アメリカン・スナイパーは個人的には最高の戦争映画。
視聴率が良くなかったテレ東の「永遠の0」が結構面白かった(特に柄本明ね)ので、あれは好きならお勧めします。ハートロッカーみたいな映画です。戦争映画ですが、過度な盛り上がりを期待しては行けません。アメリカ映画なのに時代劇の渋さがありました。
普通の映画はエンドテーマが流れたあとも音楽が続きますが、アメリカン・スナイパーは無音です。その余韻が凄くいい。クリス・カイルが助けようとした復員兵に銃で撃たれて死ぬという渋い終わりを引き立てます(アメリカの観客は見る前から知ってることなのでネタバレではないと思います)。
40歳過ぎの私めが、プライベート・ライアンとバンド・オブ・ブラザースは当然としてハートロッカーを見て、このアメリカン・スナイパーを見るとシンプルなのが逆にリアルに感じました。
カイルがイラク戦争に従軍するたびにアメリカ軍の車両がハンヴィーからMRAPへと良くなっているのが描かれていいなと。
戦闘のスピードがかなりリアルだと思います。原作のスナイパーは忍耐という感じもよく出てます。原作もカイルの生い立ちと家族のことが書かれていて、そこを映画は強調した感じになってるから、伝説の狙撃手はスーパーマンじゃなくて人間なんだなと。だからPTSDにもなってしまう。
これはアメリカを守ろうとした狙撃兵の苦悩の話であって(そのあたりが時代劇の剣豪ぽい)、戦争賛歌では決してない。「永遠の0」が右翼とかいうのと同じで意味がわかりません。
カイルは父親の教えに従ってるんですよ:
この世界には3種類の人間がいる。羊、狼、番犬だ。
この世に悪などないと信じたい人間がいる。だがそれが身近に迫ったとき、そうした人間たちは自分たちをどうやって守れば良いかわからない。
それが羊だ。
お前たちの周りには獸がいる。獸は暴力で弱い奴を食い物にする。
それが野獣だ。
そして羊の群れを守るの絶対に必要な戦う才能を神から与えられた者がいる。狼に立ち向かうために生きる数少ない者たち。
それが番犬だ。
原文:
祖国を守るために子供を撃ったり、仲間を助けられなかったり十字架背負って戦うわけです。その苦悩を共感する映画。
84歳でこれだけ良い映画を作れるのは凄い。
原作では体に金属が入っていて泳げないみたいな話があった気がします。
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お久しぶりです! 昨日見てきました。「グラン・トリノ」もそうでしたが、いつまでも余韻が残る映画ですね。最後の無音のエンドロールには、なんというか深い喪失感のようなものを感じました。ほんとに、あのお歳でこれだけ作品を作っちゃうとは…まだまだお元気で頑張ってほしいものです。個人的には、砂嵐のシーンが圧巻でした。口の中がジャリジャリしそう
投稿: Lalla | 2015/03/01 17:45
Lallaさん、ご無沙汰してます。
エンドロールの無音がほんとにいいですね。
英雄は(戦場で)死なずただ消え去るのみです。
砂嵐の視界ゼロになって友軍においていかれそうになるところうまいです。
投稿: 竹花です。 | 2015/03/01 18:30