アイヌを描いた夷酋列伝を見てきました。
北海道博物館で展示していた「夷酋列伝」を見てきました。携帯で写真を撮っていたら警備員に怒られて、会場を出たら本があったので買ってきました。展示していたモノが掲載されていたり、説明が思いの外良かったです。
普通に見ているとこれが江戸時代のアイヌの族長かと感心します。しかし写真を撮ったらだめだと言われて解説を読んでいたら、アイヌではあり得ないことが描かれているらしく、本にも描き手の蠣崎波響がいかにアイヌの族長を「異容」と「威容」の英雄に仕立てようとしていたかわかります。ウンベルト・エーコの「バウドリーノ」だったか、自分の文化の範疇で見たこともない人を見ると怪物になるというようなことを書いてあったような記憶があります。まさにそれでした。
この夷酋列伝は和人が70人以上殺されたクナシリ・メナシの戦いというアイヌの反乱鎮圧に功績のあったアイヌの族長12名を描いたものだそうです。実際に蠣崎が会ってない人は想像みたいです。それで蠣崎が描いたツキノエという人物は当人が持っている西洋人騎士の絵そっくりなのもがあるとか。
シモチ像。弓を構えるのがアイヌの中ではカッコイイらしいです。歯に弓を咥えてます。
イニンカリ。連れているのがイヌかと思ったら熊だそうです。熊に見えません。
チョウサマ。手に持っているのは松前藩から貰った鍬形とかいう呪物的なもの。裸足の族長がいる中、赤い靴を履いているのがチャーミング。これを見て思ったのがハリウッド映画の「サムライ」がなんだか妙な感じになるのはこういう異文化のツギハギをやるからだなと。
立ち方としてイトコイが江戸時代流行だった関羽の絵にそっくり。パクリデザイナー佐野かというぐらい似てます。(蠣崎の場合は日本人から見てカッコ良く見せようとした結果ですが)
同じアイヌ人をドイツ人(ロシア人に同行した)が描くとこうなります。
立ちポーズが中世ヨーロッパぽいです。体斜め、顔正面、片足を張り出してるのがガンダムの立ちポーズにも見えます。
どことなくヨーロッパ人の描き方だとわかります。
同じ民族を描いても、自分の知識をベースにして描くわけですから、日本人と西洋人ではいろいろ違ってくるんだなとわかります。
説明がいろいろとためになる展示でした。
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コメント
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警備員さんに怒られましたか(笑)
どの絵もつま先の向きと顔の向きが違って独特ですね。
イニンカリが連れてるのはまったく熊に見えないですね(笑)
投稿: おじゃま丸 | 2015/10/31 17:15
おじゃま丸さん、どうも
警備員さんに怒られました。本当に顔を爪先の向きが違いますね。
動きを出そうとしてるのかもしれません。
躍動感といえば鹿を背負っている絵もありました。
熊に見えませんね。解説を読むまで下手くそなイヌだと思ってました。
熊をちゃんと見たことないんでしょうね。
投稿: 竹花です。 | 2015/10/31 20:17