と努力で突破する。まったく宇宙戦艦ヤマトですよ。
戦後もそう。オイルメシャーやイギリスの妨害を受けながらもイランへ戦後日本の復興に不可欠な石油をタンカーで仕入れにいく話はヤマトがイスカンダルにコスモクリーナーを取りに行くのとだぶります。船長の新田もカッコイイ。
というか社員がみんなカッコイイ。がんばって感謝される姿は泣けます。
ヤマトの突破力が波動砲だとすれば 国岡の突破力は三方よし。(と書いてないですが)。売り手より、買い手よし、世間よしという近江商人の言葉です。この世間が国岡の場合は一般市民と国家です。
国のため、国民のため、こういう国岡の熱さに惚れ込んだ人たちが苦境打破を助けてくれるのがね。すごくいい。
イランがまともな国になってくれるのを願ってやみません。
永遠のゼロの宮部に中国大陸で遭遇するところはあっちを読んでいるヒトにはいいオマケになっています。
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コメント
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うおおお、ご感想を読むだけで熱く清いものを感じました(笑)永遠のゼロは愛蔵版を買いましたが、こちらも是非読みたいです。来週本屋さんに行って探そう。
投稿: 藤咲 | 2013/01/27 02:04
藤咲さん、どうも
是非読んでください。アベノミクスを成功させるにはこの魂が必要だと思います。
投稿: 竹花です。 | 2013/01/28 23:07
私もまだ上巻を読み進めている途中ですが
目頭が熱くなるシーンがいくつかありました。
安倍首相も帯に推薦文を書いていますが、
最近中国にまで行って国賊と呼ばれた男には
百回ぐらい読んでもらいたいです。
永遠のゼロと同じく多くの人に読んでもらいたいと思います。
投稿: 橋本 | 2013/02/05 23:00
橋本さん、どうも
戦後も熱いです。
国賊と呼ばれた宇宙人さんは百回読んだ方がいいですね。
友愛ってなんなんでしょうね。
いいこと言っても日本のためにならないならどうしょうもないし、中国を増長させるのは世界のためにもなりませんね。
ゼロと海賊は現代の坂の上の雲でしょう。
投稿: 竹花です。 | 2013/02/06 14:58