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2017/11/03

ブレードランナー2049 オリジナルの衝撃はないけど大満足 期待通りのディック感

ブレードランナー2049は3時間近いので飽きるかと思いましたが、ご褒美でした。

ブレード・ランナーといえば映像美。昔の感じを残しながら新しい。オリジナルを見ている方が面白いでしょうが、見てなくてもわかると思います。

以下、ネタバレありです。

冒頭、スクリーンに映し出される大きな瞳。オリジナルのブレードランナー(2019年12月の設定だったので2019とします)のオマージュです。

そして新型スピーナー(飛んでるヤツ。今度は着陸時にタイヤが出る!上昇するときにワイヤーが見えない!)が飛んでいくと眼下に広がる大量の鏡を並べた太陽光発電システム。「2019」の炎が上がる工場群とコントラストになってます。美しいですな。

主人公は「K」と呼ばれる。最初から自分はレプリカントだとわかっていて脱走した旧式レプリカントの「処分」を行っている。このあたりデッカードとは違います。

しかし「処分」によって精神に変調をきたしていないか、ベースラインの確認が行われます(「2019」の瞳孔を覗いて感情の起伏から人かレプリカントか判断するフォークトカンプフ・テストは旧式化していている)。

「K」のようなレプリカントがブレードランナーとして同族を殺すことで良心の呵責はないか、それで人間に反抗することがないか人間側は危惧しているのでしょう(圧迫面接みたいな感じですが)。こうやって安全を確保しているのに人間に差別される。しかし抗うことはできない。

こういう主人公にふりかかる閉塞感や抑圧感がブレードランナーの独特な雰囲気を出してます。BGMもバンゲリスじゃないのにバンゲリスぽい。

感情を持つ人間が自らの手を汚さすに脱走したレプリカントをレプリカントに「処分」させる。それがブレードランナーの世界。レプリカントが誕生して生まれた偽善の世界。

「K」の製造番号はKD9-3.7。警官(Policeman)なので名のるときは、Policeman KD9-3.7。頭文字はPKD。フィリップKディックと同じ。

序盤、「K」が指名手配のレプリカント(サッパー・モートン)の家に行くシーンは「2019」の制作時に検討されていたシーンじゃないですか!(「2019」のメイキングドキュメンタリー「デンジャラス・デイズ」で説明されていて、絵コンテもあります)。これが見られただけでも2000円払う価値があります。

サッパー・モートンの虫農場(人類は昆虫食!1つで十分です!)に書いてあるロシア語(ЦЕЛИНА)はフルシチョフ時代の農地を拡大する農業増産政策のことらしいです。

話は「2019」に似た設定で進みます。それがある意味、どんでん返しになります。

「K」が追うことになるのはレイチェルが生んだ子供。レイチェルはレプリカントなのにタイレル博士が開発した生殖器官があって子孫を生むことが可能だった。これはもうロボットじゃないです。「あらたな人類」です。

警察としては、そんなことが明るみになっては社会の秩序(レプリカントを道具として使って社会を維持している人間の優位)が崩壊する。子供の処分も含めて、絶対に隠蔽しなければならない事実です。

子供を生かすんじゃなく、殺すのがドラマを引っ張る軸とは面白い。
一度は禁止になったレプリカント製造をウォレスという企業が再開しています。しかもウォレスはレプリカントを増産するには工場よりも同じレプリカントを孕ませて産ませる方がいいと考えていた。ブタに子ブタを産ませて数を増やすような発想の飼育農場とは残酷ですな。

しかしウォレスは生殖器官の開発ができない(失敗作の女性型レプリカントの子宮をナイフで刺して殺すとか精神がやばい)。そこでレイチェルの子供をラヴという秘書のレプリカントに探させる。(ウォレス社の壁に映る水の反射がとってもリドリースコットぽい)。
こうして「K」とラヴがレイチェルの子供を追い始める。

