岸辺露伴は動かない 第6話 六壁坂 一番幸せな時は
これはアニメ版も見ていたのですが、実写化はこうするのが正解なんだと感心しました。おどろおどろしい感じがまあ凄い。
第4話から6話まで一連の話につなげたのも実に良い。六壁坂の「境目」から出てきた人にあらざる「何か」に奥行きと厚みがでます。
大郷楠宝子(内田理央)の過去をヘブンズ・ドアーで覗いて、岸田露伴は彼女の秘密と六壁坂の正体を知る。
許嫁がいる大郷楠宝子(内田理央)は密かに付き合っていた庭師の郡平を誤って殺してしまった。しかし死んだはずの郡平から血が出てきて止まらない。楠宝子が動揺して血を必死に拭おうとするシーンが一番の見せ場なのですが、ここはずっと白黒。血を見せないという配慮かもしれないですが、影がついて怖さ倍増。アニメ版は普通の家ですが、これは古い屋敷。それがまた良いです。
郡平はミイラみたいになるけど、水がかかると復活する。干からびていた郡平の顔が元通りになる。郡平の顔が好きと楠宝子が口づけする。これにはぞわっとしますよ。楠宝子は郡平を屋根裏に隠して、毎日、郡平から出てきた血を捨て、一杯の水を与える。それが楠宝子の最大の楽しみ。岸田露伴の言葉を借りれば、郡平は今も大郷家の天井裏で「死に続けている」。なんちゅう話ですか。
楠宝子と郡平のことを知った岸田露伴は六壁坂にある大郷邸へ向かう。ただ死んでいるだけの目的はなんなのか。その途中で少女に遭う。少女は岸田露伴のファンだという。この少女がこけて頭に石がぶつかって郡平みたいにミイラになって死ぬ。岸田露伴が叫ぶ、「これじゃあ俺が殺したみたいじゃないか!」おいおい楠宝子と郡平の子供かよ!死に続けているのに、子供は作れるのか!
タブーすぎて誰も口にするのも憚られ、その危険性が忘れられた六壁坂に大郷家が邸宅を建てたために、異形の者たちが出てきてしまった。パンドラの箱を開けてしまったのですね。
これじゃ楠宝子みたいに取り憑かれると、岸田露伴は娘のヘブンズ・ドアーを開いて岸田露伴を知らないし、見ることもないと書き込んでピンチを脱する。岸田露伴は思い出した。櫂という泉京花が山の面白い話を聞いていた少年も実は楠宝子の息子。京花も取り憑かれてしまうと思った岸田露伴は山を駆け下りる。
「人に寄生して何の苦労もなく子孫を残す、それだけの存在。その生き物の幸福の絶頂は誰かの前で死ぬとき。」
でも京花は取り憑かれなかった。安堵した岸田露伴が取り憑くのは誰でも良いわけじゃないというのは笑いました。
真実を知っても、岸田露伴は動かない。六壁坂の妖怪を放っておく。
「僕は学者じゃなく、ジャーナリストでもない。漫画家だからな」。己の興味のみで動く、正義の味方じゃないスタンス大好物です。
ファンタジーなのに日本沈没よりもリアリティーがあります。
今回のシリーズも実に良かった。来年も見たいです。
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