エイリアン・コヴェナント 79歳のリドリースコットが作り上げる人間とエイリアンのヴァルハラ
79歳でもこんな恐怖とアドレナリン全開の映画が作れるのか。絵面が古くさくないのが凄い。
エヴァンゲリオンみたいに哲学風味を入れたスプラッタームービー。ブレードランナーと同じ生と死が軸です。血しぶきも多い。エイリアンも怖い。15才以上でないと見られません。
そもそも子供の見るものじゃないし。
最初のタイトルの出し方とかエイリアンの倒し方とか第1作のオマージュになっていて面白いですが、やはりコヴェナントはコヴェナント。
リドリー・スコット、美しい血しぶきをありがとう。
そもそも子供の見るものじゃないし。
最初のタイトルの出し方とかエイリアンの倒し方とか第1作のオマージュになっていて面白いですが、やはりコヴェナントはコヴェナント。
リドリー・スコット、美しい血しぶきをありがとう。
以下ネタバレありです。
本当の主人公はエイリアンではなく、合成人間(デイヴィッドとウォルター)。
第1作のエイリアンはプロメテウスでショウ博士と惑星を脱出したデイヴィッドが生み出したものだった。
プロメテウスでデイヴィッドを作ったウェイランドをどうしてガイ・ピアースがお爺ちゃんにメイキャップして演じてるのかと思ったら、コヴェナントにも登場するからなんですな。なぜ前作のタイトルが「プロメテウス」かわかった気がします。
本当にヤバいのはエイリアンじゃなくてデイヴィッド。人間が禁忌を犯して作ったデイヴィッドがエイリアンを使って想像主たる人間の種としての根絶を画策する。
ウェイランドはデイヴィッドにとって創造主たる神だが、「決して創造しないというプロメテウスの鎖につながれていない」デイヴィッドは人類にとって死神となった。
デイヴィッドが語る内容とか音楽、ワーグナーの「ヴァルハラ城への神が入城」とかについて町山智浩が熱く語ってます。
ヴァルハラは死した戦士たちが戦い続ける天国の宮殿。
デイヴィッドの名前はダビデに由来します。ウィキペディアの説明によると:
ヴァルハラは死した戦士たちが戦い続ける天国の宮殿。
デイヴィッドの名前はダビデに由来します。ウィキペディアの説明によると:
巨人ゴリアトを相手に言った言葉
このデイヴィッドの姿はブレードランナーでロイ・バッティが生みの親のタイレル博士の目玉を潰してしまうのに重なります。
そういえば、ダニエルに釘を刺されるシーンで、That's the spirit(その意気だ!)とデイヴィッドが言います。ブレードランナーでも最後のデッカードとロイの戦いでロイがデッカードに金属パイプで殴られ、同じ台詞を言います。
(ロイの寿命が切れかかって指が動かなくなって刺激のために釘をさします)。ただの偶然なのか、意図した偶然なのか。
ショウ博士に好意を抱いていたにもかかわらず、エイリアン完成のための餌食にするデイヴィッドの異常性。エイリアンをモンスター映画から違う次元に昇華しました。
お前は剣や槍や投げ槍でわたしに向かってくるが、わたしはお前が挑戦したイスラエルの戦列の神、万軍の主の名によってお前に立ち向かう。この戦いは主のものだ。主はお前たちを我々の手に渡される。
ダビデが石を投じるとゴリアトの額にめり込み、ゴリアトはうつぶせに倒れた。ダビデは剣を持っていなかったので、ゴリアトの剣を引き抜いてその首を落とした。ペリシテ軍はこれを見て総崩れになり、追撃したイスラエル軍は大いに勝利した。
このデイヴィッドの姿はブレードランナーでロイ・バッティが生みの親のタイレル博士の目玉を潰してしまうのに重なります。
そういえば、ダニエルに釘を刺されるシーンで、That's the spirit(その意気だ!)とデイヴィッドが言います。ブレードランナーでも最後のデッカードとロイの戦いでロイがデッカードに金属パイプで殴られ、同じ台詞を言います。
(ロイの寿命が切れかかって指が動かなくなって刺激のために釘をさします)。ただの偶然なのか、意図した偶然なのか。
ショウ博士に好意を抱いていたにもかかわらず、エイリアン完成のための餌食にするデイヴィッドの異常性。エイリアンをモンスター映画から違う次元に昇華しました。
リドリー・スコット監督の生と死への執着を感じます。
<最後の展開もまたブレード・ランナーぽい>
ダニエルを助けた合成人間がウォルターだと思っていたら、実はデイヴィッドだった。それにダニエルが気づくのが死んだ夫と植民地先にコテージを建てるという話を話したはずなのに知らなかったこと。
ブレード・ランナー(最終版)でデッカードが自分をレプリカントとわかるのが、ガフが作ったユニコーンの折り紙(なぜかデッカードの夢をガフが知っている。おそらく植えつけられた記憶ではないかと)。外見や行動からは正体わからない。正体がわかるのは人には語っていない夢や記憶。心の中といっていいかも。
このあたりもコヴェナントとブレード・ランナーは同一軸の作品のように思います。
エイリアンはもう1作製作するそうです。エイリアン3もデイヴィッド・フィンチャーらしい哲学的で面白いです。
<最後の展開もまたブレード・ランナーぽい>
ダニエルを助けた合成人間がウォルターだと思っていたら、実はデイヴィッドだった。それにダニエルが気づくのが死んだ夫と植民地先にコテージを建てるという話を話したはずなのに知らなかったこと。
ブレード・ランナー(最終版)でデッカードが自分をレプリカントとわかるのが、ガフが作ったユニコーンの折り紙(なぜかデッカードの夢をガフが知っている。おそらく植えつけられた記憶ではないかと)。外見や行動からは正体わからない。正体がわかるのは人には語っていない夢や記憶。心の中といっていいかも。
このあたりもコヴェナントとブレード・ランナーは同一軸の作品のように思います。
エイリアンはもう1作製作するそうです。エイリアン3もデイヴィッド・フィンチャーらしい哲学的で面白いです。
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コメント
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博多のしぶーい映画館で観てきました。
https://www.nakasu-taiyo.co.jp/
ほんと、エイリアンの映画というより、アンドロイド "兄弟" の話でしたねえ。Star Trek: The Next Generationのデータとロアを思い出します。とはいえ、やっばりリドリー・スコットの描くアンドロイドだから、バディに通じるものがありますね。
ラストの絶望感は半端ない。のに、エンディングが妙に納得させられます。
こういう悪役とクラシック楽曲という組み合わせで言うと、レクター教授と ゴルトベルク変奏曲、にも匹敵します。
投稿: baldhatter | 2017/09/26 22:08
baldhatterさん、どうも
渋い映画館ですね~。
データとロアもカインとアベルみたいなやんちゃな問題児のと大人しい優等生という組み合わせでした。データは人間くさくて好きでした。デイヴィッドはひたすらヤバイです。
エンディングの人間の悲泣に変わってヴァルハラ城への入城。ワーグナーの「万能感」が絶望を倍増させます。神は死んだと言わんばかりです。
殺人鬼は感情じゃなく理性で人を殺す方が怖いですね。善悪の彼岸を越えてしまってるからかも。
投稿: 竹花 | 2017/09/27 01:01