ラヴのやり方はかなり強引。人間を殺すことも厭わない(ウォレスは人間に絶対服従の奴隷を作ろうとしているのに)。社長の秘書なのでレイチェルみたいな立ち位置かと思っていたら、ロイとプリスを足したようなやばい女でした。(ラヴ役の人がロイ役のルトガー・ハウアーと同じオランダ人というのも奇遇なのか意図的なのか。)。

ラヴはレプリカントだけど感情を剥き出しにする。一方、「K」は感情を見せない。最初は主人公としてどうかというくらい表情がない。そういえばデッカードも別れた妻に「寿司(冷たい魚)」って呼ばれてました。

しかし移民だらけのスラム街のアパート(玄関にヘイトスピーチが書かれている)に戻ると3Dイメージの女性(ジョイ)が現れる。ここが21世紀だと思いましたね。「2019」を見た初めてときに人間がロボットと恋に落ちるのかと衝撃を受けました。「2049」ではそれが3Dになっている。VRが登場する現代を反映してます。

このジョイはウォレス社の喋るバーチャルダッチワイフらしいです。これはまさにブレードランナーの原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」じゃないかと。

「2019」で最後にレイチェルとデカードが逃げるのを見逃すガフのもとに「K」が会いに来てデッカードの話を聞きます。そしてやはり登場する折り紙(笑)。その折り紙が羊にも見えます。

<ここからホントにネタバレ。>

ブレードランナー2049の最大のどんでん返しは、オリジナルの「2019」を見ているとさらに増すでしょう。

デッカードは自分がレプリカントだと知らずに生きていましたが、最後に夢に出てくるユニコーンの折り紙を見て、自分もまたレプリカントだと知るというオチでした。今回はオチは後半途中に来ます。

「K」は子供を追うなかで、実は自分がレイチェルの子供じゃないかと信じ始めます(見ているこっちもそう思いました)。本人も自分の正体の知らないというのはデッカードがレプリカント(人間の模造品)だというのと同一線上の話です。しかし「2049」はそこで終わらない。だが実際はそう思わせるための偽物。レイチェルの子供を守るための囮だった。これはショックです。

レイチェルの子供だという確信につながった「K」の記憶は本物のレイチェルの子供の模造品でした。それを知ったときの自分はレプリカント「模造品」という空っぽな存在という裏切られた感。
同じフィリップKディック原作の「スキャナーダークリー」を見たときの絶望感です。ジョイとマリエットが重なるところが顔が入れ替わる「スクランブルスーツ」みたいでした。

本物と偽物。ブレードランナーも他のフィリップKディック原作映画もここへ回帰します。「K」とジョイの関係もそうでしょう。

「K」に対するジョイの愛情は本物でしょうが、ジョイの「K」に対する感情はプログラムだったのか本物だったのかわかりません。ウォレスがデッカードに、レイチェルに一目惚れしたのはそうプログラムされていたからだと、デッカードの愛もまた作られたものかもしれないと疑問を投げかけます。デッカードにとってはそれは問題ではないかもしれない。「K」の愛情も同じかもしれません。

人が一目惚れするようにすれば偽物。神がしむければそれは運命。

人類に反旗を翻そうとするレプリカントたちはデッカードとレイチェルの子供を公表すれば奴隷として人間に虐げられた存在から脱出できると考えており、その機会を窺っています。なので今デッカードにいろいろ喋られては自分たちは殺されかねない。そこで「K」にラヴにさらわれたデカードを殺すように命じます。

「K」はこれまで人間に命じられてレプリカントを「処分」するように言われる存在でした。「K」は言われたとおりデッカードを追います。

レプリカントの大義のために「K」はデッカードを殺すかと思ったら、ラヴを殺してデッカードを救い、今まで一度も会えずにいた娘に会わせます。

しかしラヴとの戦いで深手を負った「K」は雪が降る中で空を仰いで絶命します。

この感じ、ロイ・バッティの死と同じゃないですか!

