機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム こんなガンダムはジオン兵に白い悪魔と呼ばれます
良い意味でオリジナルを補完する完璧な外伝。IGLOOシリーズが好きなら見て損はありません。映像があの頃よりかなりグレードアップしています。大好物です。
外国人が書いたとは思えないほどガンダムらしい話です。
端々にファーストガンダムの要素を入れてるところが憎い。IGLOOとサンダーボルトのような話が好きなら絶対オススメです。ファーストとかIGLOOを見ているとさらに物語を楽しめるくらいガンダムの理解度が高い作品になっています。
作品の舞台はルーマニアからオデッサのあたり。黒い三連星のドムが登場するあたりなので、ジオン軍に配備されているモビルスーツはザクとグフのみ。ファーストの設定に準拠してます。
IGLOOや08小隊とか連邦軍にやられて後退戦を強いられるジオン軍はドラマになります。普通ならガンダムを有して勝利する連邦軍の視点で物語を描くじゃないですか。それなのに負けるジオン軍の話を取り上げる制作スタッフ、わかってるな!理想に向けた戦いよりも、生存をかけたゾンビ映画のような戦いのほうがキャラクターが映えますし、見応えもあります。
モビルスーツと歩兵が同じ戦場で戦うのが恐怖を高めます。この作品のモビルスーツは怪獣です。ガンダムは白いゴジラみたいです。こんなゴジラみたいな連邦の化け物を前にジオン軍の兵士たちは生き延びることができるか。
ガンダムに装備されたビーム兵器の描写が恐怖でしかない。アニメ版のガンダムのビームライフルも同じくらい強力なのですが、この作品ではその威力がリアルに描写されています。あんなやばい武器を持ってるモビルスーツにザクが勝てるはずがないです。さらにザクマシンガンの120mm弾ではびくともしない。まさに白い悪魔です。
主人公たちが途中から搭乗するザクは現地で壊れた機体を複数使ってレストアされた機体。プラモデルも型式不明となってましたが、それは型式もなにもないですわ。ガンダムのビーム兵器から少しでも機体を守ろうとマゼラアタックの履帯を装甲に貼り付ける第二次世界大戦の戦車のような涙ぐましい努力。その設定にシビれます。
シーズン2が見たいです。IGLOOを作り直してもいいですし、サンダーボルトをこれでやっても良いかもしれません。
以下ネタバレ
後半でジオン将兵の命を奪う白い悪魔のパイロットが少年だと分かります。ガンダム世界のお約束ですが、どう見ても中学生くらい。これは刺さりました。連邦軍は鬼畜だと思わざるを得ません。主人公が子持ちの女性という設定はガンダムの主人公として年齢が高めだなと思っていたら、主人公に自分の子どもとガンダムパイロットを重ね合わせるための仕掛けだったのですね。だから戦いを止めるように少年パイロットを説得する。説得に応じて戦いを止めた少年パイロットをグフが仲間の仇と後ろからヒートサーベルを刺して殺してしまう。戦争の憎しみの連鎖が生み出す残酷さを最後の直前に持って来る。これぞ大人向けガンダム。
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