ブラタモリ 第96回 田園調布 アーチ形のあり得ない住宅街

今から約100年前、大正時代にできたベッドタウン。まだ住宅地のコンセプトが固まっていないゆえに夢があって野心的。

駅を中心に縦の道が放射線状が伸び、それをカーブを描いた環状道路で結んでいる。

これはフランスの凱旋門を中心に放射線状に道が延びるパリのよう。しかし住宅の区割りとしては不便。宝塚歌劇団を作った小林一三（ベッドタウンも自分で作ってる）は計画図を見て呆れる。だけども押し通した。

こんな奇抜な住宅街を考えたのは渋沢栄一の息子、渋沢秀雄。

なぜ環状道路にこだわったのか。道がカーブしていると、その道を進むヒトには垣根が見えつづける。スタートレックディスカバリー号の通路もカーブを描いているのはそのためか！

田園調布は「ガーデン」の訳語。ガーデンシティ調布なんですな。

ベートーベンの交響曲第6番「田園」はドイツ語でPastorale、英語でPastoral、羊を飼うような牧畜ができる森と草原みたいな場所。この訳語が「田園」。ガーデンとは言わないです。念のため。

元々田園調布は中流サラリーマンが購入できる住宅地だった。まさに農村のど真ん中に突然できたベッドタウン。「田園都市」というと全然イメージが良くなります。

田園調布ができた頃の住宅がまだ残っていて玄関の前の石の階段のカーブが絶妙です。和洋折衷なデザインが大正モダンで100年経つと味わいがあります。


田園調布には兵隊家という蕎麦屋が営業している。創業者は退役軍人で、兵隊さんと周りから呼ばれていたことから、「兵隊家」という名前にした。

なぜ軍人さんがで田園調布に？

田園調布は高台にあるので地盤が水分が抜けて安定している。関東大震災以後、地震が起こっても大丈夫なように、軍人さんがこの地盤が良い田園調布に移り住むようになって、田園調布の価値が上がった。

だが実は田園調布は大正よりも遙か昔から権力者が集まっていた。

田園調布は国分寺崖線という全長30kmの崖の際にある。なかなかの眺望。そしてこの国分寺崖線に沿って古墳が密集している。田園調布にも前方後円墳があり、その上に浅間神社が建っている。

素晴らしい。成功者は常に国分寺崖線を目指す。

住宅街の反対側は下っていて低地の水が湧き出す湿地だった。そこで多摩川園というアミューズメントパークや田園コロシアムを作った。多摩川園は下り坂を利用して巨大な滑り台を設け、湧き水を使って水族館を運営した。

巨大な滑り台は今は階段に。

アンドレ・ザ・ジャイアントとスタン・ハンセンの試合は田園コロシアムで開催したのか！