ロイも最後にデッカードを救って死にました。「K」精神が自由になったわけですか。

このシーンが続く間、ハトはまだか!ハトが飛ばないか!と心の中で連呼してました。

オリジナルと同じようなストーリーをレプリカントの視点から展開するという、単なる続編というよりもリブートのような作品です。

あえていうなら同じだけど解釈が違うガンダムORIGNとか新作の宇宙戦艦ヤマトみたいです。

結論、大満足。

邦題がひどすぎる「ワールド・トゥモロー」もお勧めです。


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コメント

映像は素晴らしいけどSFとしては物足りない(人間とレプリカントは本質的に何が違うのかとか、デッカードは復活したレイチェルの目の色が違うと文句を言ってたけど完璧なコピーだったら愛せたのかとか、ジョイの感情は本物だったのかといったSF的なテーマが掘り下げられてないので)というのが私の評価です。でもそれは2019も同じなのでまあいいかなと。
ガフはアニメではスピナーが墜落して死んだように見えましたが生きてたんですね。
女性がみんな魅力的なのも良かったです。一緒に見に行った会社の同僚はジョイが欲しいと真剣な顔で言ってました(笑)
Kの上司(意外とスカートが短い)も良かったです(笑)
ラヴがマニキュアを塗らせながら衛星兵器を使うところも良かったです。

歌舞伎町にあるTOHOで夜の回を観たら、ちょうど雨も降っていて本当にブレランぽかったです(笑)

おじゃま丸さん、どうも
リドリースコットがビルヌーブ監督に「秘すれば花」とアドバイスしたそうです。アメリカでのセールスは芳しくないようですが、世界では制作費回収したみたいです。
ガフは生きてましたね。Kも生きてたので大丈夫なんでしょう。
ジョイもいいですがラヴもいいですね。
砲撃シーンで立ち上がらないKに、Do your fuckin' job!ってレプリカントが言うんだとゾクッとしました。

>Kの上司(意外とスカートが短い)も良かったです(笑)
「K」をメチャクチャ怒って魂がないとか罵倒しながら、部屋に押しかけて誘惑するとは肉食系ですよね。

サッパーが鍋でグツグツ煮てる食べ物のいかにもまずそうな感じも良かったです。
正体を隠して生きるサッパーを見て自分も実は東京の片隅で正体を隠して生きる東北人だった(偽の記憶のせいで忘れていた)ということを思い出しました(笑)
ウォレスが子どもを産めるレプリカントを作りたいっていうのはどう考えても頭おかしいですよね(勝手に増えて確実に人類が支配される)。実はウォレスもレプリカントで(正体を隠すために自分で目をつぶした)、そうなることを願っているのか。
最終的に子どもをどの勢力にも委ねないっていうのは確かにトゥモローワールドっぽいですね。ウォレスの主張に従えばこのままでは人類は滅亡するらしいし、どっちにしろレイチェルの子どもは免疫不全だから子どもは作れそうにないし。

おじゃま丸さん、どうも
>サッパーが鍋でグツグツ煮てる食べ物のいかにもまずそうな感じも良かったです。
あれはブレードランナーぽくて好きです。

>ウォレスが子どもを産めるレプリカントを作りたいっていうのはどう考えても頭おかしいですよね(勝手に増えて確実に人類が支配される)
だからラヴはウォレスに従っていたのかと思いました。

>レイチェルの子どもは免疫不全だから子どもは作れそうにないし。
あれは子供を守るための方便かと思ったのですが、どうなんでしょう。

>子供を守るための方便

そうですね。たしかにそういう解釈も成り立つなとは思いました(大人になってからであればともかく、子供のうちにあんなふうに隔離したら人格形成に影響ありそうで心配ですが)。そういうところも非常に曖昧ですね。
「秘すれば花」って、なんでもかんでも説明してしまったら興醒めなのは確かだと思いますが、かといってなんでもかんでも曖昧にするのは物語作家として逃げ腰すぎるのではないかと(笑)(ラヴにDo your fuckin jobと言われそう)。まあ金のかかった映画なので色々な圧力があったのだろうと推察しますが。
あとジョイをサーバーから削除してスティックみたいなものに入れてましたがあのスティックを複数作っとけよというようなツッコミは当然あります(笑)
(死の可能性を得ないと人間にはなれないということなのかもしれないが)
レプリカントの行動原理も、ウォレスの作ったものは人間に絶対服従なはずなのにラヴは平気で人を殺してるしKも上司に嘘をついてたしさっぱりわかりません。

