経世済民の男 小林一三 後編 真の一等国とは
阿部サダヲと瀧本美織のメイキャップが凄く老人だった。というかメイキャップ感がないなと冒頭の東映のスピーチで思った。上顎が癌になってしまった息子の代わりのスピーチだったとは。
一介の銀行員から借金に借金を重ねて事業を多角化して戦前は今太閤と呼ばれるほどの大物だとか。
「小さな欲を形にして事業にする。その事業の先には豊かな生活が待っている。」そういう能を持っている男。
小林一三は箕面有馬電気軌道を始めたけど、休日は客足が少ない。プールを作ったけど駄目、そこで歌劇団だ!これってディスニーランドじゃないか。
岩下清周が進めていた鉄道会社(大阪電気軌道)がトンネル工事で崩落事故を起こして株価は暴落して。さらに岩下清周の北浜銀行がマスコミの岩下叩きで取り付け騒ぎを起こして破綻(マスコミってねえ)。小林一三は北浜銀行から箕面有馬電気軌道の株を買い取って、さらに株価が底値の灘循環鉄道も買う。「ハゲタカ」じゃないか(膨大な借金を背負ってやるってのもそう)。
神戸線も建設して阪神より速くて空いていると街中で言いふらす。それってステルスマーケティングじゃねえか。名前も「阪神(まで)急行」に。間違ってないからいいんでしょうけどね。おかげで儲かった。
競合する阪神が阪急と合併したいと言ってると岩下が持ちかけてきたとき、小林は阪急が阪神を吸収する形なら良いと逆提案。
世間に見捨てられた会社はあなた(岩下)が救ってくれた会社はそれができるような存在になったんです。合併というなら阪急が上に立つべきです。なぜなら岩下清周が作った会社だからです。この国を一等国にするそれだけを目指して闘ってきた男が作った会社だぁらです。それを岩下に言う。小林のその男気にぐぐっときた。岩下清周の名は阪急とともに語り継がれるべくです。 いい大河じゃないか。
電車の駅にデパート作って、そこのレストランで出すカレーを安くするために肉牛の牧場を作るとか、イオンか。東宝も作ったんですな。
ライスにソースをかけて食べるシーンが出てきますが、あれはソーライスというものだそうな。ウィキペディアによると不況時代の話らしいです。戦後の話もなかなかいいです。
日中戦争の進展とともに統制経済が進む。統制経済には大反対。ワシならもっとうまく国を動かしてみせると息子に大見得切ってたところに近衛文麿から商工大臣の就任以来の電話が来た。ここは笑った。軍と協力して統制経済を押し進めていた企画院と対立。対立していた相手はたぶん岸信介。結局、軍部と企画院が結託して小林が機密を漏洩したということで辞任に追い込まれる。
共産主義は人間の本性に合ってないんだよと小林が企画院の革新官僚を然りとばす。ごもっとも。人間はちっぽけな切実な希望のもとでしか働く活力は出せないんだよ!
ごもっとも。共産主義者は政権を批判するけど、理想とする体制は政府に依存した生活だと思う。
この共産主義批判は最初の「小さな欲を形にして事業にする。その事業の先には豊かな生活が待っている。」に通じるし、岩下が言っていた一等国とはこの国に生まれてよかったと思える国とも言い換えられる。そういう社会になるように働かなきゃと小林が病床の息子に言う。したら息子も筆談で、僕も80歳まで働かなきゃってね返す。泣ける。
最後の息子の代わりに出た東宝でのスピーチが遺言。
日本は素晴らしい国になる。ただしひとつ条件がある。みんなが働くこと。働くというのは本来、とても楽しいことなんです。夢を描いて、知恵を絞って、努力をする。その果てに笑ってくれる人がいる。その対価として報酬がついてくる。それが楽しい。自分の人生がここにあると感じることができる。
真の一等国に必要なのは努力が報われる社会。
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