と悪口ばかり言ってるようですが実際には非常に楽しめたのでまた観たいです(笑)
映像の乾いた廃墟感は2019よりディックぽかったと思います。
ジョイやラヴの容姿は完璧だけど、人間の娼婦は少し肌が荒れてたりする(そこが逆にそそる)というような細かい描写も良かったです。

おじゃま丸さん、どうも
>物語作家として逃げ腰すぎるのではないかと(笑)
まさに「2019」です。そういう謎解きの意味とストーリー構造の両面で「2019」はスカスカすきで駄作だと思いますが、でもスカスカすぎてかえって見ている側がうまいこと隙間を埋められるので奇跡が起こったのだと思います。

>あとジョイをサーバーから削除してスティックみたいなものに入れてましたがあのスティックを複数作っとけよというようなツッコミは当然あります(笑)
複数作成してしまうと「目の色が違うレイチェル」が出来上がってしまうかもしれません。同時並列化していないとコピーと常時更新しているオリジナルにずれが生じてきます。

>ウォレスの作ったものは人間に絶対服従なはずなのにラヴは平気で人を殺してるしKも上司に嘘をついてたしさっぱりわかりません。
それも謎ですが、タイレルが掲げた「人間より人間らしい」レプリカント開発の究極目標を達成しちゃってるんでしょうね。

> あれは子供を守るための方便かと思ったのですが

ウチの家内も、その解釈でした。どっちか分からないですね。


> あのスティックを複数作っとけよというようなツッコミは当然あります

あの携帯版、たぶんかなり高いんですよ。ボーナスもらってすぐ買ってるじゃないですか。だから、複数持つなんて、少なくとも当面はできなかったんじゃないかな。


私も実は、1回目を観終わったときは、モヤモヤ感のほうが強かったんですよ。でも、2度目を(爆音上映で)観たときはもっといい印象だった。それって、考えてみると2019のときと似てるかもしれないな、と(2019のときは、初回のインパクトもっとずっと強かったですけどね)。回を重ねるほど、ジワジワよくなってくるのかも。


後半で、ホロのエルビスとかモンローが出てくる、あれも電気エルビス、電気モンローですね。


どんでん返しで真相を知ったときのK、ほんと泣けます。雪の階段のシーンであの曲を流すなんて、泣くに決まってますよー。

あ、そうだ。

>> あれは子供を守るための方便かと思ったのですが

>ウチの家内も、その解釈でした。どっちか分からないですね。

私は、本当に病気なんじゃないかと思ったんですよ。現実世界でも、クローンは作れるけど、そのクローン固体には生殖能力がないから種の継承はできない、みたいなことがあるじゃないですか。

それと同じで、レイチェルは「奇跡」で子供を生んだけど、その子供が子孫をのこすことはできない。つまり、かりにウォレスがアナを見つけても、自分の野望の答えにはならない---そういう設定かなぁ、と。

baldhatterさん、どうも

そう言えば電気モンローと、電気エルビスですね。誰もが電気仕掛けで夢を見る世界です。

レイチェルの子供(博士)が実際どうなのかはブレードランナー2079で明らかに!

個人的にはレジスタンスのリーダーが隠していると言っていたので、フォークトカンプフテストとかを避けるために隔離して博士を免疫不全にしたてあげたのかと。子供の頃にスクラップ場で他の子供の遊んでいて木馬を隠した記憶が本人のものでなかったことになります。

奇跡はマリアの受胎につながっていて健全なのが自然ですが、奇跡の子が本当に免疫不全だと捻りがきいていて面白い続編が作れると思います。

スカスカに作っているために場合によっては真逆な解釈が可能で、ブレードランナーの場合はウケる要素という希な映画です。

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